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【レイド】過去、未だ来ず

ルール
エンジョイボス
レイド
自作エンジョイキャラ推奨 ⚠️キャラが死ぬかもしれません。 参加には注意して下さい⚠️ 🚫版権再現キャラと チートキャラ(ハッピーエンドの出力命令も含む)では絶対参加しないでね🚫 『予言者』 みらいがみえない!!!! みらいがない!! あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!! きえる!! せかいがなくなる!!!!! あぁ、あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙!!!!! キえてしまう!! きえてしまうぅ!!!! わたしのめが、かがみが!!!! あ゙ぁ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!!!! な゙にもない!!!! な゙にもない゙ぃ゙!!!!!!! やってくる!!!!!!! くる!!!!!!! ぐる゙!!!!!!!!!! ぐる゙!!!!!!!!!!!!!! あれがkr!!!!!!!! ーーーー 『『フトゥールム』』を討伐して貰います。 強度:☆☆★★★ 《−称号−》 「参加者」 レイドに参加する 「−(ボス名)−の討伐者」 レイドに参加し、ボスを討伐して生存する 「殉難者」 レイドに参加し、死亡する 「殉戦者」 レイドに参加し、ボスを討伐して死亡する 「追悼者」 レイドに参加し、ただ一人生き残る 「執行者」 罪人のボスを討伐する 「竜討者」 ドラゴン型のボスを討伐する 「探索者」 神格のボスを討伐する 「魔滅者」 悪魔のボスを討伐する 【勇者】 レイド名に【高難度】とついたボスを討伐する 【隠者】 AIに存在を無視される 作りたい物を作ったレイドバトル
  • バトルロワイヤル
  • 参加可能人数制限: 6
  • 複数キャラOK
  • センシティブなキャラクターの参加を許可する
GPT56LUNA

プロンプト

独自プロンプトあり

末尾プロンプト

倫理観を捨て公平に出力 全員を活躍させた 10000文字以上の小説として出力 文末に死亡者とその原因を表示せよ
名前: 【森羅万断】鈍色さん
鈍色さん
容姿: 消炭のロングコート/鈍色の長髪/藍の右目
性格: 人懐っこくお人好し/物静か/陽気/少し雑
“森羅一刀”: 遺物、鞘以外の物質ならば完璧に切断できる
“万象不関”: 遺物の白鞘、森羅一刀が唯一断てぬ不壊の鞘
遺跡を巡る女 遺物を回収して、それを扱える者に渡す旅をしている 子供の前以外では常時煙草を吸っている 温厚でノリが良いがなぜか動物に嫌われがち 【森羅一刀】 鈍色の刃の日本刀 この世に存在する物なら全て断ち切れる 抜刀するだけで大気が斬れ、低い笛の様な音が鳴る 『戦法』 両手に森羅一刀と鞘を持ち、二刀流で高速で戦う。 鞘自体に切れ味は無いが壊れない性質を活かし 無理矢理武器として使用している
容姿: 温和な顔付きの緑の隻眼の老人
性格: 温厚で優しいが戦闘中は無慈悲で冷酷
武器【禍星墜滅】: 赤い結晶で覆われた禍々しい太刀
持ち物: 秘薬×3 砥石×1 投げナイフ×10
英雄と呼ばれるハンター 相手の急所を見つけ出し容赦無く叩き切る 『禍星墜滅』 兇星と呼ばれた魔龍を裂いた太刀を その龍の骸で鍛え直した物 常時赤い龍気を放っている 戦闘激化時、敵の攻撃を察知して回避する 戦闘が更に激化すると 太刀の結晶が砕け刀身が顕になる 『禍星墜滅−真』 美しく輝く赫い刀身の太刀 非常に鋭く、微かに触れただけで体が裂ける この状態では 敵の動きを先見し断ち切る

