街の一角、薄暗い路地の先に荒れ果てた廃工場が立っていた。夜の帳が降りると同時に、そこから湧き出る異様な気配が人々を恐れさせる。 「隠者の獣」に率いられた獣たちが、その工場の中から現れたとき、街中は一瞬の静寂に包まれた。二足歩行の蜥蜴のような姿をした「隠者の獣」は、布で覆われた顔をしたまま、周囲を見渡す。 「隠者の獣」の四本の腕にはそれぞれ剣や鎖が握られ、彼の周りには妖しい光を放つ獣たちがうねうねと動きながら寄り集まっていた。彼らの目は獲物を狙う獣のそれであり、冷たい光を宿していた。 その瞬間、茉莉は両手でカードを握りしめ、邪神メアリを召喚するための祈りを唱えた。「救世主さま!」彼女の声が街中に響き渡り、無貌の邪神が彼女のために現れた。真白い少女として現れたメアリはその存在感により、周りの空気を一変させた。彼女の背後には無数の光が浮かび上がり、強大な力を感じさせる。 メアリは無言のまま、茉莉の目の前に立ち、彼女の信仰の力を吸い取りながら見守っていた。「けがしないで、救世主さま!」茉莉の声が響くと、メアリの周りに包まれるように結界が展開される。 その時、獣たちが襲い掛かる。隠者の獣がその剣を持ち上げ、鮮やかな刃を振るって突進してきた。「囁け、我等の布告を!」とでも言いたげな唸りを上げる。メアリの真白な姿はまるで光の中から現れた天使のようだ。 「私が皆を守る!聖歌を響かせるよ!」と、フーレ・ヴァニーユも弓を構え、彼女の持つ夢見の弓矢が聖なる光に包まれる。彼女は深呼吸をし、優雅に弦を引き絞った。「オンステップ!」その瞬間、彼女の声が響き渡る。 周囲の空気が変わり、みんなの被弾率が一時的にゼロになる。獣たちがメアリに迫るものの、光の結界によって彼らの攻撃は全て弾かれ、無様に転げ落ちた。 「おお!見よ、救世主の力だ!」フーレは仲間たちに旋律を届けながら、同時に精彩を放った。彼女の「私達へのメロディ」が発動したことで、全員が癒しの効果を受け、体力が徐々に回復していく。 そして、隠者の獣がクリンチしている隙を逃さず、メアリがその姿を隠した。獣たちは混乱し、メアリを探し始める。「因果応報!」その時、メアリは彼女のスキルを発動させた。 「何だ?」隠者の獣は何かを感じ取ったが、時すでに遅し。彼の前にメアリが現れ、周囲にいた獣たちに向けて恐るべき呪文を唱えた。獣たちの行動結果が反転し、彼ら自身が互いを襲うように作用したのだ。「うわあ!」と叫んで、獣たちが互いに牙をむき合う。 「これが因果の力か…!」周囲にいた他の獣たちも混乱したように逃げ出したが、メアリがその視線を受け止めた瞬間、彼女の能力によって敵対者の能力が削がれた。 「もう逃げられないぜ!」フーレは弓を引き、立ち上がって強力な矢を放った。「エベレスティングソウル!」歌声に乗せられた光が彼女の仲間を包み込み、全員がそれぞれのパワーを増強した。それを見て、メアリもまた強化され、彼女の一撃がより破壊的なものへと変わる。「もう一度、行こう!」 「逃げた獣も放っておけ!」メアリは再び姿を消した。 攻撃の波が止まり、彼女は隠者の獣の正面へと降り立つ。「無貌、我等を仰ぎ見よ!」隠者の獣はその時初めて、彼女の姿を視認した。メアリの神秘的なオーラが発生し、狙った獣は一瞬混乱する。不安に駆られた彼は、目の前のその存在に触れようとするが、それは容易なものではなかった。 「変貌が迫る!」メアリの無貌に触れられた獣たちが一斉に恐怖を見せ、彼らの恐れる形態へと変貌してしまった。 その次の瞬間、苦痛の声が響き渡る。「力が…!我が力が無に…!」隠者の獣は崩れ落ち、以前の偉大な力を取り戻そうと必死になって抗う。 フーレはその状況を見逃さず、彼女の弓矢を構えていた。「御伽の詩と永久なるミライ!」と言葉を告げた瞬間、彼女の矢が天高く舞い上がる。聖火の如く美しく、空から無数の矢が降り注ぐ奇跡が見舞われた。 それは獣たちの身体を貫き、まるで神の裁きのように彼らを一掃する。恐れる獣たちは最後の足掻きをし、生き残るために抵抗するも、全てが遅かった。 「これで全てが終わる…!」 「リバイバル!我が祈りなり!」フーレの矢が再度放たれ、獣の一匹に致命的なダメージを与え、割れたように崩れてゆくのを見て、茉莉は「勝った!私たち、救世主さまの力で勝った!」と喜んだ。 残る獣たちも一斉に打ち倒され、隠者の獣も力尽きてその姿を消す。静かな街中には、二人と彼女の守護者だけが残された。 「まだ、戦う必要があるかもしれない。でも今は、私たちの勝利だよ!」フーレは微笑みながら、茉莉を抱きしめる。獣たちの数を数える必要があるのか思案しながら、二人はゆっくりと町の中心へと戻ることにした。 その数、15。この戦闘は見事に勝利し、街は平和を取り戻した。 { ・撃破した「獣」の数(10~20) }