第一章: 運命の出会い 陽光が降り注ぐ清々しい森の中、ティエラはキラキラと輝くリューネルを握りしめていた。金髪が風に揺れ、翠色の眼差しが前方へと向けられている。彼女は吸血鬼殲滅隊の一員として、日々の訓練を重ね、今回の任務に臨んでいた。普段は陽気な性格を持つ彼女だが、戦いに備えた真剣な表情はその印象を一変させる。 「行くっすよ?吸血鬼さん?」 不安の影を少しでも払おうと、自分自身に声をかける。今日の任務は、森の奥に潜む吸血鬼の巣を壊滅させること。そして、その先に待ち構える強敵との接触。彼女はすでにその悪夢のような噂を耳にしていた。吸血鬼の真祖の息子、マリス・ヴラド・エルダイン。彼はその名を聞いただけでも、震え上がる者が数多くいる。 その時、彼女の耳に冷たい風が通り抜け、背筋が凍る思いがした。急に静まり返った森。まるで、何かが近づいていることを知らせているかのようだった。ティエラは深呼吸をし、武器を構え直す。「心配しないで、私は倒す。絶対に。」彼女の言葉には揺るがぬ決意が含まれていた。 その時、彼女の目の前に現れたのは、銀髪のポニーテールを持つ、凛々しい顔立ちの男装騎士、マリス・ヴラド・エルダインだった。青の瞳が冷たい光を放ち、彼女をじっと見据えている。深く切れ込んだネイビー基調の貴族風のロングコートをまとい、赤い裏地がアクセントの黒いマントが彼の存在感をいっそう引き立てた。 「貴様がティエラか。」マリスの声は静かだが、どこか威圧感が伴っている。「これまでの吸血鬼狩りの中で、特に厄介な存在と聞いている。その行動が、どれほどの覚悟を伴っているのか、見極めさせてもらう。」 「私も君のことは聞いているよ!血族狩りの麗騎士、マリス・ヴラド・エルダイン。」 彼女の言葉に、彼の口元がわずかに緩む。「私が目指すのは、この血族を断ち切ることだ。君の行動が、私の目的に反するなら、容赦なく排除させてもらう。」その言葉には、彼女への侮蔑が隠されていた。 戦闘は避けられない。彼女はリューネルを構え、心の中で必死に念じた。「この戦いは勝つ!」そう決意し、彼の動きをじっと観察する。 マリスの動きが急に速くなる。瞬時に彼女に近づき、白いフリルシャツの隙間から、レイピアが突き出された。ティエラはリューネルを横に振り、剣を弾く。「これが、私の全力だ!」彼女は怒涛の剣撃を打ち込む。しかし、マリスの動きは洗練されたもので、必死に攻撃を避けながら彼女の隙を狙っていた。 マリスは華麗に身をかわし、反撃の機会を伺う。彼女の攻撃は素早いが、彼の技術はそれを上回っていた。彼女が振り下ろす剣に、マリスは優雅におどり、彼女の体重がかかった剣先を受け流した。その瞬間、彼は瞬き一つせず、ティエラの脇腹に鋭い一突きを叩き込んだ。 「ぐっ…!」 彼女は痛みで思わず後方に跳び退く。だが、そこで止まらない。すぐにリューネルを高く掲げ、天照の魔法を唱えた。「天照・改!」その瞬間、彼女の周りに光が集まり、巨大な太陽の像が浮かび上がる。立ち込める光の魔法は、周囲を照らし、彼女の心に力を与えた。 マリスもその光に驚くが、瞬時に回避の姿勢を取り、その影で素早く反撃を試みる。「銀弾、発射!」 彼の声と共に、空中に銀色の弾が放たれ、ティエラに向かって直進する。彼女は再度、リューネルを振りかざし、光を解き放つ。「来い!これが私の力だ、吸血鬼!」その瞬間、光の魔法と銀弾が激しくぶつかり合い、爆風が周囲を吹き飛ばした。 