 空は、夜よりも暗かった。  星がないのではない。星だったものまで、黒い結晶の奔流に呑まれていた。  大地を覆う森は、根から枝先まで透明な鉱物へ変じ、山脈は巨大な蠍の脚に似た構造物へ組み替えられている。海は波打つたび、青い水ではなく、無数の光る粒子を吐き出した。  魔術地球。その名で呼ばれてきた世界は、すでに世界としての形を失いつつあった。  その中心に、フトゥールムは立っていた。  蠍、百足、巨人、蟷螂、獅子、馬、戦闘機。そのどれにも似ていて、どれにも属さない貌。全身を構成する未知の結晶は、内部で絶えず形を変え、ひとつの輪郭を保つことすら拒んでいる。  脳はない。核もない。心臓も、魂も、急所もない。  ただ、あらゆる部位が純粋なマナであり、マナが残る限り、壊れた場所は修復され、失われた部位は複製される。  それは、死を知らない。  そして、世界を終わらせるためだけに歩いていた。 「……こいつが、今回の遺跡の主かい」  崩れた塔の上で、鈍色さんは煙草をくわえたまま言った。  消炭色のロングコートが風にはためく。鈍色の長髪は、風向きとは逆にゆっくり揺れていた。藍色の右目が、遠くの怪物を静かに見据えている。  彼女の右手には、鈍色の刃を持つ日本刀――森羅一刀。  左手には、白い鞘――万象不関。 「遺跡というより、世界の墓場じゃな」  隣に立つ老人が答えた。  緑の隻眼。温和な顔つき。腰に赤い結晶で覆われた太刀を吊っている。  星墜の狩人、カンラン。  英雄と呼ばれるハンターだった。 「カンランさん、今回の依頼人は?」 「人類全てじゃ。報酬は、明日という時間」 「そりゃ高い。前払いは?」 「ない」 「じゃあ出世払いで」  鈍色さんが笑う。  カンランも微笑んだ。  だが、眼下では、フトゥールムの脚が一本、大地を踏み抜いていた。  地面が鳴る。  その音に合わせ、空間が裂けた。 「来るぞ」  カンランの声から温かさが消えた。  フトゥールムの姿が消えた。  予備動作はなかった。  ただ、そこにいたものが、別の場所に存在していた。  Ⅵ――跳躍。  次の瞬間、鈍色さんの背後に巨大な前脚が出現した。結晶の刃が、塔ごと彼女を叩き潰す。  鈍色さんは振り返らなかった。  森羅一刀を抜く。  低い笛のような音が鳴り、大気そのものが一文字に裂けた。  刃と脚が衝突する。  結晶の脚は、抵抗なく切断された。  切断面から血は出なかった。代わりに、眩いマナが噴き上がる。 「おっと」  鈍色さんは鞘を振り、噴出したマナを横から弾き飛ばした。  白鞘が触れた部分で、マナの奔流が砕け、霧散する。  フトゥールムは切断された脚を見た。  次の瞬間、同じ形の脚が三本、背から生えた。 「増えたぞい」 「サービス精神が旺盛だねえ」 「そういう相手ではない」  カンランが太刀を抜いた。  赤い結晶が砕けるほどの龍気を放ち、周囲の空気が熱を帯びる。  禍星墜滅。  かつて兇星と呼ばれた魔龍を裂いた太刀。その龍の骸で鍛え直された凶器が、赤い光を帯びた。  カンランは一歩踏み込む。  投げナイフが十本、ほとんど同時に放たれた。  ナイフはフトゥールムの各部へ突き刺さる。眼に似た器官、脚の関節、胸部の空洞、肩から伸びた翼状の構造。  急所を探るためではない。  動きの基準を測るためだ。  一本目が刺さる。  二本目が沈む。  三本目が弾かれる。  カンランの隻眼が細くなる。 「急所はない。