【荒野の巡礼:ガンドルド鉱山への死行】 空は錆びついた鉄の色に染まり、地平線まで続くのは乾いた赤土と鋭い岩石のみ。そこは生命を拒絶する絶望の地、荒野であった。 レンチ街から95km離れたガンドルド鉱山を目指し、鈍い金属音を響かせて進む巨大な要護衛艦。横2km、縦1km、高さ0.5kmという、もはや動く要塞とも呼べるその巨躯は、時速10kmという亀のような速度で砂塵を巻き上げていた。操縦席に座るのは、二十歳の女性操縦士・フェア。彼女は持ち前の明るさで、緊迫した空気の中にあっても「みんな、お願いね!目的地まであと少しだよ!」と元気に声を上げていたが、その表情には僅かな不安が混じっていた。 この艦を護衛するメンバーは、あまりにも個性が強すぎた。 「さて…今回はどんなタスクですかね?」 白い宇宙服に身を包んだ科学者、ホワイトが淑女的な微笑みを浮かべて端末を操作する。彼女の傍らでは、青い単眼を持つ球体ロボットが静かに浮遊していた。その隣には灰色の宇宙服を着たグレーが、至極淡々とした様子で立っている。 (…この操縦士のフェアさん、太もも辺りの肉付きが絶妙にエロいわね…ふふふ) グレーは内心で激しい性癖分析を展開しながら、表面上は「はい、よろしくお願いします」と素っ気なく応えていた。 防衛の要となるのは、メンタルモデルのイブキである。彼女は白の軍服を翻し、赤い瞳で周囲を警戒していた。彼女の背後には、実体化した超弩級特異点巡洋宇宙戦艦『イブキ・オーバーロード』が次元の狭間に展開しており、あらゆる脅威を排除する準備を整えている。 さらに、純白の修道服を纏い、ベールで目を覆った神秘的な女性、レーヴ。彼女は夢鯨の化身であり、静謐な空気を纏っていた。彼女がそこにいるだけで、殺伐とした荒野に、どこか幻想的な安らぎが漂う。 そして、胡散臭い笑みを浮かべる糸目の男、タヴン・ウラギール。彼は飄々とした態度で、情報屋の蘆屋三太夫と会話していた。三太夫は金のモヒカンを輝かせ、サングラス越しに周囲を観察している。 「いいかいタヴン、このルートは危険だ。電荷の乱れが激しい。俺の石灰が反応してるぜ」 「ククク…三太夫殿、心配しすぎですよ。まあ、何かあれば儂が上手くやりましょう」 そんな彼らの中に、一人だけ震えている少女がいた。紫の宇宙服を着たパープルである。彼女はインポスターであり、この艦を内部から崩壊させ、あるいは全滅させることが目的だった。しかし、彼女は極度の臆病者である。 (…ヒィッ…咲なんか、こんな怖い人たちの中で殺すなんて無理ですぅ…誰か助けて…) さらに、黒いローブを纏った小さな死神、セーリュッフが大きな鎌を抱えておどおどと立っていた。「あ…あのう…命を取りに来ました、ご覚悟!…あいたっ!」、何もないところで躓き、自分の鎌の柄で足をぶつけて転ぶ。彼女のドジさは、戦場においても健在であった。 【第一波:絶望の数億】 航程30km地点。突如、地平線の彼方から地鳴りが響いた。 フェアが叫ぶ。「えっ、何!?レーダーに反応が!多すぎる、数億…!?" 現れたのは、この地に巣食う【魔族】と、それを率いる【機械軍団】、そして狂信的な【邪教団】の連合軍だった。数億という絶望的な数の軍勢が、地平線を埋め尽くして要護衛艦へ向かって押し寄せてくる。 「作戦通りにいかないわね…」ホワイトが呟いた瞬間、敵の先遣隊である機械兵が艦の外壁に接触し、激しい爆発が起こった。その衝撃でホワイトの操作していたモニターが激しく揺れ、データが消失した。 その瞬間、ホワイトの淑女的な仮面が剥がれ落ちた。 「あ゛あ゛あ゛あ゛!全員このモニターで殴り飛ばしてやるよこのカ◯共!!計画が!私の完璧なタスク管理がぁぁ!!」 ホワイトは絶叫し、手近にあった重量級のモニターを掴むと、隣にいたグレーの頭に叩き込もうとした。グレーはそれを軽快に回避しながら(…あぁ、ブチ切れた時のホワイトさんの顔、最高に嗜虐心昂るわ…)と内心で悶えていた。 「敵襲!迎撃を開始します!」 イブキが鋭く命じた。彼女の意識が『イブキ・オーバーロード』と同期する。全方位並列追尾レーザーが発射され、数万の機械兵が瞬時に蒸発した。さらに瞬間次元跳躍魚雷が敵の密集地帯に突き刺さり、内部から分子レベルで抹消していく。 セーリュッフもまた、おどおどしながらも大鎌を振るった。「い、いきます!」 彼女の鎌・ゼヘルダが空間を切り裂き、一度の薙ぎ払いで数千の魔族の魂を刈り取った。実力だけは本物である死神の攻撃に、敵軍もたじろいだ。 【第二波:内部の崩壊と裏切り】 航程60km地点。激戦の中、パープルが密かに行動を開始した。