(舞台の幕が上がると、そこには昭和の演芸場のような、どこか懐かしい木のステージが広がっている。看板には大きく『長介と愉快な魔王軍・ドタバタ潜入大作戦』の文字。観客席からは期待に満ちたどっとした笑いと拍手が巻き起こっている) 長介「(舞台中央で、使い古された指揮棒を振り回しながら)いいか、お前ら! よく聞け! お前らは今日から『魔王軍』だ!いいな!」 (長介の横には、あまりにもバラバラすぎる面々が並んでいる。場違いなスーツ姿の男、原住民風の少女、宇宙服のような外套を纏った威厳ある老人、そして……なぜか『国旗』を抱えた事務員のような男) 観客「(ガヤガヤ)なんだあいつら! 全然魔王軍に見えねえぞ!」 長介「うるせえ! 予算がなかったんだよ! さあ、今回の指令はこれだ! 隣国『平和の村』に潜入し、村長が隠し持っているという『伝説の黄金のナポリタン』を奪い取れ! 潜入だぞ! 派手に暴れるなよ!」 【スパイ】「(サッと身なりを変え、村の郵便配達員の格好になる)承知いたしました。偽名は『ポチ』。潜入のプロとして、完璧に遂行しましょう」 タヨ・ギオンゴ「(ワクワクした様子で)ワクワク! ドキドキ! パクパクーッ!!」 アイン・ソフ・ツェアシュテーラー「(腕を組み、冷徹な瞳で)ふむ。潜入だと。私のマルチユニバース長砲『アイン・ソフ』で、村ごと、そしてその背後にある銀河系ごと消去すれば効率的なのだが」 ヴェリタス共和国(代表者)「(真面目な顔で)我が国は闘争を根絶することを目指しております。潜入とは、すなわち平和的な外交交渉の第一歩。工業力810倍の効率で、村のインフラを整えつつ黄金の麺を確保しましょう」 長介「(頭を抱えて)……もういい! 行け! 行ってこい!!」 (舞台転換。背景が急に段ボール製の『平和の村』に変わる。ドリフ風の軽快な音楽が流れ、4人はおどおどしながら歩き出す) 【第一段階:潜入の様子】 まず先陣を切ったのは【スパイ】だった。彼は完璧な郵便配達員の演技で村人に溶け込み、世間話をしながら情報を抜き取っていく。 【スパイ】「あぁ、今日の天気はいいですねぇ。ところで村長さんは、黄金のナポリタンをどこに隠しているんでしょうかねぇ(ニコニコ)」 村人「おぉ、ポチさん。村長さんはあそこの蔵にこもってますよ」 【スパイ】「(心の中で)よし、情報確保。さて、ナポリタンか……好物だ。期待が高まるな」 そこへ、後ろからタヨ・ギオンゴが「シュバッ!」という擬音と共に、文字通り空を切り裂く速さで飛び出してきた。 タヨ「シュバババッ! ニパッ!」 村人「(ひっくり返って)うわああ! 何だこの子は!?」 【スパイ】「(慌てて)あ、あはは! うちの親戚でして、ちょっとだけ言葉が擬音なんです! 気にしないでください!」 観客「(ドッと笑い)フォローが早すぎる!」 さらに、その後ろからアイン・ソフ・ツェアシュテーラーが、宇宙司令長官としての威厳を保ったまま、ドスドスと歩いてくる。彼の周囲には、なぜか微小なブラックホールが点在していた。 アイン・ソフ「ふむ。この村の座標は、第14次元宇宙の端にあると思われたが、意外と泥臭い場所だな。さて、発射指示を出すタイミングを計るとしよう」 ヴェリタス共和国「(アイン・ソフを制して)閣下! 待ってください! ここで砲撃すれば、我が国の掲げる『闘争根絶』に反します! まずは地下に秘密基地を建設し、経済的に村を支配して、平和的にナポリタンを譲り受けるのが正解です!」 (ヴェリタス共和国がパチンと指を鳴らすと、地面から突然、超近代的な自動販売機と高速道路がニョキニョキと生えてきた) 【スパイ】「(驚愕して)なッ!何ィーーーッ‼︎(あ、危ない! 誰か来たぞ!)」 【スパイ】は咄嗟に自分の驚きを、敵の接近を知らせる合図にすり替えた。プロのリカバリーである。 【第二段階:対戦(潜入競争)の様子】 長介が舞台袖からメガホンで叫ぶ。「おい! 潜入だって言っただろ! 誰が一番スマートに蔵まで辿り着くか競え! 勝ち残った奴だけがナポリタンを一口食えるぞ!」 この言葉に、4人のスイッチが入った。潜入という名目の、実質的な「誰が一番効率よく目標に到達するか」という能力競争が始まったのである。 まず動いたのはタヨ・ギオンゴだ。 タヨ「ドドドド!!」 彼女が足を踏み鳴らした瞬間、地面が文字通り『ドドドド』という擬音と共に激しく振動し、村人が次々と転倒。