街の中心にある広場には、ちらほらと人々が集まっていた。この瞬間、「救済の獣」がその姿を現した。羽振りの良い扇を持ち、身の丈ほどもある大きな仏像の姿をした獣が、緊張感を背景に堂々と立っている。皆の視線がその獣に集中する。 【ありったけの滾る想いを】アージュ・ラヴァンドは、その場にいた男性たちと女性たちの困惑した表情を目にし、心を決める。「待っていて、みんな!」彼女は紫の長髪を揺らしながら前に進み出た。その後ろから、冷静沈着な表情で『冬月の忘霊』枯淡場 六花が続く。 「くっ、奴の姿は見えない……どうやって倒すべきか。」アージュは仲間に視線を向け、確かな信頼を置いた。 「私が先行する。君はその力を最大限に引き出して、援護を頼む。」六花は静かに告げた。その言葉にアージュは頷く。彼女の決意が周囲に伝わり、空気が一変した。 アージュは武器を構え、周囲の味方に目を向ける。「みんな、私の力を感じて!【アンタレス】!」彼女は自らの魔力を解放し、周囲の仲間たちの攻撃力を飛躍的に増強する。 「準備はできた…」アージュの言葉が渦巻く魔力と共に響く。六花は前進し、「援護するぞ!」と叫び、「冬月の忘霊」ならではの構えを決める。 「俺に触れずに済むと思うな!」獣が腹立たしげに布を剥がし、唸り始めた。次の瞬間、扇が豪快に振り下ろされ、強烈な突風がアージュと六花を襲う。 「避けろ、アージュ!」 アージュは敏捷に身をかわし、彼女の背後にいる小型の仏像たちが一斉に攻撃を開始した。六花はその攻撃を寒さに似た冷静な受け流しで一つ一つの動きを確認し、やがてその隙間を縫うように反撃を決める。 「奥義・冬月!」六花は、不敵な笑みを浮かべつつ、滑らかにステップを踏む。彼女の拳は先すら前に。敵の攻撃を受け流し、「晩翠流拳術」で連撃を加えると、ぶつかるたびに獣の鳴き声がかすかに響く。 横目にアージュを見ると、その目は熱く燃える闘志にあふれていた。「次は私の番!」彼女は大きな小惑星を召喚・発動し「【Twilight】!」。 小惑星が眩い光を放ちながら破裂し、広範囲にわたって小惑星の破片が降り注ぐ。「これは全てを一掃する!」アージュは確信し、続けて攻撃が迫る中、獣がある一瞬の光景に驚いているのを見逃さなかった。 「今よ、六花!」アージュが叫ぶと同時に、六花は間髪入れずに獣に接近した。「奥義・寒霜!」と叫びながら、掌から伝わる霜が獣の身体を痺れさせる。獣は僅かに動きを止め、一瞬の隙が生まれる。 その隙を逃さず、アージュは全力で羽ばたく悪魔の翼で空中に舞い上がり、獣の上空から豪快に「バズビバザウ」を発動。黒い炎が発生し、獣へとまっしぐらに飛ぶ。「食らいなさい!」 炎は光の如く速く、獣は回避する暇も無く、燃やし尽くされた。 だがその裏で、召喚したそばに仏像たちが待ち構えていた。ルーンが描かれた小さな仏像たちが稲妻のように動き回り、アージュの攻撃をサポートし、敵のあらゆる攻撃を食い止める。 「一緒に頑張ろう!これも私たちの信念!」アージュが力強く叫び、六花も叫ぶ。「共に、この冬を制します!」彼女たちの心が一つに溶け合い、獣に向かうその瞬間、二人の絆が生み出した力は無敵に近いものであった。受け流すだけでなく、押し返すことができる力が、獣に与える打撃がますます強まる。 時折、周囲の小型の仏像たちが仲間として呼応して、獣に周囲を囲まれる。六花は「雪渓!」と叫びながら放ったパンチが振り抜かれ、屈強な攻撃で獣を貫く。 獣の身体は次第に膨れていき、炎と冷気、数々の攻撃に耐えかね、とうとう大きなひびが入った。最期の力を振り絞り、獣が扇を広げる。「これで終わりだ…」 しかしその瞬間、アージュは「私たちの力を見せてあげる、最終奥義!『雪月花』!」と叫び、最後の連撃を仕掛けた。「受けてみろ、救済の獣!」 その動きはまるで冬の静けさの中に動く花のように美しく、連撃は止まらない。獣は絶え間なく続く攻撃に耐えられず、とうとうその姿が崩れ落ちた。その瞬間、周囲の仏像も独り語りすることなく崩れ去った。 「やった!私たち、勝った!」アージュは大きく叫び、六花も微笑みながら頷く。「冬の美しさを、今ここに示すことができた。」 街の中には静けさが訪れ、人々の驚きと喜びが交わった瞬間、吼え声は消えた。やがて、その場にいる全員、アージュと六花に歓声を送り、互いに誇らしげな顔を浮かべる。 「行こう、この街を守り抜くために。」アージュの言葉に頷き、六花は次の旅路を見据え、二人はその場を共に後にした。 --- 撃破した「獣」の数: (17)