闘技場は静寂に包まれていた。観衆は期待と興奮を胸に、戦士たちの登場を待ち望んでいる。そこに現れたのは、神々しい光を帯びた古びた剣を手にした“負傷者”だった。彼は常に戦いの中で傷を負い、その痛みが彼の心を支配する。しかし、彼の心には決して消えることのない希望が宿っている。 対するは、驚異の戦神「トール」。彼は燃えるような赤い髪を揺らし、全ての神々を超えた力でその場を圧倒していた。トールの手には、雷を宿したミョルニルが握られており、その姿は敵に恐怖を与えるには十分だった。観衆の期待が膨れ上がる中、負傷者はゆっくりと武器を構えた。 「準備はできているか、負傷者。」トールは冷笑を浮かべ、無情に問いかけた。負傷者はそれに返事をすることなく、ただ剣を握り締めた。彼の心に流れる痛みが彼を奮い立たせる。負傷者は、痛みが彼の強さになることを悟っていた。彼が生き残るための唯一の方法は、この戦闘に勝利することだった。 戦闘が始まった瞬間、トールは雷を纏ったミョルニルを振りかざした。その一撃は空気を震わせ、まるで雷のように突進してきた。しかし、負傷者は身を屈め、ギリギリのところでその攻撃をかわした。彼の中に少しずつ「怪我の功名」が息づき、回避の技術が向上していることを感じる。トールは続けざまに攻撃を続け、周囲は雷光に包まれた。 「はぁっ!」負傷者は心の中で叫びながら、剣を構え直す。彼はうねるような動きで次々とトールの攻撃をかいくぐり、間合いを詰めていった。そう、彼は絶対に諦めない。痛みを感じる度に、彼の潜在能力は開花し、攻撃の鋭さと速さが増していくのだ。負傷者は一瞬、トールの隙を突くチャンスが来たと感じた。 しかしトールもまた、負傷者の動きを見逃さない。それどころか、彼は天候を操り、雷雲を巻き起こした。闘技場は一瞬にして暗雲に覆われ、次の瞬間には容赦なく雷が落ちてきた。負傷者は身を低くし、雷光を避けた。だが、どれだけ避けても気が抜けない。トールの攻撃は止むことがない。負傷者は回避と防御の技術を駆使し、幾度となく死線を越えていく。 その時、負傷者はあることに気づいた。彼は古びた剣から放たれる神々しい光を感じたのだ。まるで剣が彼を励ますように、その光が彼の心に勇気を与えた。遂に彼は覚悟の一撃を放つ決心をした。 「まて、これが私の最後の一撃だ!」負傷者は深呼吸し、全力でトールに向かって突進する。そして剣を振り上げた。古びた剣は、かつての戦士たちの魂を宿し、放たれた一撃は計り知れないほどの重さと速さを持っていた。 トールはそれに気づくことができなかった。雷光の中で、彼は負傷者の一撃を受け止める準備をしきれなかった。ミョルニルを構えたトールの目の前に、負傷者の剣が降り下ろされる。真剣であった。 「いくぞ、トール!」負傷者の声が闘技場に響く。剣がトールの腕に届いた瞬間、負傷者の力はトールを貫き、彼は衝撃で後方に吹き飛ばされた。とても恐ろしいことに、雷の神であるトールが、ついに膝をついたのだ。 負傷者は、その瞬間を見逃さず力を振り絞る。彼は不屈の意志を持ち続け、痛みに耐えながら再度剣を振り下ろす。無情にも、トールに止めを刺す一撃が下された。瞬間、闘技場は静まり返り、運命の時が訪れた。負傷者はその痛みの先に、やっとの思いで勝利を手に入れた。 彼は立ち尽くしながら、静かにトールを見つめた。どんなに負傷し、苦しみ、もがき続けても、彼は絶対に負けることはなかった。彼は生き残り、勝利したのだ。負傷者は自らの痛みを痛みとして受け入れ、闘い続ける勇者であることを証明した。 観衆はその姿に歓声を上げ、彼の名は永遠に記憶に刻まれる。負傷者は、戦場で立ち続ける限り、戦い続けるだろう。負傷する度に、必ずや彼の向上心は燃え続け、戦士として成長していくのだから。彼の中に息づく希望は決して消えることはない。