【白熱のバトルアリーナ:開幕!】 空を覆う巨大なホログラム、地響きのように鳴り響く数万人の歓声!ここはあらゆる種族、あらゆる能力者が集い、その力を競い合う究極のエンターテインメント空間「バトルアリーナ」だ! ステージ中央で飛び跳ねているのは、ピンク色の衣装に身を包んだ、あまりにもテンションの高い少女。この試合の実況・解説を務める魔法少女である! 「どぅわああああああ!皆様お待たせいたしましたあああ!本日のメインイベント、禁断の能力対決!魔力を喰らう小悪魔か、自然を操る植物ハンターか!実況は私、実況魔法少女サケビがお送りいたしませぇえええ!ずぅええええ!!」 サケビがマイクを手に、対戦相手の元へと猛烈な勢いで駆け寄る。 【試合前インタビュー】 サケビ「まずは!ピンクのサイドテールが眩しい!生意気モード全開の賞金稼ぎ、セレナ・ロアちゃん!意気込みをどうぞぉぉぉ!」 セレナ「ふふん、アタシに挑もうなんていい度胸してるじゃない。アンタみたいな鈍そうな女、あっという間にアタシの虜にして、たっぷり魔力を絞り取ってあげるわよ。あーあ、この賞金でまたお姉ちゃんにプレゼント買えるかなぁ!楽しみだわっ!」 サケビ「お姉ちゃんへの愛が重いっ!ずぅええええ!続いては!おっとり天然!緑の指を持つプラントハンター、ヘレンさん!意気込みをどうぞぉぉぉ!」 ヘレン「ええと……こんにちは。戦うのは少し緊張しますけれど、このアリーナの土壌はどんな成分なのかなって気になっていて。あ、もしよろしければ、終わった後に珍しい種を交換していただけませんか?ふふふ」 サケビ「天然だああああ!戦う前から植物の話してるぅぅぅ!それでは……準備はいいかあああ!レディー……ゴーッ!!どぅわああああああ!!」 【バトルスタート!】 ゴングが鳴った瞬間、セレナが背中の小悪魔翼を激しく羽ばたかせ、空高く舞い上がった。 「まずはご挨拶よ!チャームアロー!」 セレナが指先からハート型の魔力弾を連射する。ピンク色の弾丸が空を切り、ヘレンに向かって雨のように降り注ぐ。しかし、ヘレンは慌てる様子もなく、腰のホルスターから愛銃『ブルームインジェクター』を抜き放った。 ガガッ!ドシュッ!! 「あらあら、危ないですね。……『リフト』!」 ヘレンが足元の地面に種子を撃ち込む。すると、一瞬にして巨大な高木が猛烈な勢いで成長し、ヘレンの体を巻き上げて上空へと押し上げた。ちょうどいいタイミングで、セレナの放ったハート弾は空中で空切りとなり、巨木の幹に当たって弾ける。 サケビ「どぅわあああああ!開幕早々の高速移動!ヘレンさんのリフトによる急上昇!セレナちゃんの弾丸を完璧に回避しましたあああ!ずぅええええ!」 「チッ、いい反応ね。でも、いつまで逃げ回れるかしら?」 空中でホバリングするセレナの瞳が、不気味に変化する。白目がどろりと黒く染まり、魔人としての本能が覚醒した。 「『幻惑の囁き』……さあ、アタシに逆らえない気分になりなさいよ」 セレナが妖艶に微笑み、甘い声を響かせる。それは精神的な防壁を内側から溶かす、魔人の誘惑。地上に降り立ったヘレンの足取りが、一瞬だけふらついた。 「あら……なんだか、急に眠くなってきました……。ふふ、心地いい風ですね」 サケビ「出たあああ!魔人の誘惑!ヘレンさんの意識が朦朧としてるぅぅぅ!ここだ!セレナちゃんのチャンスだあああ!」 セレナは逃さない。急降下しながら、ヘレンの周囲に『魔喰』の波動を放つ。ヘレンが無意識に展開していた防御的な魔力を、セレナが真空掃除機のように吸い上げていく。 「あはは!美味しいわね!アンタの魔力、おっとりしてて飲みやすいわ!」 セレナは吸収した魔力を即座に変換し、より強力なチャームアローを連射。今度は逃げ場を塞ぐように円を描いて射撃する。しかし、そこでヘレンの「天然」が牙を剥いた。 「……あ、あそこに綺麗な花が咲いていますね」 ヘレンがぼんやりと指差したのは、自分が先ほど撃ち込んだ種子が、セレナの魔力攻撃による衝撃波で刺激され、予想外の変異を遂げた場所だった。 「『タレット』!」 ヘレンが反射的に撃ち込んだ種子から、巨大な向日葵が次々と出現。タレット化した向日葵たちが、自動追尾機能で上空のセレナをロックオンし、種子の弾丸を猛烈な速度で射出する! ドガガガガガッ!! 「きゃっ!?なによこの花!アタシを狙ってるわね!?」 セレナは空中で激しく身をよじりながら弾丸を回避するが、向日葵の数があまりに多く、完全に包囲されてしまう。 サケビ「どぅわああああ!タレット向日葵の絨毯爆撃!