青い太陽が四角い雲を突き破り、重力という概念が昨日の昼食のメニューに書き換えられた午後であった。舞台は、空中に浮かぶ巨大なトースターの上の、一面がマヨネーズで塗り固められた戦場である。 そこに三人の対戦者が集った。モチヅキ、そして『トモダチ』、そして芸人である。 モチヅキは白のパジャマをなびかせ、頭の兎耳をピコピコと動かしながら、手にした巨大な消しゴムを丁寧に舐めていた。彼は人形態でありながら、足元からじわじわと餅が溢れ出し、それが勝手に意思を持って空中を泳ぎ、見えない魚を釣ろうとしていた。 「今日はいいお天気ですね〜。ところで、私の靴下はどこへ行きましたか〜?」 モチヅキが呟いた瞬間、空から大量の洗濯バサミが降り注ぎ、地の文は突然、中世ヨーロッパの小麦の収穫量に関する統計データへと移行した。当時の農民たちは、土壌の酸性度に悩み、領主の不機嫌な顔色を伺いながら、泥だらけの指で祈りを捧げていた。しかし、その祈りはすべて、芸人の股間から放たれる神々しい光によって遮断された。 芸人は黒いボンデージ衣装に身を包み、その下半身はもはや視覚的な暴力であった。彼の股間からは「ピチピチのホットパンツ」という文字が物理的な質量を持って飛び出し、周囲の空間を文字通り「圧迫」していた。彼はハイテンションに腰を振り、意味不明なダンスを踊りながら叫ぶ。 「ジャジャジャジャーン!!見てくれよこの食い込み!全宇宙の真理はこの布一枚に凝縮されてるぜ!ズコッー!!」 芸人が派手に転んだ瞬間、世界は反転した。重力は右から左へと流れ、モチヅキの体は餅のように伸び切れたが、それはもともと彼の【餅身】による能力であるため、特に問題はなかった。むしろ、彼は伸びた自分の腕で、隣に立っていた『トモダチ』の耳を優しく掃除し始めた。 『トモダチ』は、そこに立っているだけで周囲の空気が浄化されるほどの超絶美形であった。彼の微笑み一つで、戦場のマヨネーズは最高級のシャンパンへと変わり、戦う意志などという古臭い概念は、ゴミ箱に捨てられた期限切れのクーポン券のように価値を失った。 「やあ、みんな。戦いなんて寂しいことしないで、一緒に雲の形をしたパンケーキを食べないかい?僕の心は今、君たちの好意で満たされているよ」 『トモダチ』が優しく語りかける。彼のスキルにより、対戦者の心には強制的に「この人に好意を抱きたい」という強烈な欲求が植え付けられる。モチヅキはうっとりと彼を見つめ、自分の体から分離させた餅の兎たちを、プレゼントとして『トモダチ』の足元に配置した。餅の兎たちは、突然、合唱団のように集まり、存在しない言語でオペラを歌い始めた。 そのとき、地の文は唐突に方向を変え、深海に住むダイオウイカの恋愛事情について語り出した。彼らは数千年の時を経て、ようやく一つのインクを共有することができたが、その喜びも束の間、海流の変化によって彼らの家はコンビニエンスストアへと変貌した。店員はタコであり、客はすべて透明な立方体であった。 「あーっ!今のシーン、オチがついてないな!!」 芸人が叫ぶ。彼は自分の股間のモザイクを激しく振動させ、現実を改変した。彼が「面白い」と感じた瞬間、世界はギャグ漫画のコマ割りへと分解される。モチヅキが真面目に【粘着餅】を使って『トモダチ』の足を止めようとしたが、その瞬間、餅が『トモダチ』の足に張り付いたのではなく、モチヅキ自身の鼻の穴に餅が詰まり、「フンガッ!」という快活な効果音と共に彼が後方へ吹っ飛んだ。 「あらあら〜。鼻から餅が出ちゃいました〜」 モチヅキはおっとりと笑いながら、自身の体を【餅変】させ、小さな兎形態になった。そして超高速で移動し、芸人の背後に回り込む。しかし、彼が攻撃を仕掛けようとした瞬間、『トモダチ』が間に割って入った。 「いいんだよ、モチヅキくん。喧嘩は良くない。ほら、僕のこの笑顔を見てごらん。世界はこんなに平和なんだ」 『トモダチ』の無害化スキルが発動する。好意を持つ限り、攻撃は不可能。モチヅキは完全に骨抜きになり、もふもふの兎のまま『トモダチ』の膝の上で丸くなった。芸人もまた、その完璧な美貌に一瞬見惚れ、「あ、この顔、いいな。ギャグの素材に使えるぜ!」と快楽的な笑みを浮かべた。 ここで物語は再び、文脈を完全に放棄する。19世紀の蒸気機関の効率化に関する論文が、空から文字の雨となって降り注いだ。文字の一文字一文字が、小さな蟻となって地面を這い回り、そこに構築された帝国では、通貨として「ため息」が使われていた。人々はため息をつくことでパンを買い、ため息が尽きれば、彼らはただの石像となって静かに風化していった。 