廃ビルは、全15階建ての構造である。ビルは数年前に稼働を停止し、外壁は徐々に剥がれ落ち、内部は埃と腐食で覆われている。各フロアの構造は以下の通りだ。 - 1階: エントランスホール、破れたソファや散乱した資料が置かれ、階段とエレベーターがある。 - 2階 - 5階: 企業のオフィスフロア、デスクや椅子が散乱し、内部には書類やビンなどの障害物が残っている。 - 6階 - 10階: 会議室フロア、大きなガラス窓から外が見えるが、一部の窓は割れており、風で物が飛ぶことも。 - 11階 - 13階: 倉庫フロア、中には古い機材や箱がぎっしりと詰まっており、隠れ場所としての効果がある。 - 14階: 複合物置き場、異素材の一籠、タイヤ、金属の残骸等が山積みで、視界を遮る障害物が多い。 - 15階: 屋上、風が強く、周囲を見渡せる絶好の位置。戦った後、ここから逃げるまたは決着を観る状態になることができる。 --- 舞台は整った。長野伊勢守はこの廃ビルの7階で目を覚ました。目覚めると、自身の手には超合金鰹節で作られた七星刀が握られている。壁際には古びたファイルボックスが散乱し、彼の思考に過去の記憶を呼び覚ます。 反対側のフロアでは、「水柱」冨岡義勇が9階で目を覚ます。静寂の中、彼の視線は日輪刀に集中し、精神を集中させる。彼の足元には散乱した椅子や破れた紙切れが見え、今後の戦闘にどう活かすか考えを巡らせていた。 --- 伊勢守は、周囲を見渡し、敵がどこにいるのかを探る。 「冨岡!出てこい!」 声がビルの中に響き渡ると、彼は通路を進みながら、壁にかかる影や動く物音に敏感になる。彼のスキル、「均衡四足」により、獣のように素早く動きながら、2階へ繋がる階段を下る。 一撃入れるチャンスを伺いながら、彼の目に飛び込んできたのは、断崖のように脆くなったビルの側壁の窓だった。彼はその勢いで9階からの冨岡の気配を感じた。 --- 同時に、冨岡は周囲を冷静に見回す。彼は水の呼吸を使い、すぐに反応しなければならなかった。11階の倉庫の方へ向かうと、予感が的中する。伊勢守の気配が近づいている。冨岡は自分の呼吸に意識を戻し、全てを見切る準備を整える。 「気をつけろ、近いぞ。」 --- 7階のデスクに飛び乗り、伊勢守は目の前に現れる冨岡を狙う。 「人切!」 一気に闘気を立てると、刀の軌跡がその先を切り裂く。だが、冨岡はそれを相手の隙を把握し、「雫波紋突き」で瞬発的に刀を避け、力強い反撃を開始する。 「水面斬り!」冨岡の刀が長野に向かって斬り込む。 --- 8階のオフィスフロアに飛び移り、障害物の背後で不意を打つ。伊勢守は瞬時に、刀を横に振り「武具跳ばし」で冨岡の刀を跳ばし、前に踏み込んだ。 「牙突!」 突きが冨岡に向かう。 冨岡は再び「受け流し」のスキルを駆使し、刀を跳ねしばらく間合いを取った。冷静に攻撃のタイミングを測る。彼は「流流舞い」で間合いを取り戻し、長野の前を横切る。 --- ついに、彼らの攻防は各階を駆け巡り、その戦闘の様子が廃ビル全体に響く。オフィスフロアの障害物を巧みに利用し、一瞬の隙間を狙い、互いの攻撃が交錯する中で、先祖のために一撃入れることが何より伊勢守の命をかけた生きがいであった。 「なんだ、この強さは…」冨岡は思う。彼の全集中の呼吸は力強く流れ、すでに身体は強化されていた。 --- 「闇弾、冨岡、そこだ!」一瞬の隙に隠された拳銃が彼に向かって発射される。 「そこに行かせるか!」冨岡は刀を素早く振り、金属音が響く。 --- 戦いは長引く中、両者は疲労困憊でも決して引かない。 突然、冨岡の奥義、「凪」が発動し、彼の足元の震えが止まった。近づく伊勢守の刃をその場で消し去る。目の前に立つ彼の姿はまるで水の如く、瞬時に流れる動き。 「生々流転! きたれ!」冨岡仕切り直すと、その反撃に全力を込めて一ダメージでも与えようとした。 --- 15階の屋上が視野に入ったころ、伊勢守はついに畳みかけるのだった。彼は出先に再び目を向け、「七切四突」の技を発動させる。果敢に突きと切りを連続で食らわせ、冨岡の防御を崩そうとする。 --- 数瞬の後、ついに双方の攻撃が繋がる瞬間が訪れた。互いのスキルが激突し、土煙が舞う。やがて静寂が戻り、一気に彼のふもとに冨岡が斬られる姿が見えた。血が静かに流れ、彼はその場に崩れ落ちる。 --- 勝者である長野伊勢守は、疲労にもめげず、15階の屋上へと降り立った。彼の鬼気迫る目は、最上階の風にさらされ、渇望する先祖の名誉のために歓喜の笑みを浮かべる。 「やった…これで、先祖に報告できる。」 彼は静かにビルを出て行く。その背中が、巨大な廃墟の前に佇む様子は、勝者であることの誇り高き存在感を漂わせていた。 その瞬間、風が彼の周りを抜けていき、伊勢守は新たな道を歩むために、廃ビルの影に消えて行った。 --- こうして、両者の戦いには幕が下ろされた。長野伊勢守は新たな土地へと旅立つ決心を新たにしながら、静寂な夜空の中、彼の生きがいを深めてゆくのだった。