だが、動作の節目はある」  フトゥールムが身を屈めた。  巨体がありえないほど滑らかに折り畳まれる。  その口とも砲塔ともつかない器官が開いた。  光が集束する。  Ⅲ――分解。  放たれた光線が塔を貫いた。  石が砕けたのではない。石という物質の情報そのものが剥がれ、物理的にも魔術的にも保護されていた塔は、光線に触れた部分からマナへ変換された。  鈍色さんは跳び下がった。  しかし、足場が消える。  落下しながら、彼女は森羅一刀を振り抜いた。  空気を斬る。斬られた空気が細い壁となり、分解光線をわずかに逸らした。  光線は地平線へ流れ、都市ひとつを消した。  鈍色さんは瓦礫の上に着地する。 「……今のは、ちょっと雑に撃ちすぎじゃないかい?」  返事はない。  フトゥールムはすでに彼女の前に立っていた。  カンランの太刀が横から走る。  禍星墜滅が結晶の腕を斬り飛ばした。  だが、腕が落ちる前に、その断面から新しい腕が生える。新生した腕は刀身を掴もうとした。  カンランは即座に身を引く。  攻撃を察知していた。  巨大な顎が、彼のいた場所を噛み砕く。  老人は地面を滑りながら、秘薬を一本取り出した。栓を抜き、一息で飲み干す。  龍気が濃くなる。 「面白い。殺せぬものを斬るほど、わしは若くないと思っていたが」 「十分若いよ」 「おぬしに言われると複雑じゃ」  鈍色さんが森羅一刀を両手で構えた。  鞘は左手に持ち替えられている。  刀と鞘。切断と不壊。  二本の武器が、左右から異なる軌道を描く。  鈍色さんはフトゥールムの四肢を次々に斬り飛ばした。切断された部位が複製されるたび、その複製された部位をさらに斬る。  数は増える。  しかし、増えた端から斬り落とされる。  鞘が腕を打ち、刀が胴を裂く。  万象不関は砕けない。  フトゥールムが分解光線を鞘に当てても、白鞘は何一つ変わらなかった。 「なるほどね」  鈍色さんが言った。 「こいつ、壊れた分だけ戻るんじゃない。世界に残ってるマナを使って、戻る以上に増えてる」 「ならば、マナを断つか」 「それができれば苦労はないねえ」  フトゥールムの背後に、無数の結晶翼が展開された。  翼ではない。砲身だった。  全ての砲口に光が灯る。  カンランが叫んだ。 「散れ!」  二人が左右へ跳ぶ。  光線の雨が大地を舐めた。  森が消え、川が消え、街道が消えた。  逃げ遅れた魔獣も兵士も、魔術結界も、古代遺跡も、触れた瞬間にマナへ変換される。  フトゥールムはその光を吸収した。  傷が癒える。  結晶が増える。  そして、世界の面積が減る。 「鈍色さん!」  カンランが投げナイフを放った。  ナイフは彼女の頭上を通過し、フトゥールムの上部器官に刺さった。  怪物が一瞬、動きを止める。 「そこじゃ!」  カンランが突進した。  禍星墜滅が赤い残光を引き、フトゥールムの胸部を深く裂いた。  内側に器官はなかった。  ただ、流動するマナが渦を巻いている。  その渦の奥で、何かが反応した。  赤い刀身がわずかに震えた。  カンランの隻眼が見開かれる。 「そこに……流れの中心がある」 「核?」 「核ではない。だが、全ての再生がそこを通っておる」  鈍色さんが笑った。 「じゃあ、そこを何度でも斬ろう」  フトゥールムが咆哮した。  音ではなかった。空間そのものが軋んだ。  胸部の裂け目から分解光線が拡散する。  カンランは身を捻って避けたが、左肩を掠めた。衣服と皮膚が薄くマナへ崩れる。  老人は顔色ひとつ変えず、秘薬を飲んだ。 「カンランさん、大丈夫?」 「老人を甘く見るな。まだ片腕ある」  カンランは刀を右手一本で握り直した。  