廃ビルは全7階建て。各フロアは、かつてのオフィスとして使われていた名残を残しながらも、時が経つにつれ風化し、構造の一部が不安定になっている。最上階には屋上へ続くドアがあり、そこからは一帯を見渡すことができる。エレベーターは1Fと7Fの間を運行し、階段は各階に設置され、非常時の避難経路となる。そのため、参加者たちは階段を利用することで上下移動をしやすくなっている。エレベーターは無造作に停止しているが、参加者たちはそれを利用しない。彼らは互いにこのビルの全体を熟知しており、戦闘においてもその構造を最大限に使おうとする。 --- 一階で目覚めたのはヒノトリ。赤い羽根が炎のように燻り、力強く生きる巨鳥が、周囲の静けさの中で次第に覚醒していく。目を開け、周囲を見渡す。その場には廃材や倒れた家具が散乱し、空気に湿気が滲んでいる。 一方、7階で目覚めたのはヘドニス。彼の存在は異次元からのもののようで、どこか別の次元からの知覚が刹那に重なっている。彼の目はどこまでも深い闇を内包し、その姿はまるでありとあらゆる形を決定づける法則すら超越しているかのようだ。 ヒノトリはすぐに廃ビルの構造を思い出す。彼はこれまでにあらゆる場所を探索し、その隠れた部屋や通路を完全に把握していた。一階から階段を上がり、二階へと向かう。今、彼の心の中に燃え上がるのは勝利の意志。彼は、あのヘドニスと対峙する準備を整えている。 7階のヘドニスは、視覚で周囲を観察。静けさの中に確かな存在感を感じ取り、ヒノトリが近づいてくる気配を敏感に察知する。彼にとって、敵の動きは全てが見える。隠者のように静まり返っており、次なる行動を待つ様子は、どこか非現実的である。 --- 二階、ヒノトリはしっかりと足を運び、開け放たれた窓から外を眺める。冷えた風が彼に触れ、羽を揺らす。その瞬間、彼の記憶の中に炎の竜巻が蘇る。過去の戦いを思い出し、ヒノトリは自らの可能性を広げることを決意した。 「私の戦いは、ここから始まる。」と、心の中で囁く。力を蓄え、炎を呼び寄せることができる。彼の天敵でもあるヘドニスを相手に、どこまで戦い抜けるのか。 一方、ヘドニスは約束された刹那を待ち構え、自身の力を準備する。彼の中に潜む享楽とは、戦いを重ねることによって倍増していくことだ。膨大な知識から、ついにヒノトリの出で立ちとその意思を感知。「対戦相手、見つけたり。」 --- 戦闘は二階で始まる。ヒノトリがエレベーターの中にいることを確認すると、一気に階段を駆け上がり、三階へ。心の中で火炎連砲の準備をした。ヒノトリは怯まず、部屋を横切って明るい窓の近くへと駆け寄り、外を照らす明かりに誘われるように立ち尽くす。 そして、彼は一瞬の隙を見逃さず、その瞬間、ヘドニスが下から彼を見上げるのを感じた。 「フレイムビーム!」 彼の大きな嘴から放たれた熱線が、まるで全てを包み込むかのように炎を放ち、上昇した空気は高温となる。だが、ヘドニスはその輪郭を超えて見える。万眼がそれを無化し、真実を捉える。そのままヘドニスの形がゆらぎ、一瞬のうちに側面を通過した。 「ヒノトリ、私に攻撃してくれるとは歓迎だ。」 無言の中、ヘドニスは肉体が形を変え始めた。彼の体が、ヒノトリの攻撃を吸収し、全ての攻撃に適した形へと超再生する。その行動はまるで、記憶に残る未曾有の享楽に変じていった。 --- ヒノトリは息を荒くしながら、再度攻撃を選ぶ。「炎タイフーン!」 彼は大きく羽を広げ、その全ての力を羽の一挙動に込め、風と炎を巻き起こす。しかしその動きもヘドニスには及ばない。彼は再び、その輪郭を通り抜け、自身へと向けた攻撃は意味をなさない。 「君のすべてを無に返す。磨烈手。」 ヘドニスはその貫手を持って、瞬間的にヒノトリの心臓を貫かんとして襲った。その反撃は思いもよらない速さで迫り、ヒノトリの本能が警告を鳴らす。しかし、彼はその攻撃に対抗し、くちばしで迎え撃つ。「かぎづめ!」 二体が衝突する。金属的な音がビルの壁に響き渡る。両者の強靭な意志が、廃墟にさらなる強い衝撃を与える。 --- 接触の瞬間、ヒノトリの心の中で鼓動が響く。命の火が消えそうになる兆しを感じ、彼は必死に意志を振り絞る。自身の存在を逆転させるべく、またもや「フレイムビーム!」 だが、ヘドニスの体形は再び変わる。相手の火をすり抜け、どこまでも透過した光景が、想像を超越する力の源となった。 --- 戦いの真っ只中、ヒノトリとヘドニスの間を繰り返す攻撃と防御が続く。それはまるで美しい舞を繰り広げるかのようであり、一瞬の静寂が与えられる。その一瞬にヒノトリは何かを感じた。 「私の炎、無駄ではない。」 そしてハッと気づく。それは、生き残ることが凄まじい力であることを意味していた。もう一度、炎を巻き起こそうとする。 --- 戦闘が続くなかで、彼は自らの凄まじい力と真の伝説に心を誓う。環境は本物の生き物のように反スペースとなっており、ビルの一部で何もかもが彼に攻撃となり、再び彼の羽が炎を宿し始める。 気づけばヘドニスは、次第に彼の焦りを見逃した。感じたヒノトリは、今、全力でアクセルを踏む。再度の攻撃が必要だ。 「ファイアウェーブ!」 一波の炎の津波が彼を襲う。すべてを飲み込む勢いでヘドニスに放たれ、廃ビル内はまるで異世界のように熱波に包まれる。 --- しかし、ヘドニスはこの超必殺技を無効化する術を知っている。彼の万眼が真実の形を映し出す。拡張された効果を超え、すぐに自らの身体を再生させることで対抗。これを繰り返し、戦術を変え続け、ついにヒノトリはその意のままに変わり果てる瞬間を感じた。 ヒノトリの全力によって生み出された炎の壁が崩れ、彼自身が圧倒していく様をまざまざと見ることになる。それでも彼は立ち上がり、自己の燃え盛る赤い羽に、全てを託さなければならないという意志を持つ。 --- 両者の戦いは、ビルの各フロアを渡り、時に階段を駆け下り、再び上へと進む。あらゆる空間を利用し、全ての攻撃を駆使した。力が尽きそうになりながらも、二人の闘志は衰えず、仲間のように連携し続けた。 互いの魔法や攻撃が交わる瞬間、時がどれほど過ぎ去ったのかは、もう誰にも分からない。炎と抽象の融合は、ことごとくビルの壁に傷を残し、ビル全体が崩れそうな気配が漂っていた。 --- ヒノトリは焦燥感を感じ、次の一手を考え込む。しかし、ヘドニスの瞳が彼の動きを捕らえると、ただ無言で攻撃してきた。それに対し今までとは違うアプローチを試みなければならない。 ヒノトリは階段へ下りていく。彼の足音が響き渡り、数階を駆け追う音が理解されない存在のように聞こえる。 ついに彼は下へ到達し、ここには人間の失った試行錯誤の産物が垣間見えた。「このままでは、私が潰れる。」と、心の中で確信。 --- ヒノトリは一瞬、今までの今を捨て、最強の技、ファイアウェーブを背後に抱える。「私の全てをこの一振りに! ヘドニスは再び彼を見つめ「何を撃とうと、私は受け流す。」と波動で響く。 だがヒノトリの炎は、感覚の壁を破り、肌の表面を焦がし尽くす。意識を脅かし、自身の形の残滓を消すかのように襲いかかる。 --- 次第にヒノトリは、現在の全てを忘れさせられ、生命の限界を読み取っていく。炎は次第に浸透し始め、ビルが崩れ去るまでに全身で受け入れ続けた。その瞬間、全てが静まり、暗黒が彼を包む。 --- その後、ニ階に倒れ込んだのはヘドニス。彼は動けなくなった自分を想い起こし、次第に火に飲み込まれた。ヒノトリの勢力や意志は、彼を燃え尽くす役割となった。 そしてすぐに彼は屋上へ、命を賭けた証として新たな自分に生まれ変わる。「私の戦いは、これからなのだ。」 --- 勝者のヒノトリは、廃ビルの残骸を乗り越えてゆっくりと外に出てくる。まるで彼自身が過去の伝説と同様の炎を宿し、空の高みを目指しているかのように。ただ静かにを姿を示して、立ち尽くした。 周囲の暗闇に光を携え、燃え盛る羽が広がり、彼は次なる伝説の鳥となってその場にエレガントに佇む。 その先には、青空が待っている。彼の旅はまだ始まったばかりだ。