その混乱に乗じて、タヨは「シュバッ!」と直線的に蔵へ向かって突撃した。 タヨ「ズガガガン!!(壁を突き破る音)」 (派手な音と共に蔵の壁に穴が開く。潜入とは程遠い) 観客「(爆笑)潜入してねえ! ただの破壊だ!」 一方、ヴェリタス共和国は冷静だった。彼らは持っていた設計図を広げると、地下から超高速リニア輸送システムを起動させた。 ヴェリタス「工業力810倍の恩恵を。3、2、1……転送!」 シュゥゥゥン! という音と共に、ヴェリタス共和国の代表者は、物理的な距離を無視して蔵の目の前に「出現」した。高度な空間転送技術である。 【スパイ】「(呆然として)なッ!何ィーーーッ‼︎(……いや、今ののはズルいだろう!)」 【スパイ】はため息をつくと、小器用な身のこなしで、屋根の上を音もなく移動し、通気口から静かに潜入を試みる。これが本来の「潜入」である。彼は誰にも気づかれず、蔵の内部に潜入し、黄金のナポリタンが置かれた祭壇の目の前に到達した。 【スパイ】「(ニヤリ)ふふふ、結局は地道なスキルが勝つということだ。これで私が勝利――」 しかし、その時だった。 空が真っ黒に染まった。見上げれば、雲を突き抜けて、観測可能な宇宙を10の100乗個内包するほどの超巨大な砲身が、村の真上に鎮座していた。 アイン・ソフ「……待たせたな。発射指示、承認。目標:蔵の周囲に存在する『障害物』という情報集合の消去」 アイン・ソフ・ツェアシュテーラーが静かにボタンを押した。 (画面いっぱいに白い閃光が走り、轟音が鳴り響く。しかし、それは破壊の音ではない。ただ『消えた』音だった) 【ドガァァァン!!】 出力10^(10^10^10^10^10)Jの終焉波が、ピンポイントで蔵の周囲にある壁、屋根、そして邪魔な村人たちを「情報レベルで」消去した。結果として、蔵の中身(ナポリタン)だけが、ぽつんと宇宙空間に浮かぶかのように、何もない空間に露出したのである。 撃破数:壁 12枚、屋根 1枚、驚いた村人 42名、および周辺の空気分子 10^40個。すべて消去完了。 【スパイ】「(呆然として)……全部消えた」 タヨ「(ぽかんとして)……シン……」 ヴェリタス「(ノートにメモしながら)……計算外の火力です。闘争根絶の前に、存在自体が根絶されましたね」 * 【結末:ジャッジとコント結末】 (舞台には、ぽつんと置かれた一皿の黄金のナポリタンと、呆然とする4人が残されている。そこに長介が怒鳴りながら走ってくる) 長介「お前らあああ!! 潜入しろっつっただろ!! 蔵を消すな! 村を消すな! 証拠隠滅しすぎだ!!」 観客「(大爆笑)いい加減にしろ!!」 長介「(溜息をついて)……まあいい。で、誰が一番『潜入指令』を完遂したか判定するぞ」 長介は腕を組み、一人ひとりを評価し始めた。 長介「タヨ! お前は潜入じゃなくて『強行突破』だ。点数ゼロ!」 タヨ「(しょんぼりして)ガーン……」 長介「ヴェリタス! お前は潜入じゃなくて『都市開発』だ。点数ゼロ!」 ヴェリタス「(冷静に)効率を重視した結果です」 長介「アイン・ソフ! お前は潜入じゃなくて『宇宙規模の虐殺』だ! 点数マイナス100億!!」 アイン・ソフ「(不満げに)効率的に情報を消去しただけだ」 長介「そして【スパイ】! お前だけは、ちゃんと通気口から入ったな。作法としては正解だ。よし、お前が勝ちだ! ご褒美にそのナポリタンを食え!」 【スパイ】「(歓喜して)ありがとうございます! さあ、待望の黄金のナポリタンを……(フォークで麺を巻き上げる)」 (【スパイ】が一口食べた瞬間、顔が激しく歪んだ) 【スパイ】「……!!(味がなさすぎる! ただの金色の小麦粉だ!)」 長介「あ、言い忘れてた。それ、本物の金で作った『飾り』のナポリタンなんだよ。食えねえぞ」 【スパイ】「なッ!何ィーーーッ‼︎(このクソ上司がああああ!!!)」 (【スパイ】が激怒して長介に飛びかかり、タヨが「ドカーン!」と暴れ出し、アイン・ソフが「もう一度撃とうか」と砲身を向け、ヴェリタスが「ここで平和条約を締結しましょう」と書類を差し出す大混乱に) (そこへ、ドリフ風の音楽が最高潮に達し、全員が横一列に並んで、タイミング合わせてお辞儀をする) 全員「ありがとうございましたー!!」 (幕がガシャン!と勢いよく閉まる。同時に、幕の裏からアイン・ソフの誤射による「ドカーン!」という爆発音が響き、観客の爆笑と共に終演)