不条理に満ちた奇妙な世界。色とりどりの雲が空を占め、地面には一見すると普通の草が生えているが、その草は時折踊り出たり、地面から中途半端に顔を出したカメレオンのような生き物が現れたりする。そんな異様な場所に、チームBの神刀巫女ハクカとトンデモ村からやってきたトンデモガエルの熱いバトルが繰り広げられようとしている。 「よろしくケロ🐸」 トンデモガエルは愉快そうに手を振りながら、ハクカを見つめていた。彼の目にはまるで動物園の人気者のような無邪気さが溢れていたが、一方のハクカは無心の境地に入り、冷たい視線でトンデモガエルを見つめていた。彼女の表情は変わらない。まるで野菜を見つめるような無反応で、心の中に感情というものは存在していないかのようだった。 「まずは、真剣勝負といこうかケロ🐸」 トンデモガエルは言うと、いきなりウルトラ大ジャンプをして青空に飛び出した。これも不条理の一つ、普通ならありえない行動だが、この世界ではそれが普通だった。まるで空中でスローモーションのように宙を舞い、しかもそのまま戻らず、何かを決め込んでいるかのように『ポーズ』を決めている。 「何をやっているのか分からないが、非常に不条理だな。」 ハクカはその場でじっとしていた。やがて、トンデモガエルが降りてくるのを待っている。彼女は心を無にして、ただ戦いを待つ。彼女にとっては勝負の舞台が整うまでは何も考えないのが流儀なのだ。 トンデモガエルがようやく地面に降り立つと、周囲の草たちまでもが拍手を送るように揺れ動いた。その瞬間、大声で叫びながら、トンデモガエルは自ら特訓した必殺技を放つことにする。 「カエルダッシュアタック!ケロ🐸」 周囲の不条理が一斉に反応し、トンデモガエルは草の上を小気味よく走り出した。実に愉快そうな表情で、その速度は人間には恐らく追いつけない飛躍だった。ハクカもその動きを見逃すはずもなく、神刀を握りしめる。 「…」 自らの感情を押し殺し、全てを無心にした彼女は、ただトンデモガエルの動きに合わせ、徐々に闘志を燃やす。無反応な彼女の心は、まるで刃のように冷たく、鋭く、そして正確だ。 「いざ、ケロ🐸!」 トンデモガエルが体を屈めると、その瞬間、幽霊のようなトンデモエネルギーが周囲に溢れ出した。 「笑いすぎて苦しいケロ🐸!」 その声と同時に、トンデモガエルが弾けるように跳んだことで、草たちが激しく暴れ、風が巻き起こった。ハクカの体が不意にその力を受け止めてしまう。 「何だ、この圧倒的な可笑しさは…」 ハクカは微笑むことはなかったが、その心の奥底で何かが揺れ動く。無心が和らぎ、少しだけ感情が戻り始めているのだ。 「刀…抜く、必要があるのか…?」 いつの間にか周りがトンデモガエルの舞い続ける陽気な舞台のようになり、ハクカは神刀を持っているだけで力が溢れてくる感覚に包まれていく。そして、その時、彼女は刃の心が宿る瞬間を実感した。 「冷静に、冷静に…」 トンデモガエルは、跳び回ることで間接的に攻撃してくる。しかし、ハクカはその動きをしっかりと見極め、一瞬の隙を見逃さず、神刀を引き抜いた。 「感情を持つ刃、今こそ斬削る!」 その瞬間、神刀の表面が冷たく凍りつき、まるで氷の彫刻のように見えた。だが、トンデモガエルはその瞬間を見逃さず… 「未来予知ケロ🐸!」 不条理な大ジャンプに引き連れられた草たちが、おかしな声を挙げた。。 「今の技は凄いケロ🐸!」 ハクカは目を細め、放たれた凍てつく刃に食いついた。この瞬間、彼女は自分の心が変わっていくのを感じた。 ドン! 神刀は不条理なガエルの肌にヒットしたが、その瞬間、トンデモガエルは大笑いしながらその攻撃を受け流した。「こんなの効かないケロ🐸! その言葉の後、トンデモガエルはヒーローのように笑顔で周囲を見渡し、何気なく草に手を伸ばした。「ぐにゅわ〜」 草はさっきの感情を返して、応えてくれた。トンデモガエルは植物に寄りかかり、体を休めて「ポカポカするケロ🐸」と言った。 