知雪の研究室 薄暗い室内、科学器具が並ぶテーブルの上で、知雪は資料を見つめていた。白衣を纏った彼女の眼鏡越しの瞳は、興奮と好奇心に満ちている。外の世界では、参加者たちが集まる戦いが始まろうとしている。彼女はそれを待ち望んでいた。自身の研究のために、データを得ることが何よりの目的だ。 「来たまえ。私の研究の糧にしてあげよう」 今、彼女の前に立つのはカナリアとシエル、二人の個性的な参加者たちだ。カナリアは黒い外套を羽織り、紅色の瞳をひらひらさせながら、自信に満ちた笑みを浮かべている。一方、シエルは燕尾服風のロングコートで、冷ややかな美しさを放っていた。どちらも強力な魔術師として知られる存在だ。 戦闘の開始 カナリアはゆったりとした動作で、手に煙草を取り出した。吸い込む前に、妹のソフィアの顔を思い浮かべ、思わず微苦笑する。彼女は絶対に妹の前では煙草を吸うまいと心に決めている。 「さて、私はちょっと振る舞ってみるとしようか。知雪ちゃん、君には最高の炎を見せてあげる!」 カナリアは、意気揚々と空中に火球を作り出した。そして、その火球を彼女の周囲に浮かせ、操る。「これが私の『チェンジ・ブレイズ』だ!」 知雪は感心しつつも、彼女自身の魔法の実験への興味が勝る。カナリアに対してじっくりと観察を続けた。「面白い構造だ。燃焼の際の熱の損失をどう抑えているのかぬ……」 その時、シエルが前に進み出る。「私の番だ、勝ちを略奪するのはこの私だ。」 彼女の眼差しは、真剣そのもの。内に秘めた膨大な魔力の片鱗を、今まさに引き出そうとしていた。 シエルは急に踏み込んで、地面を蹴り上げる。とたんに、その瞬間に彼女自身の魔術《宇宙逆転》を発動させる。小石が音速を超え、カナリアに襲いかかる。 「なにっ!? 速過ぎる!」 カナリアは瞬時に振り向き、炎剣を創り出し、石を一閃で弾き返そうとする。しかし、シエルはその反応を読み取っていた。彼女は火の矢を避け、カナリアの目先を横切る。 「はい、ピンポン!」 火の虹色の華がカナリアの周囲に舞い上がり、彼女を包み込む。炎の花びらが飛び交う中、カナリアは場の感染力を巧みに使い、自身の身体能力を活かしてリズミカルに動き、スピードを落とさないように炎を散りばめた。 「火がこうやって舞うと、どうなると思う?」 そんなカナリアに対する返答をしようともせず、シエルは再度《宇宙逆転》を使う。今度は蹴り飛ばした小石がカナリアの足元を狙う。カナリアはその足元を一瞬で見極め、反応する。「甘い、甘い、私は炎の姐御だよ!」 カナリアが焔盾を展開すると、ブレイズが塵と化した! 運命の一撃 二人は互いに技を繰り出し、火炎と重力が交錯していく。しかし、この戦闘の目撃者である知雪にとって、戦いは顕著なデータ収集の場であった。彼女は戦闘を観察し、どのように魔法が作用するのか、実験的にデータを集めはじめていた。 それからやがて、カナリアは自らのスキルを全開にして『フレイム・ノヴァ』を発動させる。 「私は今、限界を超える!」 黒い外套を翻し、彼女の身体から圧倒的な炎が立ち上がる。それは超新星の爆発のような力となり、周囲を席巻する。「デコピンでぶっ飛ばす!」 シエルは一瞬警戒の目を向けるも、自身の魔法を上手く引き出し、《宇宙逆転》を駆使して攻撃を反転させようとした。 しかし、反転させる間もなく、カナリアのデコピンが炸裂する。 「無理っ!」 結果 その瞬間、カナリアの力が炸裂し、シエルはその圧力によって吹き飛ばされ、戦場を離れる。部屋の内部は激しい閃光で溢れ、彼女はまるで星が散らばるかのようだった。シエルは無防備のまま、後方に倒れ、意識を失った。 知雪はその光景を目の当たりにし、胸の高鳴りが掻き立てられる。これこそが彼女が求め続けたデータの集積。すべての戦闘を観測し、最後の結論が目の前に現れた。 戦闘終了——カナリアの勝利。 知雪は微笑み、心の中で確認する。「良質なデータの提供に感謝するよ」 彼女の研究は、また一歩進んだのであった。 --- 勝者:【カナリア】