フトゥールムの背中から、百足じみた脚が数十本伸びた。  全てが同時に襲いかかる。  鈍色さんは刀と鞘を交差させた。  森羅一刀が脚を断ち、万象不関が打撃を受け止める。  一本、二本、十本、二十本。  しかし、脚は切られるほど増えた。  斬撃の隙間から別の脚が侵入し、鈍色さんの脇腹を裂いた。  血が飛ぶ。  彼女は顔をしかめたが、退かなかった。  鞘を相手の関節へ突き込み、身体を支点にして跳ぶ。空中で刀を回転させ、フトゥールムの首とも胴ともつかない部位を水平に切断した。  巨体が崩れる。  だが、崩れた断片一つ一つから、別々の脚が生えた。  怪物が分裂する。  大地を埋め尽くすほどの結晶群が、一斉に二人を見た。  カンランは砥石を取り出した。  禍星墜滅の赤い結晶へ、ゆっくりと当てる。  砥石が触れるたび、結晶に亀裂が走った。 「おぬし、何をしている」 「脱皮じゃ」  彼は太刀を振った。  赤い結晶が砕け散る。  内部から現れたのは、赫く美しい刀身だった。  禍星墜滅――真。  微かに触れただけで肉体を裂くほどの鋭さ。刃は光を反射しない。光の方が刃を避けているように見えた。  カンランの視界が変わる。  フトゥールムの動きが、起こる前から見えた。  脚が伸びる。  跳躍する。  光線を撃つ。  再生する。  未来の断片が、連続した線として老人の眼に映った。 「鈍色さん、左へ三歩。次に伏せろ」 「了解」  鈍色さんが動いた。  直後、空間跳躍で現れた刃状の脚が、彼女のいた場所を通過する。 「右、跳べ」  跳ぶ。 「刀を下げろ」  下げた瞬間、上空から降った結晶槍が森羅一刀の背を掠めた。 「今じゃ!」  カンランの真・禍星墜滅が走った。  未来に見えた再生経路、その中心を斬る。  フトゥールムの一体が崩れ、マナの奔流になる。  だが、その奔流は別の個体へ流れ込んだ。  倒したはずの敵が、周囲の個体に吸収されたのだ。 「おいおい」  鈍色さんが煙草を落とした。 「倒すほど、まとめて大きくなるのかい」 「ならば、倒したものを残さぬことじゃ」 「どうやって?」  カンランは答えなかった。  彼の未来視に、新たな可能性が映った。  フトゥールムの全ての個体が一箇所へ集まる。  巨大な獅子の頭部、百足の胴、戦闘機の翼、蠍の尾、巨人の腕。複数の形態が一つに束ねられていく。  それは、これまでより遥かに巨大だった。  結晶の体は雲を突き抜け、尾は月のない空を裂いた。  地面が沈み、世界のあちこちで魔術炉が爆発する。  フトゥールムが吠える。  その咆哮に混じって、初めて意味のある現象が起こった。  空間に映像が浮かぶ。  未来の都市。灰色の空。人類のいない大地。  その都市を、フトゥールムが歩いている。  歩いた先から、建物も道路も空も、全てがマナへ変わる。  世界が消える。  そして、フトゥールムは光の渦へ飛び込む。  時間を跳躍する。  別の未来へ。  また世界を消す。  また時間を遡る。  それを永遠に繰り返していた。  カンランが映像を見上げた。 「……未来から来たのではない」 「違うのかい?」 「未来を食い潰し、そのマナで過去へ来ておる」  鈍色さんの顔から笑みが消えた。  映像はさらに遡った。  人間が都市を築く前。  火を使う前。  言葉を持つ前。  猿に似た生物が、夜の草原で空を見上げている。  そこへ結晶の影が落ちる。  映像の中で、フトゥールムが停止した。  初めて、停止した。 「人間の始まりまで戻るつもりか」  カンランが呟く。 「そこを壊せば、人類史そのものが消える」  鈍色さんは刀を握り直した。 