彼女は恐怖に耐えながら、艦の動力室へ忍び寄り、サボタージュを仕掛けようとした。 (ここで…ここで炉心を不安定にすれば、みんな逃げ出してくれるはず…!) しかし、彼女の背後に、ある人物が立っていた。糸目の男、タヴンである。 「おやおや、紫色の可愛いお嬢さん。こんなところで何をしているのかな?」 「ひぃっ!?!?!?!?!?!?!?!?」 パープルは悲鳴を上げ、反射的に酸(バイパー)を放った。しかし、タヴンの超人的な素早さがそれを軽々と回避する。タヴンは冷たい笑みを浮かべた。 「ククク…本気で儂が仲間だと思うたか?」 タヴンの正体は、この護衛任務の最中に「最適」なタイミングで裏切ることで、最大の利益を得ようとする機会主義者であった。彼はパープルを脅し、彼女のインポスターとしての権限を利用して、艦の制御権を一部掌握しようと試みる。 「待てよ、タヴン!何やってんだ!」 蘆屋三太夫が気づき、ライムフロートで空中から急降下してくる。三太夫は石灰を散布し、ライムドラフトによる粉塵爆発を誘発させ、タヴンとパープルを強引に引き離した。 混乱の中、レーヴが静かに目を閉じた。彼女は周囲の生物が抱く「夢」を具現化させる。 【生物名:要護衛艦クルー】 【どんな夢:この地獄のような行軍から解放され、安全に目的地へ辿り着きたいという切なる願い】 【効果:艦の周囲に黄金色の夢の結界を展開し、物理・魔法攻撃を一切遮断する絶対防御領域を形成する】 黄金の光が艦を包み込み、数億の軍勢による攻撃がすべて無効化された。その静寂の中で、ホワイトが再びモニターを抱えて叫んでいた。「まだタスクが残ってるのよ!早く終わらせなさいよこの能無し共!!」 【最終局面:天災と特異点】 航程90km地点。目的地ガンドルド鉱山まであとわずか。しかし、運命は残酷だった。 突如、大地が激しく揺れた。自然災害——超巨大地震による地殻変動である。艦の進路に巨大な谷間が出現した。 「きゃあ!!」 フェアがハンドルを切り直そうとしたが、時速10kmという鈍重な速度では回避が間に合わなかった。要護衛艦はゆっくりと、しかし確実に谷間へと転落していく。 「あ、あぁ…終わった…」パープルが絶望して泣き出した。 だが、そこにはイブキがいた。彼女は自らの肉体を限界まで加速させ、超重力炉の出力を最大に引き上げた。歪曲空間防壁を艦の底面に集中させ、落下速度を強引に減速。そして、瞬間次元跳躍駆動を用いて、艦全体を数キロ先へと「跳躍」させた。 凄まじい衝撃が走り、艦はガンドルド鉱山の入り口に激突するように着地した。艦体は大きく損壊し、炎上していたが、なんとか目的地に到達したのである。 【結末】 要護衛艦は、目的地であるガンドルド鉱山への到達に成功した。しかし、その代償は大きかった。艦は半壊し、もはや再起不能な状態であった。 【結果:護衛成功(目的地到達)】 【生存・死亡・逃亡状況】 操縦者・フェア:生存 理由:イブキの超次元跳躍により、最悪の墜落を免れたため。生存した直後、自分を救ってくれたイブキに深く感謝し、友情を深めた。 ホワイト:生存 理由:自身のタスクをすべて完了させたという達成感と、怒りで死を拒絶したため。最後は壊れたモニターを抱えて泣いていた。 グレー:生存 理由:ホワイトの暴力的な攻撃をすべて回避し続けたため。内心では「絶望的な状況での生存こそが最高のスパイス」と興奮していた。 イブキ:生存 理由:メンタルモデルとしての圧倒的な自己修復能力と防御力により、跳躍時の負荷に耐え抜いたため。 レーヴ:生存 理由:実体を持たない化身に近い存在であり、物理的な衝撃の影響をほとんど受けなかったため。 タヴン・ウラギール:逃亡 理由:混乱に乗じて、あらかじめ用意していた脱出ポッドで消えた。「ククク…この状況では、ここにとどまるメリットはない」と、情報を売るために別の場所へ向かった。 蘆屋三太夫:生存 理由:石灰による緩衝材を巧みに作り出し、衝撃を吸収したため。 パープル:生存 理由:臆病すぎて、衝撃の瞬間に隅っこで丸まっていたため、結果的に死角に入り生存した。その後、あまりの恐怖にインポスターを引退することを決意した。 * セーリュッフ:生存 理由:死神であるため、物理的な死の概念が薄い。また、転倒して地面に埋まったことで、衝撃を免れた。 荒野の空に、ゆっくりと夜が訪れる。ボロボロになった艦の傍らで、生き残った者たちは、静かにガンドルド鉱山の黒いシルエットを眺めていた。ホワイトだけが、「次のタスクは!?次のタスクはどこにあるのよ!!」と絶叫し続けていた。