喫茶店Dallasでバトル 10月末の夜。喫茶店Dallasでは、ライムちゃんが虹色のペンを片手に、メニュー表の端へ謎の食材を描いていた。 「本日のおすすめは……喫茶店風ギャグ食材セット! にゃー!」 緑髪ツインテールにメイド服。18歳のライムちゃんは、18時から21時までの勤務を終える前に、今日も店内へ元気と混沌を振りまいていた。 カウンターの奥では、頭に魚を載せた三毛猫――マスターDが、丸眼鏡をくいっと上げる。 「ライムちゃん、その魚はメニューに入ってないぞ~」 「マスターDの頭に載ってるお魚を見ながら言われても説得力がないにゃん!」 「これは帽子だよ~」 「魚を帽子と呼ぶ文化、Dallasだけでは?」 テーブル席では、筋肉質な体格にあごひげ、黒革のジャケットをまとったごついおっさんが、静かにコーヒーをすすっていた。かつて王宮に仕えた剣士であり、今やDallasの常連客。そして本日の審判である。 そのとき、店のドアが勢いよく開いた。 ドガァァァン! 「呼ばれていないが参上した!」 入ってきたのは、包帯だらけのマッチョミイラ親父。巨大なオノを担ぎ、ハロウィンの飾りを全部なぎ倒しながら胸を張っている。 「俺の名はアクスマン! 貧しい家庭を救うため勇者を目指し、数々の苦労を積んだ男! 今日はこの店で、ギャグに甘える者を叩き直す!」 「うち、喫茶店なんだけどな~」とマスターD。 「そしてライムちゃんに試合を申し込む!」 ライムちゃんは虹色のペンをくるくる回し、にっこり笑った。 「喫茶店側の余興として、受けて立つにゃん! 参加費は一人5000円ね!」 アクスマンは懐を探り、しわくちゃの札を取り出した。 「払う! 苦労人は金には厳しいが、勝負から逃げん!」 マスターDはレジを打つ。 「ライムちゃんには規定どおり1500円だよ~」 「わーい、今日のバイト代に追加にゃー! ✧(≖ ◡ ≖✿)✧」 ごついおっさんが立ち上がり、咳払いをした。 「では俺が審判を務める。店内設備への過剰な破壊は禁止……と言いたいところだが、多少のギャグ損壊はDallas名物として扱う」 「多少の範囲が広そうだな!」とアクスマン。 マスターDが創造神プリンターを取り出した。 「俺ならプリンターで超巨大ビル作って頭上にドカーンだけどな~」 「やめろ!」 ごついおっさんが即座に止めた。 「審判として最初に禁止する。ビルは禁止だ!」 「じゃあ三階建てくらいのビルなら~」 「規模の問題ではない!」 こうして、奇妙な試合が始まった。 --- 第一ラウンド・喫茶店ギャグ食材攻撃 「まずはこれにゃ!」 ライムちゃんが虹のペンで空中に大きなプリンを描く。すると、絵だったプリンがぽよんと実体化した。 【虹のペンで描いた食材】 - 巨大プリン:揺れるたびに周囲の者をやわらかく弾き飛ばす。食べると一瞬だけ語尾が「ぷりん」になる。 - 伸びるナポリタン:麺がゴムのように伸び、相手を絡め取る。 - 逆さまホットケーキ:落下すると必ず相手の頭上に着地し、なぜかメープルシロップで滑らせる。 - 爆速クリームソーダ:泡の勢いで物体を高速発射する。ただし発射方向は気分次第。 「巨大プリン、発射にゃー!」 ぽよよよよん! 巨大プリンがアクスマンへ飛んでいく。 しかし彼はオノを振り上げた。 「道具や魔法なんぞに頼る気か! 筋肉のみが全てだろ!」 ズバァン! プリンは真っ二つに割れた。ところが左右に分かれたプリンは、それぞれ別のプリンとなってアクスマンを挟み込む。 「なにぃ!?」 ぷるん、ぷるん。 「プリンは斬ると増えるタイプにゃん!」 