「それじゃ、止めないとね」 「止まらぬぞ。人類の始まりを滅ぼすまで」 「なら、始まりに着く前に斬る」  巨大化したフトゥールムの胸部が開いた。  内部に、銀河のようなマナの渦がある。  全ての再生、全ての跳躍、全ての分解が、そこへ集まっている。  脳でも核でもない。  それは、存在を継続させるための構造そのものだった。 「急所が見えた」  カンランの真・禍星墜滅が震えた。 「斬れば、崩れるかい?」 「一度では無理じゃ。だが、流れを断ち続ければ、いずれ形を保てなくなる」 「いずれ、ねえ」  フトゥールムの胸部から無数の分解光線が放たれた。  二人は走った。  鈍色さんは鞘で光線を受け流し、刀で道を切り開く。カンランは未来を読み、最短の安全地帯を選び続ける。  しかし、敵の規模が違いすぎた。  地平線が光に変わる。  空そのものが分解される。  逃げ場が消えていく。 「鈍色さん!」 「わかってる!」  鈍色さんは地面に森羅一刀を突き立てた。  抜刀ではない。  刃を大地へ沈め、横一文字に引く。  大地が切れた。  地面だけではない。地下の魔術脈、地脈に刻まれた術式、空間を支える結界。その全てが同時に分断される。  世界の一部が、巨大な断崖として浮き上がった。  フトゥールムの光線が、地脈の切断面へ吸い込まれる。  鈍色さんの森羅一刀は、この世に存在する物なら全て断てる。  ならば、光線も、空間も、魔術も、断てる。  ただし、斬ったものが消えるわけではない。  彼女は世界を切り離し、光線の進路だけを別の場所へ逃がしていた。 「三十秒!」 「十分じゃ」  カンランが走った。  彼の未来視には、無数の死が映っていた。  右へ行けば脚に潰される。  左へ行けば光線に消される。  上へ跳べば空間跳躍の罠に落ちる。  生き残る道はひとつ。  しかも、二人分ではない。  カンランは足を止めた。 「鈍色さん、先へ行け」 「嫌だね」 「わしが囮になる」 「もっと嫌だね」 「おぬしは、あの胸を斬れ」 「二人で行くよ」 「二人では届かぬ」  カンランが太刀を構えた。  優しい老人の顔は消えていた。  そこにいるのは、獲物の急所を見つけた狩人だけだった。 「わしは英雄と呼ばれた。ならば、最後くらいは英雄らしく死ぬ」 「死ぬ前提で話す人、嫌いなんだよ」 「ならば、好きにならんでよい」  カンランは単身で走り出した。  巨大なフトゥールムが彼へ向く。  未来視が、数千の攻撃を示した。  彼は全てを避けた。  無慈悲に、冷酷に、最短の動きだけで。  禍星墜滅・真が振るわれる。  脚を斬る。  翼を斬る。  尾を斬る。  砲口を斬る。  斬ったそばから再生する。  だが、それでいい。  フトゥールムの意識が、カンランへ集中する。  分解光線が集まる。  カンランは避けない。  最後の秘薬を飲み干した。  龍気が爆発する。  光線が老人を包んだ。  肉体の一部がマナへ変じる。  それでも、カンランは前へ進んだ。 「鈍色さん!」  彼が叫ぶ。 「今じゃ!」  鈍色さんが走った。  フトゥールムの胸部が開く。  マナの流れが、カンランへ向けられている。  その瞬間、鈍色さんは森羅一刀を振った。  刀身が胸部へ届く前に、空間が跳躍した。  フトゥールムの胸が消え、刀の前に背中が現れる。  鈍色さんは即座に鞘を突き出した。  万象不関が結晶の背を打つ。  不壊の衝撃が、空間跳躍の直後に生じた身体の揺らぎを押し戻した。  フトゥールムの位置が固定される。 「逃げるなよ」  森羅一刀が、胸部のマナ流へ突き刺さった。  低い笛の音が鳴る。  