深い緑に囲まれた山奥、ひっそりと佇む小屋の前で、静寂が破られる。かりんと桂、二人の者が、元・英雄との戦いに臨もうとしていた。 「私、頑張るから!」 小柄な少女、六道かりんは、全力を込める決意を示し、小さな拳を握りしめた。その赤いロングヘアーが、風になびく。彼女は元・吸血鬼の王でありながら、今は人間社会を学ぶことを選び、本来の自分と向き合っている。だが、もはや彼女の身に残されたのは、元の血によってもたらされる呪いと新たに受け入れた善行なのだった。 対照的に、山尾桂は背筋を伸ばし、余裕を持った笑みを浮かべている。「あっはは、気にすんな!絶対に勝つから!」 彼女は天狼忍群の末裔であり、何代も受け継がれてきた体術の達人であった。その強さは、天流グループの技を使った時に恐るべき速さで発揮される。 元・英雄、その名は霧野侘女。彼女の赤いロングヘアが、戦闘に向かう彼女の心情を見透かすかのように、あらゆる事を拒絶する。彼女はその場に立ち、卓越した美しさと共に圧倒的な存在感を放っていた。「私の粉砕拳で、君たちを打ち砕く!」 侘女の宣言が場を引き締めた。 戦闘が始まった瞬間、元英雄が恐るべき速度で前進し、かりんに向かって粉砕拳を放つ。彼女の拳は、ただ空気を叩くだけではなく、波紋を生じさせ、周囲の風景までも揺らす。 「霧の躯!」 かりんは、反射的にその身を霧に変化させ、侘女の拳を回避する。その瞬間、彼女は本能的な危機感を抱いた。 「もっと実力のある子だと思ったけれど、これが精一杯か?」侘女は冷酷な笑みを浮かべた。 桂はそのやり取りを見逃さない。「こうなったら、私が行く!」と言いながら、俊敏な動きで間合いを詰める。桂の体術を駆使し、彼女は影のように動いていく。「影縫!」彼女は苦無を使い、侘女の影を突いた。 「ふん、無駄だ!」 侘女は余裕の笑顔を崩さず、素早く跳躍してその攻撃を避ける。そして、再び街を振り返り、桂の正拳突きを乱撃のように反撃した。彼女の拳は止まることなく、まるで鬼神のように桂へ向かっていく。 桂は反応し、逆巻の技を発動する。「やらせるか!」 反撃の一撃で、侘女の拳を弾き飛ばす。しかし、侘女はそれを微笑みで受け流し、次の瞬間には粉砕撃・脚撃を放った。 「ぎゃあ、うっ!」 桂は思わぬ攻撃で跳ね返され、地面に倒れた。その間に、かりんは再び戦場に戻り、元英雄に向かって吸血を試みる。「あの、あのね、お願い!血を分けて…」しかし、侘女はその申し出を一蹴する。「君の血など、私にとっては何の価値もない。」 かりんは一瞬の隙を突き、霧の躯を利用しながら一撃を加えようとするが、侘女の動きは人知を超えた速さであった。連続する粉砕拳は、周囲の空気を割りながら、あっという間にかりんを打ち砕く。 「うぅ、力が…」かりんの力は徐々に失われていく。だが彼女には、まだ残された特技がある。「私の血で、仲間を救う…救恤!」 エネルギーを振り絞り、かりんの血が桂に注がれ、彼女の傷は急速に癒されていく。しかし、彼女自身の貧血が悪化し、その体を苦しめる。 「かりん!無理するな!」桂は声をあげ、状態を見守る。 「平気…平気だよ…」かりんは強がるが、その顔色は明らかに青白い。 「そんなこと言って、突っ走るな!」 桂の注意がそれた瞬間、侘女は再び粉砕拳・遠撃を放つ! 「かりん、避けて!」桂が叫ぶが、かりんはその攻撃を受ける。無情に直撃し、かりんは痛苦の声をあげた。「私…!でも、私には、まだ…」彼女は貧血を堪えながらも、吸血を試みるが、侘女にとっては微々たるエネルギー。それは彼女の力の一部でしかなかった。 「君の力は…所詮はお遊びに過ぎない。」元英雄の嘲笑が響く。“わ、わわわ、私が命じます!言う事聞いてくださいぃ!” かりんは一瞬の閃きで血の支配者を駆使し、侘女の心を掴もうとする。だが、侘女の意志は強く、彼女の命令は全く効かない。「愚か者が…自分を甘やかすな!」 ギリギリのところで、桂は再び立ち上がる。「私が、君たちを止める!」 「月桂、来い!」 彼女は天流体術の秘奥義、月桂を発動する。神狼の姿が彼女を覆い、自らを守り、次に敵を攻撃する力を得る。しかし、侘女は冷静に構え、彼女の全力を迎え撃ち、粉砕撃・滅撃を準備した。 「天狼と化す君など、何の意味もない。」 桂は、一瞬で駆け込み、霧のように消失し、侘女の側に圧倒的に迫る。「来い、勝負だ!」 その刹那、侘女が粉砕撃・滅撃を放つ!大地が揺れ、何もかもが崩れ去る。桂は必死でそれを受け止めるが、その力に飲み込まれ、身体は吹き飛んでいく。 「桂!」かりんが叫ぶ。 “これにて終わり!” 侘女が言う。その瞬間、桂の力が消え、完全なる敗北を迎えた。 場は静まり返り、元・英雄が冷酷に勝利を語る。「君たちの挑戦、面白かったよ。」 だが、彼女の隙が生まれた瞬間、かりんは新たな決意を固める。「諦めない…私が…やる!」 かりんは完全に力尽きた桂を見守りながら、最後の力で「粉砕撃を打ち破る!」怒りと思いが渦巻く。だが、その瞬間はもはや遅すぎる。 「結果は変わらない。君たちは私には勝てない。」 山奥の小屋の前で、元英雄の勝利が確定した。 — 勝敗:元英雄の勝ち —