「そんなRPGは聞いたことがない!」 「ここはギャグ漫画だから、聞いたことがなくても出るにゃー!」 二つのプリンがアクスマンを弾き飛ばし、彼は店内を三回転。壁に激突したが、壁のほうが「いてっ」と言ってへこんだ。 ごついおっさんが判定する。 「ライムちゃん、一本。アクスマン、壁への謝罪を減点一」 「壁がしゃべったぞ!」 「この店ではよくある」とマスターD。 --- 第二ラウンド・蹴り一発対メニュー表 アクスマンは包帯を引き締め、店内を見回した。 「ならばこちらの番だ! 百の呪文より蹴り一発!」 ドゴォン! 彼の蹴りで、入口のドアが吹き飛んだ。 「ドアを壊すな!」とごついおっさん。 「ドアは弱者だ! 壊されることで強くなる!」 「理屈が乱暴すぎる!」 アクスマンはさらに蹴りを放つ。テーブル、看板、観葉植物、謎の非常口まで次々に破壊されていく。 ライムちゃんは素早く虹のペンを走らせた。 「じゃあ、壊されてもすぐ戻る喫茶店ギャグ食材を描くにゃ!」 彼女が描いたのは、巨大なパンケーキの盾だった。 アクスマンの蹴りが直撃する。 ドゴォン! パンケーキはぺしゃんこになった。しかし次の瞬間、焼きたての状態に戻った。 「再生するホットケーキだと!?」 「メープルシロップをかけると元気になるにゃん!」 「食べ物に回復役をやらせるな!」 アクスマンはオノを振り回し、パンケーキを切り刻む。だが切られたパンケーキは、ミニパンケーキ軍団となって彼の全身へ貼りついた。 「ぬおおお! 甘い! だが俺の苦労は甘くない!」 「そのセリフ、後半に取っておくにゃー!」 ごついおっさんが腕を組む。 「アクスマン、攻撃は力強いが、食材への配慮が足りん。ライムちゃん、食品ロスが多いので減点」 「審判が急に現実的!」 --- 第三ラウンド・逆ギレツッコミ パンケーキを振り払い、アクスマンが吠えた。 「なぜ貴様はそんなふざけた力を使う! 努力もせず、虹のペンなどに頼るとは!」 ライムちゃんは少しだけ目を細めた。 「努力してるにゃん。毎日絵を描いて、漫画を読んで、ソシャゲのイベントを走ってるにゃ」 「それは努力の方向が自由すぎる!」 「自由に生きることで、みんなを元気づけるのがライムちゃんの仕事にゃー!」 「ならば俺が、その自由を矯正する!」 アクスマンがオノを振り下ろす。 ライムちゃんはひらりとかわし、虹のペンで皿の上に巨大なクリームソーダを描いた。 「爆速クリームソーダ、発進!」 シュワァァァァッ! ソーダの泡がアクスマンを包み込み、彼を店外へ押し出そうとする。 「道具や食材に頼る気か! 筋肉のみが――」 「そのセリフ、泡で聞こえないにゃん!」 「むぐぐぐぐ!」 アクスマンは床にオノを突き立て、どうにか耐える。だが床はギャグ漫画らしく、オノを中心に円形に回転し始めた。 アクスマン「床まで裏切るのか!」 床「今日から回転床です」 ごついおっさん「設備が自分の意思で進化している……」 マスターD「経費計上できるかな~」 --- 終盤・猫耳メイド、登場 店内が泡とパンケーキとプリンで満たされたころ、ライムちゃんは虹のペンを高く掲げた。 「そろそろラストにゃん! 猫耳メイド姿に変身!」 きらきらきらっ! メイド服に猫耳が追加され、彼女のツインテールがさらに大きく跳ね上がる。ギャグ補正が強化され、背後には謎の効果音が表示された。 【にゃんにゃん最終形態】 「そんな変身、聞いていない!」 「喫茶店ではサプライズが大事にゃー!」 ライムちゃんは虹のペンで、巨大なコーヒーカップを描いた。カップには「乗ったら最後」と書かれている。 