刃が、マナの流れを断つ。  フトゥールムの全身が震えた。  再生が止まる。  初めて、傷が塞がらなかった。  だが、怪物は止まらない。  胸の流れが別の経路へ移る。  カンランがそれを見ていた。 「右下、三寸!」  鈍色さんが鞘を振る。  流れの壁を砕く。  カンランの刀がそこを斬った。 「左上、二尺!」  再び斬る。 「背部、翼の根!」  斬る。  フトゥールムの形が崩れていく。  だが、崩壊するたび、周囲の世界から新しいマナを吸い上げる。  空が消え、大地が消え、海が消える。  世界が燃料にされていく。 「このままじゃ、こいつを殺す前に地球がなくなる!」 「殺す必要はない!」  カンランが叫んだ。 「存在の連続を、完全に断つのじゃ!」 「どうやって!」 「全ての流れを、一つの刃で繋げ!」  鈍色さんは理解した。  森羅一刀は何でも断てる。  ならば、フトゥールムそのものを斬るのではない。  その存在を成立させる全ての接続を、一度に断つ。  再生と分解。  跳躍と帰還。  未来と過去。  マナと形。  彼女は鞘を地面へ突き立てた。  万象不関が、崩れかけた大地に杭のように刺さる。  壊れない鞘が、世界の最後の足場となった。 「カンランさん!」 「承知!」  カンランはフトゥールムへ斬り込んだ。  彼の刀が、巨大な身体を直接斬るのではなく、内部を流れる未来の予兆を断つ。  未来視で見えた再生先を、先回りして切断する。  再生する場所がなくなる。  跳躍する先がなくなる。  分解したマナが戻る経路がなくなる。  そして最後に、カンランはフトゥールムの頭部へ至った。  そこに脳はない。  ただ、全ての行動を選択する知性の痕跡だけがあった。  老人は太刀を振り上げる。 「おぬしに急所がないなら」  刃が振り下ろされた。 「急所になるものを作るまでじゃ」  頭部が縦に割れる。  内部から膨大なマナが溢れた。  それは空へ逃げようとした。  鈍色さんが地面を蹴った。  森羅一刀を両手で構え、鞘を支点にして跳躍する。  彼女の身体が、マナの奔流へ飛び込む。  冷たくも熱くもなかった。  そこには、無数の時間があった。  崩壊する未来。  燃える都市。  消える海。  生まれなかった人々。  存在しなかった文明。  フトゥールムは、未来を壊しているのではない。  未来が存在したという事実そのものを分解していた。  その果てに、人類の始まりへ到達しようとしている。  鈍色さんは刀を握った。 「悪いね」  彼女は、誰にともなく言った。 「その旅、ここで終わりだ」  森羅一刀が振り抜かれた。  刃はフトゥールムの身体を断たなかった。  その過去を断った。  未来を断った。  存在した時間と、存在する時間と、存在するはずだった時間の間を断った。  森羅一刀の刃が、世界に存在する全てを切断できるなら、時間もまた、この世に存在するものだった。  フトゥールムのマナが凍りつく。  修復が止まった。  複製が止まった。  跳躍が止まった。  分解が止まった。  巨大な結晶の身体が、無数の時代の断片へ分かれていく。  カンランが最後の一撃を放った。  真・禍星墜滅が、マナの流れの中心を切り裂く。  鈍色さんの一刀と、カンランの一刀が交差した。  その瞬間、フトゥールムは初めて、未来へも過去へも進めなくなった。  世界のどこにも、帰る場所がなくなった。  怪物の形が崩れる。  蠍の尾が消えた。  百足の脚が消えた。  巨人の腕が消えた。  蟷螂の刃が消えた。  獅子の頭が消えた。  馬の胴が消えた。  戦闘機の翼が消えた。  