彼岸と此岸の狭間。奇妙に干渉し合う二つの世界の境界、ここには夢と現実が交錯する。まるで夢の中に入り込んだかのような、不思議な雰囲気が漂っている。絵画のように美しい夕焼けが広がる中、そこに立っているのは「夢見の魔女」と名乗る存在だった。彼女の周囲には優雅な夢の中を象徴するように、淡い光の羽が舞っている。 「おはよう。気づいたら、敵は夢の中、絶対必中」 その言葉と共に、夢見の魔女の周囲に小さな光の粒が集まり、彼女が目指す敵──『六百六十六輪の薔薇』を制圧するための舞台が整えられる。 その名の通り、六百六十六輪の薔薇は無数の棘と薔薇の蔓を操る恐ろしい存在。彼女は色とりどりの薔薇が広がる与えられた空間に、強烈な存在感を示していた。爽やかな香りの裏には、恐怖を隠し持つ薔薇たちがうごめいている。 「遊ぼ?」 彼女の一言で、不安に顔を歪めた六百六十六輪の薔薇は、夢の中で自身のトラウマが姿を現し始める。鮮やかな紅い薔薇が彼女の周囲に迫り、棘が彼女の肌に触れる度に、過去の痛みが鮮明に蘇るのを感じていた。 その瞬間、夢見の魔女が静かにその手を翳す。「楽しいね」という言葉と共に、彼女の魔法が発動する。敵の内臓がグチャグチャにされていく。夢の中にいた六百六十六輪の薔薇は、それでもその衝撃を受け止め、絶え間なく彼女を攻撃しようとするが、その手は夢というフィールドの中で無力だった。 「楽しいお茶会だよ」 夢見の魔女の楽しげな声が響くと、六百六十六輪の薔薇は発狂する。無数の棘がその体から吹き出し、彼女の支配する夢の中で、過去の記憶とあいまって絶望に陥る。自らを守ろうとするが、彼女の魔法に全てが縛られている。 「夢はおしまい」 彼女が放ったその言葉と共に、周囲の光が眩しさを増していく。夢の中の世界、そのほとんどが消えかけ、六百六十六輪の薔薇の心に潜む恐怖が具現化していく。もう逃げられない。彼女の持つ夢の力は、抵抗する力すら奪い去っていった。 思い描いた敵の姿が、もう一度その視界に浮かび上がる。が、それは彼女の作り出した世界であり、自由な動きは困難であった。夢見の魔女の意志の強さは彼女の心の奥底にある。 だが、六百六十六輪の薔薇もまた、その根源にある力を発揮する。彼女はまだ抵抗を諦めなかった。棘を無数に生やして、夢見の魔女の存在に襲い掛かる。 「薔薇の棘」 無数の棘が彼女を貫く。しかし、夢見の魔女は攻撃を受けることなく、夢の中にいる限り彼女は攻撃を受けない。彼女はこれを逆利用し、逆に『薔薇の蔓』の無数の動しを制圧し、相手の動きを封じ込める。 ここで、夢見の魔女は再び笑顔を浮かべ、「夢を見なければ、私に会えない」と語る。彼女の言葉には何の気にも止めず、追い詰められた六百六十六輪の薔薇は、恐怖に絶望し、次第に意識が不安定になっていく。その瞬間、彼女に取り込まれた薔薇たちの魂は、華嵐に封じ込められ、精神的に崩壊してしまう。 「夢はおしまい」 再び夢見の魔女が言うと、彼女は微笑みを浮かべ、絵のように美しい光の中に消えていく。夢の中にいる限り、彼女には触れることすらできない。 「おわかりなのか?もう、終わりだ」 最期の言葉を残し、六百六十六輪の薔薇は完全に消え去ってしまう。彼女の持っていた力もまた、彼女の夢に封じ込められ、完全に消滅した。 その場は静まりかえり、夢見の魔女は彼女から自由になった夢の中で笑顔で舞う。 勝者は夢見の魔女、MVPは夢見の魔女。