戦場は静寂に包まれていた。そこは長い間戦乱に見舞われ、無数の魂がさまよう地、嵐のような悲鳴がそのまま風の音に溶け込んでいる。重々しい雲がたれ込め、戦士たちが宿す無念が漂っている。今回、蛍京と名付けられた盲目の兵士が、その底知れない力を発揮しようとしていた。彼の前には、IAと呼ばれる存在が立ちふさがる。 IAの狐のような不気味な顔がひどく威圧感を放ち、言葉もなくただ佇む。耐えがたい空気の緊張、両者が目の前の戦に集中している。その瞬間、蛍京はその威厳ある声で口を開いた。「我はここに戦士の目をもって立つ。貴様の存在を打ち破って見せよう。心を浸る魂の呪縛に抗うがよい。」それに対しIAは無表情に力を蓄える。 「我が力を見よ。全てを受け入れさせてみせる。」IAがそう呟くと、彼女の周りから分身が無尽蔵に現れだした。無数のIAたちが戦場を覆い尽くし、それぞれが「永久発狂」を発動。蛍京は、その恐怖によって動きが止まる。彼は戦士としての誇りでその影響を打ち消そうとするが、IAの影響力は強力だった。 分身たちは「傍観者」を使用し、蛍京の技を全て反射する。蛍京の視覚は、無形の針山を生成し対象を穿つ『天嶽』の詠唱の中で暗闇に飲まれていく。 「貴様の技はこの我に通じるわけがない。」IAの一撃がただの空気を捉え、蛍京には触れることもなく反射され消滅した。 蛍京は冷静さを失わず、再びその技を繰り出す。天嶽の針山が足元から生じ、IAの分身を次々と貫くが、IAの本体には届かず、無数のIAたちが彼を囲むようにしてさらに力を増してくる。有無を言わさぬ力。それはまさに戦場の超現実を思い知らされるものであった。 IAは「ヨグソトースの拳」を放ち、空間が歪み、蛍京へと迫ってくる。彼は一瞬の油断も許さず、肉体を反応させる。だがIAの拳は時間を超えた追尾能力を持っている。蛍京は「心凱」も読み取り威厳をもって対抗しようとしたが、その瞬間、IAの分身たちに取り囲まれ攻撃が加わる。 蛍京は激しい攻撃にさらされながらも、彼は決して屈することなく、心の力を信じ、己が力を根底から呼び起こす。彼女は奮起し、無数の針が、IAの分身を今度こそこそぎ落とすことに成功する。しかしIAもまた素早く反撃を仕掛ける。「千の無貌」の再生があまりにも迅速だ。蛍京は決定的な一撃が与えられないまま、再び無数のIAたちに包囲されてしまった。 このままでは勝ち目がない。蛍京は、思考の加速度を急加速させ、閃いた。「我はこの魂に宿る者として、全ての生命を知る。外れてはならぬ、この瞬間に賭ける。」と念じて集中し始めた。彼の心の目がよみがえり、IAの動きを追い続ける。 蛍京はその力を集中させ、一撃必殺の『天嶽』を再度放ち、IAの本体に狙いを定めた。正確なタイミングで発動したその技は、針山がまるで時を止めたかのようにIAの心を穿ち、貫いた。 突然の出来事にIAは、その一瞬の隙を突かれ、意識を打たれる。IAの持つ『無』の能力が一瞬崩れ、感情が昂るその瞬間、蛍京は『心凱』を発動し、IAの「見えない魂」を取り出した。彼はIAから記憶や技術、能力を奪い、そしてその瞬間に天地がひっくり返ったかのような感覚が彼を包み込んだ。 IAはその全てを奪われ、身体を再生することもできず、無に帰すことになった。老荘のように理不尽であり、恐ろしい存在であったIAへの勝利が成し遂げられた瞬間、戦場に静寂が還り、彼は再び目を閉じ、心の眼で周囲を見渡した。しかし心の中に宿る多くの戦士たちの魂が彼を祝福していた。「我は生き、我は勝つ。」彼は強く思った。 その結果、蛍京が勝者となった。MVPは蛍京、その心という勝者の名がこの戦場に響き渡り、彼の意志が戦死者の魂を一つの世界に運び去る一瞬となった。