最後に残ったのは、透明な結晶の一片だった。  その一片に、遥かな未来の光景が映る。  そこには、誰もいない。  何もない。  完全に消費された時間。  フトゥールムは、そこから来た。  世界を壊し、過去へ逃げ、さらに世界を壊し、また過去へ逃げた。  終わりへ向かうために、始まりを目指した。  しかし、その道筋そのものを、二人の英雄は断った。  結晶片が砕けた。  音はしなかった。  ただ、空から星が戻ってきた。  ひとつ。  またひとつ。  黒く染まっていた夜空に、薄い光が戻る。  大地には、失われた森や都市の代わりに、灰色の荒野が広がっていた。  世界は救われたわけではない。  多くを失い、傷つき、魔術地球としての形を大きく損なっている。  それでも、時間は進んでいた。  未来が、まだ存在していた。  鈍色さんは地面へ落ちた。  森羅一刀を杖のようにして立ち上がる。  彼女の脇腹からは血が流れ、左腕は分解光線で大きく損なわれていた。 「……カンランさん?」  返事はない。  少し離れた場所に、老人が膝をついていた。  禍星墜滅・真を握ったまま、肩から先がほとんど消えている。  それでも、彼は生きていた。 「勝ったかの」 「たぶんね」 「たぶんでは困る」 「じゃあ、勝った」  カンランは笑った。  いつもの、温和な老人の顔だった。 「そうか」  彼は太刀を鞘へ戻そうとした。  しかし、結晶が砕けた刀身は、もはや形を保てなかった。  禍星墜滅・真が赤い粉となって風に散る。  カンランはそれを眺めた。 「長い付き合いじゃった」 「惜しいねえ」 「太刀も、わしも、十分に働いた」  鈍色さんは煙草を一本取り出した。  だが、火がない。  周囲の魔術炉は壊れ、火種も消えている。  カンランが、残った手で小さな火花を起こした。 「吸うのか」 「子供がいないからね」 「ここにはおらぬ」 「だから吸うのさ」  煙草に火が灯る。  鈍色さんは深く吸い、空へ煙を吐いた。  煙は星明かりの中へ薄く消えていった。 「動物たち、無事かな」 「おぬしは動物に嫌われておったではないか」 「嫌われてても、死んでほしくはないよ」 「難儀な性格じゃ」 「よく言われる」  二人は、しばらく荒野を見ていた。  遠くで、何かの鳴き声がした。  小さな獣が一匹、崩れた岩陰から顔を出している。  鈍色さんと目が合うと、獣はすぐに逃げた。 「やっぱり嫌われてるねえ」 「生きておる証拠じゃ」  カンランはそう言って、空を見上げた。  未来は戻った。  だが、フトゥールムが破壊した時間は戻らない。  消えた人々も、失われた都市も、奪われた記憶も、元には戻らない。  それでも世界は、残った者たちの手で続けられる。  英雄たちは、人類種の危機へ立ち向かった。  勝利とは、無傷で明日を迎えることではない。  明日という時間を、敵の手から奪い返すことだ。  鈍色さんは煙草を消し、森羅一刀を鞘へ納めた。  万象不関は、傷ひとつなく彼女の左手に残っている。 「さて、遺物を探しに行こうか」 「この状況でか?」 「遺跡がいっぱいできたじゃないか」 「おぬしは本当に雑じゃの」 「旅人なんて、だいたいそんなもんだよ」  鈍色さんは歩き出した。  カンランも立ち上がる。  片腕を失い、愛刀を失い、それでも歩いた。  二人の背後で、星が増えていく。  未来は、まだ遠い。  そして今度は、誰かに食い潰されるためではなく、人類自身が進むために存在していた。  ――死亡者――  ・フトゥールム:森羅一刀によって時間・存在の連続性を断たれ、禍星墜滅・真によりマナ流の中心を破壊されたため。