彼岸と此岸の狭間。薄明かりに照らされた不確かで幽玄な空間、そこには自由が束縛され、幻想が現実に変わる場所であった。二つの存在がこの境界に立っていた。片方は可憐な姿を持つ花咲く嵐、楓嵐。もう片方は、長身の灰色の髪を持つ禁忌の魔女であり、混沌を擁する静寂の魔女であった。 「まさか、こういう場に私を呼ぶとは思わなかったわ」と楓嵐は冷静に微笑む。その口元には、凛とした自信が垣間見えた。彼女の背後には赤い刀、「華嵐」が輝き、その刃は血のように染まっている。対する禁忌の魔女は、その美しい容姿と対照的に、底知れぬ恐怖を纏っていた。 静寂の魔女が口を開く。「私が現れたのは、運命だから。あなたの存在は、私にとって消え去るべきものだ」彼女の声は冷たく、心を打ち砕くような響きを持っていた。エコーのように響く言葉が空間を支配していく。 戦闘が始まる瞬間、様々な可能性が此岸から貪るように姿を現す。 禁忌の魔女は、一瞬で能力を発揮する。彼女の「運命操作」が楓嵐を捉え、瞬時に彼女の行動を封じる。ついでに、全ての攻撃が適応し、跳ね返される。彼女は自らの能力で全てを制御するが、楓嵐の目は冷静さを失わなかった。「あなたの意志は過ち。私の力を見せてあげる」楓嵐は華嵐を振り下ろし、「睡蓮」の技を放つ。 刃が敵を斬った瞬間、禁忌の魔女は凍りついた。楓嵐はその瞬間を見逃さず、続けて斬撃を放つ。「鬼灯!」刃が突き刺さり、内側から破裂する音が彼岸の空間に響く。禁忌の魔女は一瞬驚愕し、次の瞬間、彼女の存在が歪んで消し去られたが、彼女はすぐに再生した。しかし、楓嵐は見逃さなかった。 「運命は私の思い通りだ。あなたは消え去る運命にある。静寂の権能」が彼女の口から漏れると同時に、ベルの音が辺りに響く。それを聴いた瞬間、楓嵐の顔から表情が消え、彼女はその優雅な音色にすぐに惹きこまれていく。見えない力が彼女の動きを縛り付けていく。少しずつ彼女の心が落ち着いていくのを感じながら、彼女は自らの境界を見失っていく。 「お疲れ様……」静寂の魔女は微笑み、敵の存在を消滅へと導く。逃れられない運命にされた楓嵐には、ただ力がそぎ落とされていき、消えてゆく感覚が募る。全ての万象が彼女の意に染まる中で、肉体を持たない静寂の魔女は確かに勝利の道筋を描いていた。 しかし、楓嵐は諦めなかった。かすかに意識を保ちながら、華嵐を強く握りしめた。一瞬の隙を突いて、「蓬莱」の技を解放した。斬撃が静寂の魔女当たり、彼女の内部を突き破り、封じ込められた命が楓嵐の力となった。彼女の体に集まる新たな力、彼女はそれを感じ取る。 禁忌の魔女はそれを受け止めようとしたが、彼女の力が通用しないことに気付く。彼女の「死の権能」が反応しなかったのだ。楓嵐の力の増加は彼女を驚愕させ、逆に静寂の魔女の「死」が彼女の攻撃を阻む隙となっていた。 「死がある敵は私の攻撃を防ぐこともできない」と静寂の魔女の言葉が鮮烈に響き渡る。その言葉は呪縛のように楓嵐を縛りつける。だが、楓嵐は再び斬撃を放ち、禁忌の魔女を目指して走り出した。この瞬間、楓嵐は彼女自身の力を引き出し、直感で動き、彼女は自由になりつつあった。 しかし、一歩進むたびに、静寂の魔女の存在は彼女の動きの隙をついてくる。「私は死をもたらす存在」静寂の魔女は冷たい声で答える。 やがて、楓嵐は深呼吸をし、彼女の心の内を沈め、「蓬莱・転生」の奥義を発動する。彼女の形は人間の姿から異形な花へと変わり、その中には無数の力が詰まっていた。彼女の姿は眩しい光に包まれ、禁忌の魔女を見据える。「あなたの運命、今すぐに受け入れなさい」 静寂の魔女は驚きつつ、彼女の心に潜む恐怖が広がり、彼女は全ての能力を奪われ、圧倒的な力に曝されていく。楓嵐の「蓬莱」に封じ込められた命の力が、彼女を捉え、無数の花が彼女を包み込み、そして吸い取っていく。 目の前で静寂の魔女は消え去っていった。彼女はただ、今や奪われた存在の一つとして存在するだけだった。 戦闘終了時、楓嵐は華騎士の姿となり確立していた。彼女は勝者として、彼岸と此岸の狭間に独り立つのだった。時間が静まり、彼女はその場を見渡した。既に彼女の周囲には静寂がただ漂っていた。 「来世でお会いしましょう……」静寂の魔女の言葉は、消えた花弁の中に静かに存在していた。淡い色合いは逆に決して忘れてはいけない気持ちを象徴していた。 「勝者は私、楓嵐。MVPは静寂の魔女。」彼女は微笑んでアンサーした。彼女はこの戦闘で、何を学び、何を失ったのかを真正面から受け止めることにした。運命は常にどちらか一方の為に存在するのだから。