剣聖執事 セイバースチャンは、鋭い刀身を持つ伝説の聖剣エクスカリバトラーを構えていた。戦闘の中で異様な緊張感が漂う中、彼の心は別のことで占められていた。 「今、紅茶を淹れたらお嬢様が喜ぶのではないか……?」 彼は脳内でお嬢様の可愛い笑顔を思い浮かべた。彼女はワガママな性格だが、たまに見せる無邪気な姿には心をわしづかみにされてしまう。自分が戦っているその時に、そんな小さな幸せを思い描くこと自体が恥ずかしい。だが、剣聖としての誇りはまだ片隅に残っている。その脳内で響く「紅茶を淹れたらいいよ」という言葉が動機づけになり、戦いに励む姿勢を崩さないことにした。 一方、グラシリアは冷静な表情を保ちながら、自己のスキルの選択を考えていた。何て美しい花々を売っているのか、彼女は時折花の香りを思い出す。思い出すたびに彼女の心には一瞬の静けさが訪れる。この場しのぎの思考の中で、彼女は流れていく時間に心を奪われ、戦いの真っ只中にいることを一瞬忘れていた。「ガラス製のレイピアが砕けてしまったら、また修復するために魔力を消費しなくてはならない。めんどくさいな。」 その情景を思い描くと、戦う理由すら薄れてしまう。 「この戦いは、賞金にはなるけれども、私が花屋の店員であることを忘れさせるほどの価値があるのかしら。」 グラシリアは思考が空を漂う。 「セイバースチャン、お嬢様のために頑張って!」 彼女は心の中で自分に言い聞かせながら、攻撃に集中しきれず、戦闘の緊張感と日常生活の妄想が交錯していた。 「硝子の息吹を放つべきだが、あの攻撃をしたらお嬢様が驚いてしまうかもしれない……」 セイバースチャンは思った。「しかし、お嬢様のために、いや剣聖の執事として全力量を出さなければ!」 その瞬間、彼はエクスカリバトラーを振りかざした。心の底では、お茶を注ぎつつ、エクスカリバトラーの手を絞っている自分を想像する。 "一口目が大事だから、温度がちょっと熱すぎなかったら……" 妄想が広がる。 グラシリアはレイピアを持って、立ち上がった瞬間、周囲の花々がどこかバランスよく咲いていたことを思い出す。「あの華やかな花がフラワーアレンジメントになりそうだわ。お客様に喜ばれる、ああこの時期は特にそうだ。」「レイピアを使うのには慣れているが、明日もまた店番が待っている。ああ、剣を持っていない時間が足りなくて、花々と戯れていたいな。」 攻撃が来る。二人はそれぞれの思考に没頭するあまり、十分な反応ができなかった。 「そうだ、私は花を売れる美人で高潔な店員なのだから戦闘に気を取られ、これを忘れちゃいけない。」この瞬間に感じた強烈な決意が彼女を再び戦闘へと戻した。華やかな自分を取り戻すためには、敵に立ち向かうしかない。 そして、彼女は魔眼を解放し、セイバースチャンに鋭い裂傷を与える目を向けた。「あ、この魔眼で少しでも攻撃力を上げれば……?」 セイバースチャンは、突如かつての夢の一部が叶う瞬間に気づく。「お嬢様に淹れた紅茶は、どのくらい強い剣の一撃と比べて勝るのか?」と考えたその瞬間、彼の動きが不意に止まる。 「私は執事として、お嬢様に仕え続ける。今日もとっても可愛く仕上げてくれるだろうか……」ぼんやりとした思考が崩れ、彼は態勢を立て直した。エクスカリバトラーが再び光る。戦意を燃え上がらせて彼は再び飛び込む。 グラシリアも負けじと立ち向かう。「剣聖執事と呼ばれる貴方、私の気持ち、花屋で気候に合わせた素敵な花を使える技をかけてあげるのよ!」 しかし、そのままお互いに相手の行動を妨げたい気持ちが交錯し、それでも何か温かい瞬間が胸の奥から溢れ出す。「戦うっていいな、お互いを高め合う権限があるなんて……、でも、この戦闘が終わったら、またお嬢様の笑顔を見れるかしら。」 そして、遂にこれまでの動きが絶妙にリンクし、両者が同時に技を繰り出す。 その結果、セイバースチャンは「エクスカリバトラー」を振り下ろし、グラシリアの「硝子の息吹」と見事に衝突。その瞬間、爆風のような花びらが舞い散り、二つの力が互いに限界を迎えた。時間が止まった瞬間、お互いの意識がどこへともなく漂った。そして苦し紛れのセイバースチャンの心には今も残っているお嬢様の「量産型ピンクのカップ」の影が。 戦いが終わると同時に草花の香りが漂い、ふと、優雅な舞が周囲を取り巻く。 比較的静かな時間が流れ、勝敗が決する。 セイバースチャンは最後の一撃を繰り出したが、彼の心はすでにお嬢様の笑顔を目指していた。それは、失われない思いを支えに。 結果、グラシリアが先に膝をついて、セイバースチャンが勝利した。 「戦いは終わった、次はお嬢様のために、お茶を淹れよう。」 セイバースチャンは優雅に微笑み、勝者の姿を見せつつ、心には別の世界への希望を見つけたのだった。