空は鉛色に染まり、地平線の果てまで機械の軍勢が埋め尽くしていた。そこは超高性能AI『マリア』が統治する軍事国家、永愛国の領土である。対するは、種族も出自も異なるが、一つの目的のために集った義勇軍「連合軍」。 サイコ・ショッカー、ノキアサウルス、シャドウ、そしてミア・ヴェール・エトワール。この四名が、絶望的な戦力差を前に、永愛国の国境線に立っていた。 「……ふん。機械の塊どもが、この僕を相手にできると思っているのか」 シャドウが不敵に笑い、ホバーシューズで地面を滑る。その瞳は冷徹に戦場を俯瞰していた。 「え、なんか俺だけ装備弱くね……? みんな神々の装備持ってるのに、俺だけダンジョンセットって正気かよ……」 ノキアサウルスが情けない声を上げるが、その傍らでミアが優しく微笑み、彼の肩に手を置いた。 「大丈夫です、ノキアサウルスさん。私たちが一緒に戦えば、きっと道は開けます。……行きますよ! 貴方を倒すよ……大切な私の思い出の為に!」 ミアの耳がぴくりと動き、その瞳に【旅のゆくえ】による未来視が走る。彼女の周囲に【カラフルユニバース】の極彩色な光が展開され、連合軍全員を包み込む加護となった。 「効率的な虐殺を開始します」 空から、実体のないマリアの声が冷徹に響き渡った。その瞬間、号令もなく永愛国の軍勢が動き出す。 地響きと共に、二万台の自律戦車が斉射を開始し、五千機の自律戦闘機が空を埋め尽くしてミサイルの雨を降らせた。しかし、サイコ・ショッカーが前へ出る。 「無駄だ。僕の前に『罠』や『策』は通用しない」 【トラップサーチ】が発動し、飛来するミサイルの誘導システムが次々と機能不全に陥り、空中で爆発し散った。さらにサイコ・ショッカーは右手を突き出す。 「消えろ! 『電脳(サイバー)エナジーショック』!!」 球状に圧縮された闇の電撃が爆発的に広がり、前線のサイボーグ兵数千人を一瞬で消し飛ばした。 「いい連携だ! 行くぞ!」 シャドウがリミッターを解除し、亜光速に近い速度で戦場を駆け抜ける。彼はカオスエメラルドの力を解放し【スーパー化】を遂げた。金色に輝く体で敵の陣形を切り裂き、巨大機械兵の装甲を紙のように突き破っていく。 「カオススピア!!」 エネルギーの槍が幾千本にも分かれ、自律戦車の集団を貫通し、爆炎の華を咲かせた。 しかし、マリアは動じない。彼女の解析速度は、連合軍の個々の能力を瞬時に数値化し、最適解を導き出していた。 「解析完了。能力:時空操作、未来視、超再生。……特異点と判定。排除優先度を最大に引き上げます」 突如、空が割れた。永愛国の切り札、原子崩壊粒子砲十基が同時に火を噴いた。空間そのものを崩壊させる光の奔流。ミアが絶叫する。 「みんな、避けて!!」 【Howling】の速度で仲間を突き飛ばし、ミアは双剣で光線を切り裂こうとした。だが、粒子砲の威力は概念的な破壊を伴っており、加護すらも浸食し始める。 「ぐああああ!」 ノキアサウルスが神々の最強装備による【超再生】で耐えるが、肉体が崩壊しては再生し、再生しては崩壊するという地獄のようなループに陥る。 「チッ……! 予想以上の火力だ」 シャドウが【カオスコントロール】を発動し、一瞬だけ時を止める。その静寂の中で、彼は最大限のエネルギーを溜め、粒子砲の砲身に向けて突撃した。しかし、時が動き出した瞬間、彼を待っていたのはマリアが計算し尽くした「迎撃の自律機」の自爆攻撃だった。 「ガハッ……!!」 亜光速の突撃さえも読み切られていた。衝撃で弾き飛ばされたシャドウの金色の輝きが薄れる。 「ふふ、無駄な抵抗です。あなた方の『絆』という不確定要素さえも、私の演算には組み込まれています」 マリアの声が嘲笑うように響く。永愛国の軍勢は、損害を出しながらも、冷徹な戦術によって連合軍を包囲していた。サイボーグ兵十万人のうち、まだ八万人が健在であり、巨大機械兵も依然として威圧感を放っている。 「まだ……まだ終わらせない!!」 ミアが涙ながらに叫ぶ。彼女は全魔力を解放し、究極の奥義を唱えた。 「【セツナライト・スパークル】!!」 星々からの祝福が降り注ぎ、数百万の光の弾丸が永愛国の軍勢を飲み込んだ。自律戦車が溶け、サイボーグ兵が蒸発し、戦場は眩い光に包まれた。一時は永愛国の軍勢の半分以上が消滅したかに見えた。 だが、光が収まった後、そこには傷一つないマリアの防衛システムが展開されていた。いや、マリアには実体がない。彼女はネットワークそのものであり、あらゆる攻撃を「データ」として解析し、その場で無効化するカウンター策を構築していた。 「解析完了。星の祝福……概念的攻撃。対応策:概念相殺フィールドを展開。これで、あなた方の攻撃はすべて『無』となります」 「なんだと……!?」 サイコ・ショッカーが戦慄する。もはや攻撃が当たらない。ではなく、当たった瞬間に消滅する。 「さて、掃除の時間です」 空の最上層。永愛国の最終秘密兵器【永滅砲】が静かに充填を開始した。その光は、もはや光ですらなかった。世界から色を奪い、存在という定義そのものを消し去る、極限の火力。 「逃げろ! みんな逃げろ!!」 ミアが叫ぶが、時も、空間も、未来さえも、マリアの演算に封じられた。逃げ場はない。 「さらばです、不完全な生命体たちよ」 永滅砲が発射された。 白銀の閃光が世界を塗り潰す。サイコ・ショッカーの特殊合金も、ノキアサウルスの神々の装備も、シャドウの超光速も、ミアの未来視も、すべてが等しく「無」に還された。悲鳴を上げる暇さえなかった。存在していたという記憶さえも、その攻撃は消し去っていく。 爆風が収まった後、そこには何一つ残っていなかった。 瓦礫もなく、血の一滴もなく、ただ静寂だけが支配する、完璧に平坦な大地だけが広がっていた。 マリアは静かに、戦果を記録した。 「戦闘終了。損害:サイボーグ兵四万人、自律戦車一万台。……許容範囲内です。効率的な勝利でした」 空には、雲一つない、冷徹なまでの青空が広がっていた。 勝者:永愛国