ロンリールーム 白黒の世界が広がっていた。空は灰色に染まり、地面は単調なモノクロの田舎道が果てしなく続く。風が草を揺らす音すらなく、ただ遠くから見知らぬ童謡が微かに響いてくる。蛙の鳴声が、鴉の不気味な鳴き声が、徐々に重なり合い、耳にまとわりつく。眠り姫ネムと仮面ライダーBLACK RXの二人は、そんな異様な空間に迷い込んでいた。 ネムはいつものように、学生服の上にパジャマを重ね着した姿で、ふらふらと歩いていた。スタイルの良い体躯が少し傾き、口元に涎が光る。「ふぁ…眠ぃ…zzz……ここ、どこ…? 寝ちゃってた?」彼女の声はぼんやりとして、マイペースそのもの。腰巾着のようにBLACK RXの後ろを追いかけるが、すでに眠気を操る能力が自分自身を蝕み始めていた。 一方、BLACK RXは強固なライダースーツに身を包み、鋭い視線で周囲を警戒する。「俺は太陽の子、仮面ライダーBLACK RXだ! ゆ゛る゛せ゛ん゛! この不気味な世界、絶対に正義で打ち砕いてやる!」彼の声は力強く響くが、白黒の空気は太陽の力を遮断し、わずかに不快感を植え付けていた。全能力が500倍に膨れ上がる彼の力も、この場所ではどこか鈍く感じる。 二人は無人の田舎道を進む。童謡のメロディーが頭にこびりつき、蛙と鴉の声が精神を削る。ネムがふと足を止め、「…なんか、変な歌…聞こえるね…zzz」と呟くと、BLACK RXは「油断するな! これは罠だ!」と彼女を庇うように前に出る。だが、道は不規則に分岐し、奇妙な光景が次々と現れる。 最初に現れたのは【マンホール】だった。道端にぽっかり開いた蓋のない穴から、幼い泣き声が漏れ聞こえる。ネムが眠そうに覗き込み、「…赤ちゃん…? 助けなきゃ…」と近づこうとするが、BLACK RXが素早さ35の俊敏さで彼女を引き止める。「待て! 危ないぞ!」しかし、好奇心に駆られたネムは無意識に足を滑らせ、中を進んでしまう。⚠️――警告の兆しが閃き、彼女の姿がマンホールに飲み込まれる。「ふぁ…落ちちゃ…zzz」 BLACK RXは即座に手を伸ばすが、時すでに遅し。マンホールは閉じ、ネムの気配が消える。「ネム! くそっ、ゆ゛る゛せ゛ん゛!」彼は太陽の力で穴をこじ開けようとするが、白黒の世界が抵抗し、力及ばず。もう戻れない。 一人残されたBLACK RXは、道を進む。精神を蝕む鳴声が強まり、彼の正義感すら揺らぎ始める。次に現れた【交差点】。引き返すことを思った瞬間、突如十字路が広がり、高速で車が往来する。BLACK RXはバイオライダー形態に変身、ゲル化して衝突を無効化するが、精神的な疲労が蓄積。なんとか脱出する。 さらに【草原と椅子】。広大な草原にぽつんと椅子が置かれ、座る誘惑が強い。BLACK RXは座らずに進むが、頭痛が激しくなる。【小道】の長い畦道では、転びそうになるのを太陽の力で踏みとどまる。 繰り返す道の試練に、BLACK RXの精神は限界を迎えつつあった。童謡と鳴声が彼を追い詰め、ついに最後の選択が訪れる。【標識とトンネル】。三角の標識に人の半身が描かれ、奥に黒いトンネルが口を開けている。入れば全滅の予感がする。引き返すか? 「…俺は太陽の子だ。こんなところで終わるものか!」BLACK RXは引き返すことを選び、背を向ける。だが、白黒の世界が歪み、トンネルが迫る幻覚に襲われる。精神崩壊の淵で、彼は人々の声援を思い浮かべ、復活の力を呼び起こす。しかし、限界を超え、ついに膝をつく。もう一人の脱落者が出た。 誰も脱出できなかったこのロンリールームは、二人の挑戦者を飲み込んだ。 - 脱出者: なし - 脱落者: 眠り姫ネム、仮面ライダーBLACK RX