馴れ初め 縫部 彩葉は、繁華街の一角でひっそりとした布地屋「彩縫堂」を営んでいる。周りの喧騒の中で、自分の好きな布を色々と取り揃える姿は、彼女にとって日々の幸せそのものだった。自分の店でたくさんの人に喜んでもらえるコスチュームを仕立てること、そして自分自身もその衣装を着て表舞台で輝くことが何よりも大切だった。 ある日、彩葉がオリジナルコスプレ衣装の展示会に出展することになった。初めての大きなステージに胸を躍らせながら、彼女は自分が作った衣装を一つ一つ丁寧に整えた。その日は、友人やお客さんたちもたくさん駆けつけ、彼女にとって特別な日になるはずだった。 展示会当日、会場の楽しげな雰囲気に包まれた中、彩葉は自分の作った衣装を着たときの感動を思い出していた。そんな彼女の前を通り過ぎたのは、色褪井 暮葉(いろあせい こは)だった。暮葉は彩葉の幼馴染で、同じ年齢でありながら、まったく異なる個性を持つ女の子だった。内気で臆病だが、心の奥では人一倍努力を重ねる彼女は、彩葉とは正反対の性格であった。 「彩葉、すごくきれいな衣装だね!」 声をかけながら、暮葉は少し赤面しつつも彼女の近くに寄ってきた。彼女は、少し引っ込み思案ながらも、いつも彩葉を応援してくれる大切な存在だった。 「ありがとう、暮葉!この衣装は私が一番力を入れたやつなんだ!」 二人はお互いの成長を励まし合いながら、しばらくの間会場を巡ることになった。特に彩葉が目を輝かせて衣装の詳細を説明する時、暮葉はそれに耳を傾け、少しずつ彼女自身も自信を持って話せるようになっていった。 展示が進む中で、暮葉はフードコートで目に留まった不思議なブローチを見つけた。「これ、可愛い!あなたに似合うと思う!」と言いながら彩葉に見せる。しかし、そのブローチは実は見る者にデザインのことを考えさせ、アイデアを引き出す力を持つ不思議なアイテムだった。 「ありがとう、暮葉!これをつけてもっと素敵な衣装が作れるかも!」 「うん、彩葉の力になれるといいな!」 このやりとりを通じて、二人の絆はさらに深まっていった。 その後、彩葉はコスプレコンテストにも出場することに。彼女はおそらく優勝するだろうと期待が高まった。であったが、暮葉は自身の能力を活かして、影を使ったアート作品を展示する事に決めた。だが、いつも内気な彼女は、発表することに怯えていた。 「彩葉、私、やっぱり怖い。失敗したらどうしよう…」 「大丈夫だよ、暮葉!失敗は成功のもとだし、私は君がどんな作品を作っても楽しむよ!」 この言葉が、暮葉を少しだけ勇気づけた。彼女は、彩葉の力強さを感じながら最終的に自分の夢を信じる道を選んだ。 展示会も無事終わり、彩葉は彼女の衣装で観客を魅了し、コンテストでも見事に優勝。暮葉も自分の作品が少しずつ認められる喜びを得て、二人は共に夢を追いかける仲間となった。 (つづく) --- デートの始まり(遊園地) 数日後、休日、彩葉と暮葉は遊園地に行くことに決めた。彩葉は明るく元気な気持ちでやる気満々だったが、暮葉は少し緊張した様子で少し落ち着かなかった。 「彩葉、あのジェットコースター、本当に乗るの?」 「もちろん!乗るでしょ、絶対楽しいって!」 「でも、高い所…私、ちょっと怖いかも…」 「大丈夫だよ!君と一緒なら、何でも乗り切れるよ!」 彩葉は暮葉の手をそっと掴んで、自信満々に伸ばし、二人一緒に長い列に並んだ。彼女の手に触れることで、暮葉は少しずつ安心していく。最後に思い切って、乗車することができた。 「わ、わあああ!」 二人は遊園地の美しい景色を背に、高速で落ちたり駆け上がったりした。息をつく暇もないほどのスリルだったけれど、互いに手を握ることで勇気をもらっていた。何度も絶叫し、遊び終わる頃には二人とも笑顔になっていた。 「ねえ、どうだった?やっぱり怖くなかったでしょ!」 「うん、思ったより楽しかった!でも、もう一度乗る勇気はないかな…」 「そうだね、次は観覧車に乗って静かに景色を楽しもうか!」 そう言って二人は次に観覧車へ向かう。高い場所に運ばれるにつれて、二人は寄り添うように座っていた。空が夕焼けになり、オレンジ色の光が二人の表情を優しく照らした。その時、彩葉は少しドキドキを感じつつ、暮葉の腕を思い切って掴んだ。 「暮葉、ありがとう。君と今日は楽しい日になった。また一緒にいろんな所へ行こうね。」 「こちらこそ、彩葉。いつもありがとう。」 驚いた様子の暮葉は赤くなりながら、少し頬を赤らめていた。二人の距離がまた少しだけ近くなった気がする。観覧車の頂上で景色を楽しんでいる間、彼女はそっと彩葉の頬にキスをした。 「え、今のは…?」 「ご、ごめん!ちょっと思いついて…」 「いいよ、私も思いついたし…今から行こう!」 こうして、彩葉の明るさと暮葉の温かさがふんだんに流れる一日が続いていくことを、二人はそれぞれの心で感じていた。次に何が待っているのか、楽しみで仕方がなかった。