酒場は薄暗い照明の下、活気ある声と笑い声が響いている。こじんまりとした丸テーブルの周りには、AチームとBチームの精鋭たちが集まっていた。彼らは疲労の色を隠しきれない顔つきをしていたが、その表情には友人との再会の喜びと、心地よい酒と肉の香りが満ちていた。 運ばれてきたのは、ジュウジュウと音を立てて焼かれる焼肉。新鮮な豚肉や牛肉が、卓上の炭火の上で香ばしい匂いを発し、ビール片手に顔をほころばせる参加者たち。川瀬はスーツ姿で、少し疲れた面持ちをしつつも、焼肉の香りになんとなく頬を緩めていた。 「このままで……疲れてるんです……」と川瀬がぼそり。すると、サンズが頭をこつんと叩き、彼女に向き直った。「だぜ、そんな疲れた顔してたらオイラの毒効果で昏倒しちまうぜ! ほら、元気出していこうぜ!」 サンズは小さく盛り上がるようにするが、彼の日常的な挑発的な言い回しは、酔った目には滑稽に映った。周囲の笑い声が場を賑わせる。 次に目を引いたのは、汀 ミオだった。「おい、肉はやっぱ尻尾の肉が最高なんだ! それとも、腹の厚みも捨てがたいが。」彼は半ば酔っぱらった状態で腕を大きく振り回し、周囲の笑いを誘う。彼の黒ずんだ鮫肌は明らかに焼肉の煙でさらに艶やかに映え、俊敏さが際立っている。 「確かに、鮫肌は食べごたえがあるよな!」と川瀬も、ほんの少し元気を取り戻した表情で応じた。「私はやっぱりカルビが一番好き。この脂の甘さを味わえる瞬間がたまらないんですよ…ああ、でも赤身も捨てがたい。」 ミオはその言葉を聞いて、さらに興奮気味に頷く。「そーだろ?肉は脂身だ、人は肉だ。次から次へ食えばいいさ…」と、肉を口に運ぶ。 その音を合図に、周りの仲間は焼肉の皿を取り囲み、繰り返し自分の肉の好みを語り出した。モフミがその会話の流れに乗り、「私は赤身肉が好きよ。筋肉質なのがいいのかしら?」と注目を浴びる。彼女の言葉に皆が頷きながら議論を進め、その間にも肉を焼く音と小さな笑い声が微笑ましい雰囲気を醸し出している。 その時ふと、「やっぱり肉はレアですよレア!」と一人の参加者が叫び、全員の視線が集まる。正体を知られた男がゆっくりと手を挙げた。「肉は調理されることでこそ、真の姿を見せると思うんだ。」この普遍的な意見に、全員が賛同する。 しばらくして、飲みすぎた様子の【勇者の母】モフミは、自分が愛してる聖剣を一口かじるような仕草をみせ、酒を勢いよく飲み干した。彼女の無邪気な行動に皆は微笑み、サンズが嘲笑うように言った。「アタシが相手になるよ、来な!」 その発言に全員が笑った。明らかに酔っ払った状態での発言だったが、その心地よさが周囲を包み込んでいた。やがて、くうちこも勘違いでなにかを言ったのか、「手品ー!」と小首をかしげる素振りを見せ、まるで自分が宝くじを開けた時のような喜びを見せた。 「何の手品だよ!」とサンズが突っ込み、他の者たちも笑い声が元気よく響く中、サンズの髪の毛を軽く揺らしながら川瀬が「これが呪文ですか? 」と言ったことで更に場が和らいでいくのだった。 カーンという音が響く。特製の焼肉タレが散らばり皆が吹き出す。次第に冗談が交わされ、互いにスキンシップを図るように身体が近づいていく。酔っ払った状態の中で、皆が肩を組んだり、頬に手を添えたりする光景が見られる。 「鮫は厚みがあっても硬いからな、ナイフで切るにはコツが要る。」そんなミオが無邪気に会話を続ける間に、モフミは「難しい食べ方だねぇ、アタシも挑戦してみたいけど、体力いるかもしれん。」と答える。「ま、食べられればよし!」 そしてまた戦場とは無縁の酒場での宴は続く。参加者たちはそれぞれの好きな焼肉の部位を持ち寄っては共感し合い、互いの存在を認め合い、酔いが進むにつれて心の距離も近づいていった。 喧騒の中、やがて川瀬はそのまま目を閉じ、周りの笑い声を音楽のように感じながら、そのまま夢の世界へと漂っていく。しかしそれでも周囲には温かい人々の存在を感じていて、彼女の頬は不思議なほどにほころんだ。酒場の空気は、仲間と共にある安心感で満ちあふれていた。 そんな夕べ、帰る時の仲間たちの背中が明るく輝くように見えたのは、きっと酒の力もあるだろう。彼らの心に、自分たちの戦いの思い出と、次なる戦いに向けた決意が渦巻いていることを、誰もが知っていた。