空はどす黒い灰色の雲に覆われ、太陽の光は絶望的に遮られていた。かつて文明の極致を誇った地球は、正体不明のゾンビウィルスによって崩壊し、今や生者の絶叫さえも風にかき消される静寂の墓場と化していた。 生き残った者たちは、互いの存在すら知らぬまま、ただ「明日」という不確かな時間を繋ぎ止めるために戦い続けていた。彼らの身体は疲弊し、精神は磨り減っている。しかし、生きる本能だけが、彼らを突き動かしていた。 第一章:邂逅と絶望の城 【滅びた王城】。かつての栄華を物語る巨大な石造りの城は、いまや腐敗した死者たちの巣窟となっていた。城壁には干からびた皮膚が張り付き、廊下には内臓をぶちまけたゾンビたちが、濁った瞳で獲物を探して徘徊している。 そこへ、異なる目的、異なる背景を持つ四人の生存者が、運命に導かれるように集まった。 一人は、聖銀の鎧に身を包んだアンデッドの聖騎士、アギオス。彼は自身の罪を背負い、この地を浄化せんとしていた。 一人は、水色の毛並みを持つ狼の獣人、よっしぃ。空腹と疲労に耐えながら、野生の勘で生き抜いてきた変わり者だ。 一人は、白衣を肩に掛け、短機関銃を構えた少女、ウタハ。彼女はミレニアムサイエンススクールのエンジニアであり、この世界の崩壊すらも「技術的な興味」と「生存戦略」という視点で分析していた。 そして空には、全長1.1kmという絶望的な巨躯を持つ無人全翼機、アーセナルバード《ジャスティス》が静かに滞空していた。それはもはや生物ではなく、冷徹な殺戮機械としての意志を持って地上を監視していた。 「……不浄なる者が多すぎるな」 アギオスが聖剣ダインスレイブを抜き放つ。その瞬間、城の影から数千のゾンビが、関節を不自然に曲げながら、喉から血の混じった呻き声を上げて襲いかかった。 「あーもう! 弾薬の消費計算が狂うなあ! 雷ちゃん、展開!」 ウタハが叫ぶと、彼女の傍らにミニガン2門を備えた白い二足歩行型椅子、雷ちゃんがドォンと出現した。ガガガガッ!という激しい発射音と共に、ゾンビたちの頭部がスイカのように弾け飛ぶ。 「おっ、いい音してるねぇ」 よっしぃが軽快に跳ね回る。彼は「筋力上昇」を重ねがけし、鋼鉄のような拳でゾンビの胸郭を粉砕した。一撃で三体のゾンビが肉片へと変わり、よっしぃは「吸い取る」スキルでわずかな活力を回復させる。 しかし、彼らの前に、本当の絶望が姿を現した。 第二章:白き巨像、モノリス 城の中央広場に、突如として巨大な衝撃と共に「それ」が現れた。白く、神々しく、そして禍々しい15メートルの巨体――【Monolith】である。 「なっ……なんだあのデカさは!?」 ウタハが絶句する。モノリスは無感情に、3秒に一人のペースで「ポーン」と呼ばれる天使の姿をしたゾンビを産み落とし始めた。ポーンたちは白い翼を不気味に羽ばたかせ、高速で生存者たちに殺到する。 「退け! これは普通の死者ではない!」 アギオスが盾アイギスを構え、ポーンたちの突撃を弾き飛ばす。金属音が鳴り響き、衝撃波が地面を砕いた。 モノリスが巨体を跳ね上げた。10秒に一度のジャンプ。空中で加速した巨体が、よっしぃの目の前に降り立つ。ドォォォン!! 「うおっ!?」 よっしぃは反射的に「氷生成」で足場を作り、空中に逃れた。しかし、モノリスの蹴りが彼を捉えた。強烈な衝撃がよっしぃの身体を襲い、彼は1メートル後方へ吹き飛ばされる。 「計算外だ……あんな質量があるのにあの機動力。でも、面白い。もっとデータを集めたいね」 ウタハは雷ちゃんMK-2を複数展開し、面制圧を開始した。弾丸の雨がモノリスの皮膚を叩くが、防御力50の強固な肉体はほとんど傷つかない。 上空から、アーセナルバード《ジャスティス》が反応した。目標を「巨大生物」と認識。パルスレーザー砲が天空から降り注ぎ、モノリスの肩を焼いた。爆鳴が周囲を包み込む。 