夕暮れ時の草原には、柔らかな風が吹き抜け、草が優雅に揺れていた。日が沈みかけ、空が紅に染まる中、少女たちは中央の大きな石碑の前に立っていた。名も無き戦士たちの名前が刻まれたその碑は、彼らのかつての栄光を物語るように見える。しかし、その美しさの陰には、彼らが払った代償が深く刻まれていた。 「夜明けは遠い、まだ楽しもうじゃないか」 冷酷なフリをしながら微笑むシゼイル・コレヌーラは、黒いパーカーを羽織り、白いシャツの襟を整えていた。どこか不釣り合いな可愛らしい低身長が、彼女の持つ冷酷さと相反する印象を与えていたが、彼女はそれを気にすることなく、強い信念をもって立っていた。 彼女は、戦死者に思いを馳せ、祈りを捧げるための儀式に参加していた。そこには歴戦の戦士たちの名前が連なり、同時に彼女自身の過去も焼き付いているように思えた。シゼイルは手を組み、自らの心に響く戦士たちの声を聴くのだ。 近くには紅目もいた。彼女は大型の二脚機体「RED」に搭乗する冷静な女性で、充血した赤い目はまるで敵を捉えるための光を放っているかのようであった。木々が小さく揺れる中、彼女はシゼイルの横に立ち、静かに石碑に目を向けた。 「私たちの戦は終わったわけじゃない。彼らのためにも、私たちは戦わなければならない」 紅目の言葉はまるで冷たく響き、しかし心の奥では戦士たちへの祈りが交わるのを感じていた。それは、彼女にとって新たな決意をもたらすのだった。 石碑の前での祈りが始まった。シゼイルは心の底から、戦の無い平穏な日々が戻ることを願っていた。 「私は、彼らの補填を背負うつもりなんてないわ。ただの前進よ。後ろを振り返るつもりもないんだから」 シゼイルの心の中の冷酷さは、実は彼女が持つ弱さから来ていることを、紅目は知っていた。 その瞬間、草原にゆっくりと星が降り始めた。 それは、祈りが届いた証だった。 シゼイルは目を見開き、周囲の風景が幻想的に輝くのを見ていると、彼女自身を包み込むような安心感を得た。夜空に星々が浮かぶさまは、戦死者たちの優しい微笑みのように思え、彼女の中の複雑な気持ちが解きほぐれていくようだった。 その中から、シゼイルは固有魔法『水猟』を発動し、両手に水流を集めた。彼女の水爪は、まるで星の光を集めたかのように輝いていた。 「見て、紅目。私も、彼らに救いを与えられるかもしれない」 「もう一度、私たちの戦いの意味を見つけることができればいいのに」 二人の女性の心には、強い絆が生まれていた。 だが、草原に降り注いでいる星々には、戦士たちの願いが込められていると感じていた。彼女たちが祈りを捧げ、新たな未来を願う姿は、悲しみを抱えた者たちの重たさを浮き彫りにしていた。 夕日が沈み、空が闇に染まる中、シゼイルは水爪を下ろし、心の奥に深い感謝の気持ちを抱いた。 「夜が明ける時、私たちも進むことができる。未来のために、強くあり続けなければならない」 その言葉が彼女たちの心に強く響き渡り、彼女たちは新たな決意を持って戦いの日々へと戻っていくのだった。 草原には今も戦死者たちの思いが宿り、彼女たちの未来を見守っているかのようだった。二人の少女は、見えない仲間の繋がりを感じつつ、戦士たちの思いを背負う決意を新たにした。これからの未来へ、彼女たちの闘志は決して消えることはない。 こうして、シゼイルは「ヨルタの意志」を獲得した。彼女の目の前には新しい光が燦然と輝いていた。