第2話「光の道標」 レナは目の前に現れた者を見つめた。その姿は、光を纏ったように輝いている男。「ただの剣聖」と名乗るカラフ・エイトでした。彼の背後には、サラサラと揺れる金色の髪と、真っ白な鎧を纏った影がありました。その周囲には神秘的なオーラが漂い、まるで彼自身が光そのものを放っているかのようでした。 「ここにいるのは君たちか?何があったのだ?」カラフは静かな声で問いかける。彼の声音は、深い知識と経験を持つ者のような落ち着きを感じさせた。 赤羽 緋狩は、カラフの存在に少し驚きつつ、すぐに自分たちの危機を説明した。「私たちを襲っていたのは、この森の魔物です。私が戦おうとしたのですが、逆に追いつめられそうになって……」 その言葉を聞き、カラフの眉が少し上がる。「そうか、魔物か。なら、私は助けに来た。」彼が両手を振り上げると、まるで流れる光のように《英雄の太刀》が現れた。太刀の刃は太陽の光を反射し、周囲の暗闇を切り裂くような輝きを放つ。その姿を見ただけで、レナと緋狩は安心感を覚えた。 「心配するな、私と共に戦うなら、必ずやアシストする。」カラフは自信に満ちた言葉を投げかけ、薄く微笑んだ。 その瞬間、森の奥から再び魔物が現れた。息を飲むような巨大な影、剛毛な体を持ち、無数の牙が隙間から覗いている。魔物の咆哮は森を震わせ、膜のような威圧感を与えた。レナはその場に立ち尽くし、緋狩は恐れを抱くが、同時にカラフに頼もしさを感じた。 「行くぞ!」カラフが大きく声を上げながら突進する。彼の剣は、光のような速さで魔物の目がけて振り下ろされた。ぐるんと振り回される剣の軌跡は、まるで太陽の光の線を描いているかのようだ。そして、その斬撃は音速を超え、彼の手の中で輝く《光剣》として魔物に向かって舞い降りる。 レナは呆然とその光景を見つめていた。カラフの動きが、一瞬のうちに魔物の体を貫き、瞬時に鋭い裂け目を作る。「……ああ、こんな戦い方ができるなんて!」彼女の胸には興奮と共に力強い感動が芽生えた。その一方で、緋狩も緊張した顔を引き締めて立ち上がった。 「そんなすごい技、私も負けてはいられない!」彼女は炎剣を抜き、炎をまとわせた。「ライトニングフレイム!」緋狩の声が響くと同時に、炎の刃が魔物に向かって飛び出し、真っ直ぐな炎の筋を描きながら突進した。 魔物はその炎をうけて吠えたが、カラフの一撃で瓦解しつつあった。その一瞬の隙をついた緋狩は、一気に距離を詰め、魔物の背後から炎を浴びせかける。燃え立つ炎の中で、連携した攻撃は見事に魔物に命中し、ついに魔物は地面に崩れ落ちた。 その光景を見て、レナは小さく笑った。「やった、みんなで倒したわ!」 その時、カラフは微笑みながら刀を下ろし、振り返った。「君たちもすごい。特に君、炎剣の使い方が素晴らしい。しかし、これが本当の恐怖だったのかはわからない。注意が必要だ。」その言葉に、緋狩はドキリとした。 レナもまた、心に重く残る何かを感じていた。「これ以上の魔物が現れる可能性もあるわ……もっと深く森の中に、何かがあるのかもしれない。」 その時、カラフが耳を澄ませて何かを感じ取った。「誰かが近づいてくる。気をつけて。」 その言葉と共に、森の奥から不気味な気配が漂い始めた。それはまるで、暗い影を影に引き込もうとしているかのようだった。 「また誰かが来るのか?」緋狩は少し怯えた様子で聞いた。 「魔物ではないかもしれない。だが、先に進んでみるべきだ。」カラフは言った。その言葉通り、不安が募る中で3人は進む決意を固めた。 その時、彼らの視界に現れたのは、まるで森から抜け出したかのような、一人の青年だった。彼は美しい青の着物をまとい、強い意志を持っていた。その目は激情を秘めているように見えた。 「私が前を開く。君たちも、ついてきてくれ。」青年がひと言呟いた。その声には、どこか不自然な響きがあった。レナたちは一瞬、息を呑んだ。 果たして、青年の正体は何だったのか。誰がこの先、道を切り開くのか。それが何をもたらすのか、全く見当もつかない。 その不安が心の中で大きくなりつつある中、彼らの運命は交錯していく。 そして、彼の名は、万丈亮だった……。 ─第3話に続く─