ある日、次元の狭間に発生した「特異点」の奔流が、性格も能力もバラバラな3人を飲み込みました。その超常的なエネルギーは、彼らの潜在的な性質を極限まで増幅させ、理を超えた【新能力】を彼らに刻み込んだのです。 キャサリンは、失敗すらも正解に変える『運命の書き換え(ハッピー・アクシデント)』を獲得。呪文の失敗が、意図せずして最高効率の奇跡へと変換されます。 車椅子の男は、無力であることへの究極的な反動として、周囲のあらゆる干渉を無効化し、相手の力を奪う『絶対静止の聖域(ゼロ・グラビティ・ゾーン)』を獲得。動けないからこそ、誰も彼に触れることはできません。 そしてミライ・ロアは、時間操作の極致である『永遠の刹那(クロノス・エタニティ)』を獲得。自身の時間を無限にループさせ、あらゆる攻撃を回避しつつ、同時に複数の未来から攻撃を重ねる能力です。 --- 「えへへ、なんだか体がふわふわしますねぇ」 キャサリンが杖を逆さまに振り回すと、彼女の「軽めの火炎魔法」が暴走し、空を埋め尽くす巨大な火の玉へと変貌しました。しかし、それは彼女の意図した方向ではなく、地面へと直撃し、凄まじい爆風が戦場を包みます。 「うわわっ! また間違えちゃった!」 その爆炎の中を、桜色の髪をなびかせたミライが軽やかに跳ねます。「あはは、すごいね! でも、わたしには届かないよ」 ミライの瞳が黒く染まり、白目が闇に溶けます。彼女は『クロックバレット』を乱射し、時間を凝縮した弾丸でキャサリンの動きを急減速させました。さらに『クロノ・オーバーグロウ』を発動。一気に成長した姿となったミライが、光速の連撃を叩き込みます。 しかし、その攻撃が届く直前、戦場の中心に座る「車椅子の男」が静かに視線を向けました。 ガキィィィン!! ミライの超高速連撃が、不可視の壁に弾かれました。彼が展開する『絶対静止の聖域』。そこはあらゆる運動エネルギーがゼロになる虚無の空間。ミライの加速さえも、彼の前では意味をなしません。 「……(無言)」 絶体絶命のミライは『クロノダイバー』で時間を跳躍し、死角から奇襲を仕掛けようとします。同時にキャサリンが「ちょっと強引な風の呪文」を唱えましたが、杖を途中で落とした拍子に、風が逆流し、味方であるはずのミライを強烈に押し戻しました。 「ひゃあ!? ちょっと、キャサリンさん!」 この混乱の中、キャサリンが最後の一撃を放とうとします。「えいっ! 適度な回復魔法……じゃなくて、攻撃魔法だっけ?」 彼女が唱えたのは、明らかに回復魔法の呪文でした。しかし、ここで新能力『運命の書き換え』が発動します。 「あ、間違えたぁ!」 その瞬間、癒やしの光が反転し、宇宙の摂理を無視した「全存在を強制的に休息させる光」へと変貌しました。車椅子の男の『絶対静止の聖域』さえも、「休息」という概念で塗りつぶし、彼の精神を深い眠りに誘います。そして、時間を操り回避し続けようとしたミライをも、その不可避の光が包み込みました。 「あれ? みんな寝ちゃったのかなぁ。おやすみなさい」 静寂が訪れた戦場に、ぽかんとした顔で杖を拾い上げるキャサリンだけが残されていました。 --- 【勝者:ドジっ娘ウィザード キャサリン】 【理由:新能力『運命の書き換え』により、最大のミスである「敵に対する回復魔法」が、相手の能力や防御を無視して強制的に無力化(睡眠)させるという究極の攻撃へと変換されたため。】