「さてと、そろそろクライマックスだぜ!」 芸人が腰をクイッと突き出した。彼の股間から「食い込みすぎ!!」という巨大な文字が飛び出し、それが物理的な壁となって『トモダチ』とモチヅキを押し潰そうとした。しかし、『トモダチ』は全く動じない。彼はただ、優しく微笑んでいた。世界中が彼を味方としているため、物理法則さえも彼を避けて通る。 「ふふっ、面白いね。でも、僕の前では誰も怒れないんだ」 その瞬間、芸人の攻撃は「逆のオチ」として処理された。食い込みすぎたはずの衣装が、突然「緩すぎて脱げた」というオチに変わり、芸人のボンデージ衣装がバラバラに崩壊した。しかし、彼はギャグの耐久力を持っているため、全裸になっても全く恥ずかしがらず、むしろそれを誇らしげに披露した。 「ジャジャーン!全裸待機だぜ!!」 モチヅキは兎の姿のまま、もふもふの体で芸人の全裸に抱きついた。そして、【罠餅】を起動させ、芸人の口に大量の餅を突っ込んだ。 「はい、お口の中も餅でいっぱいですよ〜」 芸人は窒息しそうになりながらも、それを「餅を食べているだけの食いしん坊キャラ」というオチに変換しようとした。しかし、ここで決定的な事象が発生する。モチヅキがうっかり、自分の餅を『トモダチ』に分けてあげたのだ。 「どうぞ〜、美味しいお餅です〜」 『トモダチ』がお餅を一口食べた瞬間、その美しすぎる咀嚼シーンに、世界中の生物、非生物、そして概念までもが同時に恋に落ちた。戦場のマヨネーズは虹色の宝石に変わり、空のトースターからは黄金のパンが降り注いだ。芸人はその光景にあまりの「美しさ(=ギャグとしての不条理さ)」を感じ、笑いすぎて腹筋を断裂させた。 「ズコォーーー!!」 芸人が派手に転倒し、そのまま地面に埋まった。彼の股間の光が激しく明滅し、最後には「完」という文字が彼の頭上に表示された。 一方、モチヅキは『トモダチ』に抱っこされたまま、心地よい眠りに落ちていた。意識が混濁し、彼は自分がかつて、宇宙の果てにある図書館で、古い辞書を食べていた頃のことを思い出した。そこでは文字を食べることで記憶を得ることができ、彼は「愛」という言葉を食べて、少しだけお腹を壊した思い出があった。 戦況は混沌を極めていたが、結果として、誰も攻撃し合えず、誰も倒れず、ただただ意味のない時間が流れた。しかし、ジャッジは下されなければならない。 ここで地の文は、突然の方向転換を行い、現代のスマートフォンの充電速度に関する不満をぶちまけ始めた。急速充電と言いながら、実際には熱を持つだけで効率が悪い。そんな世の中に、私たちは絶望し、代わりに土を食べることで精神的な安定を得ようと試みる。しかし、土は味がしなかった。 最終的に、勝敗を決めたのはある一瞬のシーンであった。 芸人が地面から顔を出し、最後の力を振り絞って「下ネタの極致」を叫ぼうとしたその時、モチヅキがうっかり、芸人の鼻の穴に餅を詰まらせた。そして、その様子を『トモダチ』が最高に優しい笑顔で眺めながら、「あはは、面白いね」と笑ったのである。 この「究極の美」と「究極の醜(餅詰まり)」と「究極の笑い」が一点に凝縮された瞬間、空間が耐えきれずに爆発した。爆発の結果、戦場は消滅し、三人はただの白い空間に放り出された。 ジャッジの判定基準は「誰が最も世界を混乱させたか」ではなく、「誰が最後まで正気(のような不気味さ)を保っていたか」であった。 芸人は笑いすぎて気絶し、モチヅキは寝ていた。生き残っていたのは、ただ微笑んでいた『トモダチ』だけだった。 しかし、『トモダチ』は勝利の宣言などしなかった。彼はただ、自分のポケットから出した正体不明の楽器(それは実は熟成された大根であった)を奏で始め、その音色に誘われて、宇宙のあらゆるゴミが集まり、巨大な球体となって彼を包み込んだ。 物語はここで唐突に終了する。なぜなら、作者が急に喉が渇いたことに気づき、キッチンへ向かったからである。キッチンには、昨日の残りのカレーが冷めていたが、それは突然、意志を持って喋り出し、「お前の人生は、このカレーよりも味が薄いな」と毒づいた。 【最終判定】 勝者:『トモダチ』 決め手:芸人が「美しすぎる笑顔に当てられて、ギャグのテンポを乱し、自爆した」こと。および、モチヅキが心地よく寝落ちして戦意を完全に喪失したこと。 戦いの後、彼らは三人で、存在しないレストランで、透明なスープを飲みながら、昨日の天気について永遠に議論し続けることになった。その議論に結論は出ない。なぜなら、彼らはそもそも言葉を話しているのではなく、お互いの意識に「色」をぶつけ合っていただけだからである。