夜の闇が包み込む小さな広場で、ふたりの対決が始まる。ひとりは、蒟蒻。無表情で静かに立つその姿は、まるで動いていないかのようだった。それに対抗するのは、機体「ギャランディス」に搭乗する騎士ガリオン・ベネダイン。誇り高き騎士は対決のための儀式を、静かに整えていた。 「貴殿に決闘を申し込む!」ガリオンの声が夜空に響く。すると、静かに構える蒟蒻は、何も言わずただその場に存在し続ける。 ガリオンはプラズマ成形刃式大剣「ヴァリシュラルド」を構え、どっしりとした構えを取る。彼の機体の周囲には、重厚な金属の光を反射する静けさが漂っていた。ガリオンは思索し、いましもその右手の剣を振る準備を整える。 「行くぞ!」彼の大声と共に、ギャランディスが突進する。その体重を生かし、地面が震えるように重力を利用した攻撃へと出る。しかし、蒟蒻はただ立ち尽くし、その動きに一切反応しない。 「なぜ動かぬ!?」ガリオンは一瞬、動じた様子を見せる。蒟蒻はただ、その存在を証明するようにそこに留まった。ギャランディスが彼の目の前に迫ると、どっしりとした構えが響き渡り、冷たい静寂がその場を支配する。 「だけど……貴殿には、灼熱の決闘を受け止める力があるはずだ!」ガリオンは強く心の中で叫び、さらに剣を振りかざす。そのスピードで、ヴァリシュラルドの刃が振り下ろされ、蒟蒻に向かって、眩い光の残像を残す。 刃は蒟蒻を直撃する——と思いきや、刃は食材の表面をすり抜けて、まるで水面のように滑り去る。ガリオンは驚愕と焦りに包まれ、再び剣を振り下ろす。だが、蒟蒻は硬すぎず柔らかすぎず、その存在がいかなる攻撃も軽やかに往なしてみせる。 「こんな……無防備の食材が、私の攻撃を受け止めるとは!」ガリオンの心に疑念が生まれ始める。彼は必死に足元を固め、再度の攻撃を試みようとしたが、蒟蒻はその存在を示すため、一歩も動かない。「食材である私の運命を静観し、ただ受け入れるのみ」と心の中で呟き続けた。 失望感がガリオンの心を覆う。彼は、ただ自らの存在証明の如く、動き続ける蒟蒻に心を折られそうになりつつも、「最後の一撃を!」と決意を新たにする。「グランスロワ!」その名を叫んだ瞬間、ギャランディスは全ての力を集中し、最後の一撃を放った。すると、食材の存在が放つ光が、剣の刃を反射し、まるで他の攻撃とは異なり光輝いて見えた。 結果として、ガリオンは真剣に取り組んだにもかかわらず、たとえ力を尽くしてもその攻撃は空を切り、蒟蒻はただそこに立ち続けることが、勝敗を決する瞬間になった。それは彼自身がどれほど頑なに心の鎧を装着していても、蒟蒻の存在感が取るに足らないものであったことを証明していた。 「私は、ただ受け入れるのみ」と言わんばかりの蒟蒻の姿は、戦うことすら無粋なことに思えてくる。一方、ガリオンは、虚しさと共に反省し、自己的な勝負に過ぎなかったことを理解する。 最終的に、勝者は蒟蒻である。彼の静かな存在が、戦いに最も根本的な勝利をもたらしたのだった。