セレナちゃんが空中でダンスを踊らされてますあああ!ずぅええええ!!」 「いい加減にしろー!もう、ムカつくわね!」 セレナは強引に高度を上げ、一度距離を取ると、全力で魔力を練り上げる。その表情は挑発的だが、目だけは黒く染まり、真剣な戦いへと移行していた。 一方のヘレンも、おっとりした表情のまま、地面に『ブライア』の種子を大量に散布。アリーナの床一面が、鋭い棘を持つ茨の海へと変貌した。 「あのお花さんたち、少し元気が出すぎですね。でも、これで足止めは十分かしら」 セレナが急降下して接近戦を挑もうとした瞬間、茨が鞭のようにしなり、彼女の足を捉えようとする。セレナは空中でそれをかわすが、ヘレンはさらに『ヴァイン』を射出し、強靭な蔓をムチのようにしならせてセレナを叩き落とした! ドシンッ!! 「いっ……!この女、天然のフリしてえげつない攻撃してくるじゃない!」 「ふふ、植物さんは正直ですから。さあ、もう終わりにしましょうか」 ヘレンが近づこうとしたその時、セレナが不敵に笑った。彼女の周囲に、濃密なピンク色の魔力が渦巻いている。 「終わり?いいえ、ここからがアタシの本番よ!全部喰らって、全部アタシの思い通りにさせてあげる!!」 セレナの最大奥義が発動する。周囲の大気から、そしてヘレンが展開していた植物たちの生命エネルギーまでもが、強引にセレナへと吸い込まれていく。 「『デッドリーメズマライズ』!!」 巨大なハート型の魔力弾が生成され、アリーナ全体を飲み込まんばかりの規模でヘレンへと放たれた。逃げ場はない。耐性など関係ない。当たれば絶対的な魅了と共に、大爆発が襲いかかる一撃! しかし、ヘレンは動じなかった。彼女は最後の一撃として、自身の足元に『リフト』と『ヴァイン』を同時に撃ち込んだ。 「えいっ」 超高速で成長した大樹が、盾となってセレナの前に立ち塞がる。同時に、その樹の根が地中深くへと潜り込み、アリーナの構造物そのものを利用して、巨大な植物の壁を構築した! ドゴォォォォォォン!!! 凄まじい爆発音が響き渡り、アリーナを白い光とピンク色の煙が包み込む。観客席からは悲鳴に近い歓声が上がった。 サケビ「どぅわああああああ!大爆発だああああ!アリーナが吹き飛ぶぅぅぅ!勝者はどっちだあああ!?ずぅええええ!!」 煙がゆっくりと晴れていく。そこには、ボロボロになった巨大な樹の残骸と、魔力を使い果たして肩で息をするセレナ、そして帽子が飛び、服が泥だらけになったヘレンが、お互いに背中合わせに座り込んでいた。 セレナ「はぁ……はぁ……。アンタ、しぶといわね……。あんな壁、誰が作るのよ……」 ヘレン「ふふ……。私も、びっくりしました。あんなに大きなハート、見たことありませんもの……。なんだか、心地よい疲れですね」 二人は同時にふわりと笑い合い、そのまま力尽きて地面に大の字になった。 サケビ「判定ーーー!!両者、戦闘不能!および魔力・スタミナ切れによる……ドロー!引き分けだああああああ!ずぅええええ!!」 * 【試合後インタビュー】 サケビ「どぅわあああああ!最高の試合でしたあああ!それでは、戦い終えたお二人に感想をいただいちゃいましょう!まずはセレナちゃん!」 セレナ「(気怠そうに)あーもう、最悪。魔力を使いすぎて、お姉ちゃんに甘える体力すら残ってないわ。……でも、あの植物の扱い、ちょっとだけ認めてあげる。次はアタシが完全に屈服させてあげるから、覚悟してなさいよね」 サケビ「強気だあああ!ずぅええええ!では、ヘレンさん!」 ヘレン「ふふふ。とても刺激的な時間でした。セレナさんの魔力は、とても情熱的な色をしていて素敵でしたね。あ、でも次からは、もう少しだけ優しくしてくださると嬉しいです」 サケビ「天然の癒やしだあああ!それでは最後に、お二人の『宣伝』をお願いしまぁぁぁす!!」 セレナ「(カメラを指差してウインクし、小悪魔的に笑う)あー、アタシは賞金稼ぎやってるから。高いけど、仕事は完璧よ?……ま、お姉ちゃんに似た可愛い子なら、特別に安くしてあげてもいいわよ。依頼はいつでも受け付けてるわ、アンタたち!」 ヘレン「(ふんわりと微笑み、小さな種を手のひらで見せながら)私はプラントハンターです。世界中の珍しい植物を探しています。もし、不思議な花や、見たこともない木を見つけた方がいたら、ぜひ教えてくださいね。お礼に、心を落ち着かせるハーブティーを淹れて差し上げます」 サケビ「どぅわあああああ!最高の締めくくりだあああ!本日のアリーナはここまで!皆様、また次回の戦いでお会いしましょう!ずぅええええ!!」