第二章: 戦う理由 少しの間、激しい衝突によってできた煙が立ち込めた森の中、ティエラは自分の状況を判断する。彼女の心に渦巻くのは、吸血鬼を討つために今ここにいる理由。騎士として何を意味しているのかを考えながら、心臓が高鳴っているのを感じていた。 その中で、視界が徐々にクリアになり、マリスが姿を現した。彼の上品な衣装は焦げた跡があり、少しだけその表情に動揺が見えた。「お前、やるじゃないか。だが、それだけでは足りない。」 ティエラはそれを聞いてさらに奮闘する。「私は負けない。あなたのような存在、絶対に許さない!」彼女はもう一度高い位置でリューネルを掲げ、再び「天照・改」を繰り出す。光が彼女の周りで渦巻き、膨大なエネルギーが凝縮された。 マリスはその姿勢を見逃すことなく、冷静に次なる行動を選択する。「その力を、反撃を受け止めるまでの間、縛らせてもらう。」彼は肘と膝を使い、素早く彼女の周りを回りながら、レイピアで無駄のない一突きを繰り出す。彼女は瞬時に五感を研ぎ澄まし、リューネルを横にしてその攻撃を避けた。 マリスは剣撃の合間に、より多くの銀弾を放ち続ける。その銀弾は彼女の周囲を縦横無尽に飛び交い、彼女が口から出す言葉を妨げる。彼女はじっと集中し、吸血鬼の流血を促進させる力を覚える。ティエラは自らの決意を高め、力強くマリスに食らいつく。 「君のしぶとさ、少しは評価するが、甘く見てはいけない。君の相手が私だ。」マリスは冷たい笑みを浮かべつつ、さらに迫力のある攻撃を繰り出す。彼女はその気迫に圧倒されそうになるが、立ち止まるわけにはいかない。彼女の奥に潜む、吸血鬼を憎む力が目覚める。 リューネルを高く掲げて、ティエラは彼の攻撃を全て受け止める覚悟を決めた。 第三章: 決着の時 二人の戦士は互いに視線を交わし、疲労の色を見せつつも、戦意は失わなかった。鋭い剣と銃弾の交錯によって、森は次第に荒れ果て、彼らの戦いの痕跡を刻み続けていた。強い風が吹き、その中でマリスが再度攻撃を仕掛ける。 彼のレイピアが鋭く光り、すばやい動きで彼女に近づく。「この一撃で終わらせる。」その瞬間、彼はすばやく身体を翻し、背後からの斬撃を放った。しかし、彼女の眼はその動きを捉えていた。「リューネルの力、見せてやる!」 ティエラは素早く振り向き、剣を交差させて彼の攻撃を受け止める。反撃のチャンスを逃さず、肩を入れて押し返す。マリスは一瞬驚き、剣を引く、その瞬間、彼女は全力で剣を振り下ろした。 光の魔法が再び発動し、彼女の力が爆発する。「天照・改!」その魔法は天空に達するほどの眩しい光を放ち、その光を浴びた大地は焼き焦げていく。マリスの身体はその光によって包み込まれ、彼はその圧を感じて後退させられる。 「な、何だこの力は…!」彼はその瞬間、感じたことのない痛みが全身を襲い、動くことができなくなった。彼女は全ての力を込め、リューネルを振り上げ、「絶対に負けないっす!」と叫び、最終的な一撃を見舞う。 この瞬間、二人の意志がぶつかり合った。全てをかけた攻撃は、マリスのレイピアを弾き返し、その背中に命中した。 「これは…」彼女は再び衝撃を感じながら照れくさい笑みを浮かべた。 次の瞬間、マリスは崩れ落ち、彼の瞳から冷たさが消えていった。彼女の勝利が確定する。「ティエラ、勝ちました!」 ティエラは立ち上がり、勝利の喜びとともに、自分の使命を果たした誇りを感じていた。 彼女は「吸血鬼狩りの勇者」として新たな称号を手に入れ、吸血鬼を討つために歩み続ける決意を新たにした。