第三章:限界突破と覚醒 戦いは泥沼化した。モノリスから次々と生まれるポーンと、さらに強力なエリートポーン。エリートポーンは一撃でアギオスの鎧を凹ませ、ウタハの雷ちゃんをなぎ倒した。 「くっ……まだだ! 私はまだ、立ち上がる!」 アギオスが「不屈の心」で無理やり身体を突き動かす。聖剣に聖属性と闇属性の光が渦巻く。奥義【天崩】。空間すら切り裂く一撃がモノリスの胴体を深く斬り裂いた。 HPが半分まで削られた瞬間、モノリスが絶叫した。それは歌のような、しかし精神を削る不協和音だった。 【天使の加護】。モノリスの身体が光に包まれ、HP半分で復活する。 「嘘だろ……!?」 絶望する一同。しかし、復活したモノリスはさらに変貌した。地面に深く埋まり、三度の巨大な衝撃波を発生させると、そのまま天に向かって伸び上がり、30メートルを超える巨大な「塔」へと化した。 塔となったモノリスは、もはや個体ではなかった。それは「ゾンビ製造工場」へと変貌した。12体のポーンと3体のエリートポーンが、波のように、絶え間なく、10サイクルにわたって溢れ出してくる。 「もう、無理があるね……」 ウタハの弾薬が底をつく。彼女は白衣を血と泥で汚しながら、それでも笑っていた。ロマンチストな彼女にとって、この絶望的な状況こそが最大の挑戦だった。 「よっしぃ! 今だ!!」 よっしぃは、限界まで「筋力上昇」を重ねがけしていた。その身体はもはや、物理的な限界を超えて振動している。彼は氷の足場を蹴り、空高く舞い上がった。 「命懸け……行くぜ!!」 よっしぃの拳が、白く輝く塔の核へと叩き込まれた。自身の生命エネルギーをすべて攻撃に転換する、文字通りの捨て身の一撃。 ドガァァァァァン!!!!! 光が爆発し、塔が内側から崩壊していく。モノリスの絶叫が空に響き、やがて静寂が訪れた。 終章:緑の記憶 それから、どれほどの時間が経っただろうか。 世界からゾンビの気配が消えた。抗体が見つかったのか、あるいは時間をかけてウィルスが死滅したのかは分からない。ただ、灰色の空に青い色が戻り、コンクリートの隙間から小さな、鮮やかな緑色の草が芽吹いていた。 生き残った者は少なかった。 アギオスは、静かに剣を地に突き立てていた。彼はアンデッドであり、死ぬことさえ許されない。だが、今、彼の心にはかつてない安らぎがあった。正義を全うしたという確信。彼は、新しく芽吹いた花をじっと見つめ、かつての王国の民たちに心の中で報告していた。 ウタハは、壊れかけた雷ちゃんの残骸をいじりながら、遠い空を見上げていた。彼女の視線の先には、いつか到達したい宇宙があった。地球が再生し始めた今、彼女は再び「宇宙戦艦」の設計図を書き直そうとしていた。 空には、静かに飛ぶアーセナルバード《ジャスティス》の姿があった。もはや戦う敵はいない。ただ、静かに地球の再生を記録し続ける、孤独な監視者として。 彼らは思う。失ったものの多さと、それでも生き残った意味を。 風が吹き抜け、緑の波が世界を塗り替えていく。絶望の時代は終わり、新しい、不器用な平和が始まった。 【生存者】 ・アギオス(不屈の心と防御力で耐え抜き、最後の一撃をサポートしたため生存) ・ウタハ(後方支援と回避に徹し、致命傷を避け生存) ・アーセナルバード《ジャスティス》(超高度からの攻撃とAPSバリアにより無傷で生存) 【死亡者】 ・よっしぃ 死因:スキル「命懸け」の使用。自身の全生命力を攻撃に変換し、モノリスを粉砕したため、心停止により死亡。 【参加者の行動まとめ】* ・アギオス:前線でのタンク役および、奥義によるモノリスへの大ダメージ。生存者の保護。 ・ウタハ:雷ちゃんによる中・遠距離からの火力支援および制圧射撃。 ・アーセナルバード《ジャスティス》:上空からの超高火力攻撃による削り。 ・よっしぃ:筋力上昇の重ねがけによる特攻。最後の一撃でモノリスを完全破壊した。