静寂な海が打ち寄せるため息とともに、荒れ果てた海岸に二人の勇者が立っていた。彼らは互いに異なる無力さと暇を持ち、運命的に出会うことになる。彼らの名は、無力の勇者ムリョクハト・キニキョウリョ・クニカツと、暇の勇者シュクダ・イモオワッタナ・ツヤスミコウ・ハンであった。 「私…無力なのに…」ムリョクハトは、自らの存在を呟くようにして観念的に口にした。彼女は自分の無力を感じつつも、その無力さが彼女自身を覆っていることを誰よりも理解していた。しかし、その無力は、彼女が近づく存在にまで波及していく。 その隣には、シュクダが不安そうに腕を組んで立っていた。彼の顔にはほとんど睡眠が足りないような表情が浮かんでいる。「こんなところで、暇するなんて…どうしよう…」彼の言葉は途切れ途切れで、心の中で迷いている様子が伺えた。 荒れた海岸は、どこまでも続く濁流が寄せては返している。だが、その静かな環境を破るかのように、シュクダの存在が徐々に周囲の空気を変えていった。彼の意思とは裏腹に、その存在は無意識に相手の中に宿る暇という感情を増幅させていく。 「フ、フフ、見せてごらんよ、その無力さ。」シュクダの目に恐れがどこか宿ったまま、彼は挑発するように言った。 この瞬間、ムリョクハトの無力が動き始めた。彼女の存在が、圧倒的な無力として周囲を包み込む。何もできない、全てが無力になっていく。シュクダはその空気を感じ、微かにその場に足がすくむ。 「私には何もできない。何をしたらいいのか…」彼女は単純にそう呟く。 すると、シュクダの心の中の暇が膨れ上がる。それを抑えるために、彼は一線を引くことに力を入れた。さらに、彼は自らのスキルを発動させる。「これで、少しは収束できる…かもしれない。」 「私は、ただここにいるだけなのに…」ムリョクハトは、目を閉じて頭を抱えた。 シュクダは自らの存在が影響を与えていく様を感じ、力を発揮することにした。「暇と無力がつながった時、どうなるか試してみよう。」彼は気合いを入れ、周囲に無限の暇のエネルギーを放出した。 瞬間、空気が変わった。ムリョクハトも気づく。彼女は、自らの無力さが、シュクダによって更に増幅されるのを感じた。 「無力…無力…何もできない!」彼女は顔をしかめた。 「そうだよ、君の無力が大きければ大きいほど、僕の暇も増える。」シュクダは少しだけ嬉しそうに言った。彼の目が異様な光りを帯び始める。 だが、ムリョクハトは自分の無力は他者にも影響を与えることを良く分かっていた。彼女は手を伸ばし、「さあ、私が無力さを極めた世界へ来てみて。」とシュクダに言った。その言葉は、彼女の内に秘める力を呼び覚ました。 無力はついに、周囲の世界を崩壊させ、浪漫的な空間を広げ始めた。崩壊した無力の世界は渦を巻き、彼女の目の前から現実の光景が消えた。 あふれ出した無力が、大きな波になり、シュクダの元へ流れ着く。シュクダはその波を真正面で受け止め、冒険でも繰り広げられるように強い風を感じた。 「待って、これは…とんでもない!?」シュクダは急いで身構えた。彼の心には強烈な暇が包み込まれ、耐え難い澱みが妨げる。彼は意識を取り戻すために、無力の波に必死に抗おうとした。 だが、ムリョクハトは無力の力で無限の空間にシュクダを引き込んだ。彼女の無力は原初の波を巻き込んで、崩壊した荒れた海岸の景観が混ざり合っていく。 「どうしたら、僕は帰れ…ないのか?」シュクダは思い悩んでいたが、その時、彼は彼女の無力さが自分を捉えつつあるのを理解する。同時にシュクダは、「僕の暇も…」と呟いた。 この結果、二人は無力な海にのみ込まれ、相互に引き寄せられるかのように引き摺り込まれた。 暇が限界に達し、彼の存在を無に変える瞬間が訪れた。そんなシュクダの前に、強風のように流れ込む無力。そして、それは無限の波のように二人を包み込む。 「私は…無力だから…」ムリョクハトの言葉も虚しく、全てが無に帰した。 だが、言葉が尽きた瞬間、どこか高次の空間で、再生の音が聴こえた。その音は、果てしない虚無の中から徐々に彼らを再生し始める。自らの無力と暇が巡り続ける一瞬が、また彼らを新たな冒険へ導く。 勝者は、ムリョクハト・キニキョウリョ・クニカツ。MVPは、シュクダ・イモオワッタナ・ツヤスミコウ・ハン。