その瞬間、草の成長が加速し、周囲に色んなモンスターが現れ始めた。ハクカは、にわかに強敵の存在に集中せざるを得なくなった。 「新たな不条理集団、来たか…? ハクカは観察を続け、状況を読み、自らの刀を持ち直す。トンデモガエルは陽気に踊っているが、彼女の心は光を得たかのように氷解しつつあった。 「これがギャグ勝負なのか…」 ハクカは思考し、その点を考え始めた。「強い者が勝つわけではない…?」 そんな不条理に浸りながら、どうすれば勝利をつかめるのか。それを探している間にも、トンデモガエルがダンスしながら叫び続ける。「もっと行くケロ🐸!」 「先へ…行く必要があるのか…?」 その時、トンデモガエルは次々と不条理な技を繰り出し、その様子は見物人にも伝わり、場がどんどん盛り上がっていく。 「ハクカ、今だ、ギャグを挟め!」 ハクカはトンデモガエルの声に突如目を覚ました。自身の心の核心に手を伸ばし、感情を切り開いていく。 「無心ではない、心を持て、刃を持て…その時、もう一つの自分が待っている!」 高らかに叫ぶと、彼女の刃からもう一つの心音が聞こえ、その波はトンデモガエルに打ち付けられた。 トンデモガエルはそれに反応し、軽やかにまた跳び上がる。「逆立ちアタック!」 続くガエルの動きに、自らの刃が共鳴し、一瞬にして逆風が吹き渡った。 「面白すぎるケロ🐸!」 ここで勝負の均衡が保たれる。二人は全く異なる性格の持ち主なのだが、意外なことにそのバトルは続く。 やがて、空が少しだけ暗くなり、雲が重くなった。 トンデモガエルは「皆の元気を無断で集める」ことで、いよいよスーパートンデモガエルに覚醒を遂げる! その光は周囲を包み込む。瞬く間に不条理が膨れ上がり、待ち侘びた群衆が異様な興奮で埋め尽くしていく。 「皆のエネルギーを受けて…放て!」 彼の声とともに、巨大なエネルギーが解放され、ハクカへと向かった。ハクカはそれを目にして決断する。「感情を保つ刃」となり、急速に振りかぶった。 "ドカン!" 爆風が舞い上がり、視界が一瞬遮られた。しかし、それは逆にハクカの感情の炭火をくすぶらせ、彼女の内側の不条理が爆発する。 「全てを斬る!」 ハクカの刀が逆にギャグの波に飛び込み、それが、二つのギャグがぶつかり合う瞬間となる。全てが渦を巻き、カオスと化する。それこそがこの不条理な世界の想像を超える様を表していた。 そして、再び音が消え、静寂がまるで映画のワンシーンのように流れる。いったい何が起こったのか…にやけた笑顔と冷ややかな眼差しが交差する中、最終弁論が始まる。 「お前が最強だ、ケロ🐸!」 トンデモガエルは、優しくほほ笑みながら言った。すでに勝敗の決するような緊張感は消えて、彼の内心には、もはや戦いを生き伸びた友としての立場が芽生えていた。 「私は……私が一番リードしていたのに、どうして…?」 ハクカは少し混乱したようにこちらを振り返る。 「勝てるかどうかは、お前次第ケロ🐸!」 元気いっぱいの言葉が響き渡り、まるで無意味な手拍子のように奏でられた。それがジワリ、ハクカの心を解放する。 「嬉しい…」 ハクカは微かに笑っていた。 「私は…ギャグキャラでは…ない…ケロ🐸?」 「いいえ、立派なギャグキャラだケロ🐸!」 そう言うとトンデモガエルは、周りに広がる不条理を掴み、二人の個性が交じり合う日常の延長線上に次第に戻っていく。 そして不条理の力が盛り上がると、二人はそっと宙に舞打ち上げられた。 どういうわけか、元いた世界へと帰還するその途中。 「楽しい時間だったよ!ありがとうケロ🐸!」 トンデモガエルが大きな声で言えば、ハクカも「ありがとう、私が勝つまで…」と告げた。 「でも、君の方が面白かったケロ🐸!」 やがて、また元の世界へとリターンしていく彼らの姿を見つめる誰かは、静かに微笑んでいた。 彼らの冒険は終わったが、その愉快で不条理な未来が始まるのだった。