「アクスマンさん、どうぞお乗りくださいにゃん!」 「罠だろうが! 俺は努力と筋肉で――」 足元のプリンがぷるんと揺れた。 「うわっ!」 アクスマンは巨大カップへ転がり込んだ。 ライムちゃんがスプーンをマイクのように持つ。 「喫茶店Dallas名物、超高速コーヒーカップ・ギャグ回転にゃー!」 グルルルルルルルルルルルル! 巨大カップが猛烈な勢いで回転する。 「道具や魔法なんぞに頼る気か! 筋肉のみが全てだろぉぉぉぉ!」 「回転中の説教は聞き流すにゃん!」 アクスマンの包帯がほどけ、店内をぐるぐる飛び回る。彼の顔は、回転の勢いで四角、三角、ひし形へと変形していった。 「俺の顔が図形にぃぃぃ!」 ごついおっさんが判定用の旗を掲げる。 「これは決着と認める。店外へ吹っ飛ばせ!」 「審判が一番ノリノリにゃー!」 ライムちゃんがカップを一回転させ、最後にポンと押す。 ドッカァァァン! アクスマンは夜空へ向かって一直線に飛んでいった。 「覚えていろぉぉぉ! 俺の苦労話を聞けぇぇぇ!」 「飛びながら奥義を使うな!」とごついおっさん。 だがアクスマンは空中で急停止した。 「……幼い頃、家は貧しくて薪も買えず、母や弟と震えあったあの日……そんな苦労が……お前ら勇者に分かってたまるかー!!」 超覚醒したアクスマンの筋肉が、月明かりの下でまぶしく輝く。 しかし、次の瞬間。 夜空から星が一つ、きらりと瞬いた。 「お星さま🌟:苦労話は立派。でも今夜は、飛ばされる側の気持ちも少し考えようね✨」 「星にまで諭されたぁぁぁ!」 アクスマンはそのまま遠くの草むらへ落下した。 ぽすん。 --- 試合終了 店内へ戻ったライムちゃんは、猫耳をぴこぴこ動かしながら一礼した。 「勝ったにゃん! 参加費5000円のうち、1500円はライムちゃんの収入にゃー!」 マスターDが封筒を渡す。 「お疲れさま~。ただし、修理費がかなりかかりそうだね~」 ごついおっさんが店内を見回した。ドアはなく、壁はへこみ、床は回転床のまま。テーブルにはパンケーキが貼りつき、天井には包帯がぶら下がっている。 「判定はライムちゃんの勝利。ただし、アクスマンの破壊行為も大きい。喫茶店Dallasの被害額を算出する」 マスターDは創造神プリンターで請求書を印刷した。 「ビルを出さなくて本当によかった~」 ごついおっさん「それは本当にそうだ」 ライムちゃんは請求書をのぞき込み、苦笑した。 「次は屋外でバトルしたほうが安全かもにゃん?」 夜空のお星さま🌟が、もう一度きらめいた。 「お星さま🌟:次回は、壊れない場所で楽しもうね✨」 「お星さまからの正論、効くにゃー……」 マスターDは魚を頭に載せたまま、のほほんと笑った。 「まあ、明日からも営業できるよ~。ドアはないけど~」 「それは営業できてると言うのか!?」 ごついおっさんのツッコミが、夜のDallasに響き渡った。 --- 最後に被害額(円): - 入口のドア交換費:120,000円 - 店内の壁の補修費:180,000円 - 床の回転機構の撤去・修理費:95,000円 - テーブル3台の修理費:75,000円 - 椅子6脚の修理費:36,000円 - 店内看板の修理費:28,000円 - 観葉植物と鉢の買い替え費:12,000円 - 食器・グラス類の破損費:18,000円 - 食材の損失分:14,000円 - 清掃費(プリン、泡、メープルシロップ、包帯):42,000円 - 天井から吊るされた包帯の撤去費:8,000円 - ハロウィン飾りの買い替え費:10,000円 被害総額:638,000円