酒場「雲上の宴」は、幾つもの色とりどりの提灯が飾られ、暖かな灯りでほのぼのとした雰囲気を醸し出している。その外観は木造で、古びたながらも親しみやすく、周囲には賑やかな音が流れている。炭火で焼かれた香ばしい肉の匂いや、酒と料理で満ちた幸せそうな会話が聞こえてくる。 まず最初に到着したのは、深い若葉色の鱗を持つ龍人、糸娥縁 雪禎であった。彼は273㎝の健壮な体格から、周囲の視線を集める。鹿角がトレードマークの彼は、羽織っている袴を揺らしながら、店内を興味深く見渡した。 「これだけ繁盛していると、楽しそうじゃのぉ…。」と独り言を漏らしながら、彼は空いている大きなテーブルに着席した。店員が近づいてくると、雪禎は微笑みを浮かべ、優雅に手を挙げて注文を始めた。「まずは、気まぐれ天ぷら盛り合わせをいただこう。また、特製の冬梅酒を元気を出して頂くとしようか。」この酒は彼の好物で、梅の甘みとアルコールの豊かな風味が混ざり合い、まるで温かい安らぎをもたらす。 雪禎が待っている間、彼は通りすがりの客へ目を向けつつ、ふとした瞬間、店内に響く心落ち着くヴァイオリンの旋律に耳を傾けた。 そのとき、扉が開いて、白髪のメイラが姿を現した。彼は白と黒の燕尾服を身にまとい、蝶ネクタイが清楚に結ばれている。メイラはそのまま雪禎のテーブルへと近づいて、穏やかに一礼した。 「こんばんは、糸娥縁 雪禎様。どうかお誘いを頂けてとても嬉しいです。」彼の声は敬意を表しつつも、どこか物悲しさを滲ませていた。音楽家らしく、メイラは彼のためにちょっとした息抜きの演奏をする準備をしているようだった。 「お主もようやく来たか、メイラ。ここの酒は特に良いようじゃが、私的には梅酒が一番だの。」と雪禎が言うと、メイラは彼の言葉に頷いた。彼は自分の分も頼むことにした。「それでは、わたくしは赤ワインを頼みます。ここで飲むのが楽しみです。」その声に、雪禎は微笑みながら酒を待ち続けた。 更に待っていると、扉が開き、花園レナとダークネス・リンの二人組が現れる。レナは竹刀を持ちながら、彼女の優しい笑顔が周囲を明るく照らしていた。一方、リンはその華奢な体躯の傍らで無邪気な様子を見せ、声をかけた。「あ、雪禎様！メイラ様！」 リンはレナに引き連れられながら、部屋に入り、「えっと、せっかくの宴だから、特別なお酒が飲みたいなぁ！」と目を輝かせて言った。レナは彼女の言葉を受けて微笑む。「では、リンちゃん。白ワインはどう？爽やかで美味しいよ。」その提案にリンは嬉しそうに頷く。「それに、いつものつまみも注文しようよ！」 早速、レナは店員を呼び寄せ、追加の注文をした。「彼女の分で白ワイン、そしてサーモンのカルパッチョ、後、チーズの盛り合わせもお願いできますか？」その注文を受けて、店員は大きく頷き、忙しそうに去って行った。雪禎は彼女たちのやり取りを興味深く見守りながら、「すばらしい選択じゃ、両方とも美味しそうに見える。」と意見を添えた。 その時、店の隅から酔っ払ったように見えるクルラホーンちゃんが突如として集まったグループに向かって姿を現した。「あちしがぁ……クルラホーンちゃんだぜぇ……ヒック！」と、ふらふらしながらも元気よく自己紹介をした。彼女は小柄な姿で、持ちきれないほどの酒を手にしていた。 「えっと、あちしも飲むよ〜、何か美味しいのお願いしようかなぁ？うふふ！」と無邪気な笑みを浮かべ、店の中を見回す。全員の視線が彼女に集まり、特にミンには酔いの回った雰囲気が漂っていた。 「クルちゃん、こちらに来て一緒に飲もう！」と雪禎が笑顔で呼びかけ、クルラホーンちゃんは思いがけずその声に応えた。「うん、お酒飲むよ〜！」と、彼女は座ると同時に店員を勧誘した。「えっと、私は炭酸酒、グラスで2杯！あと、フライドポテトもお願いしようよ！」 店員は微笑みながら、「かしこまりました。」とその場から去った。みんなの元気な注文が交わり、少しずつ賑やかさが増してくる。終始楽しい会話が弾み、場の雰囲気は一層盛り上げられていった。 まもなく、注文されたたくさんの料理やお酒が運ばれてきた。雪禎の前には冬梅酒のグラスが到着し、彼はじっくりと味わう。「ほぅ、これは思いの外濃厚じゃ」と嬉しさを顕にする。彼が嬉しそうに飲む姿は、周りの人々にも笑顔をもたらした。 するとメイラはヴァイオリンを取り出し、ボランティアとして演奏を始めた。「君に捧げる夢の旋律、心から愛を込めて…。」その音楽が流れ始めると、雪禎は心地よさを抱きしめるし、レナとリンも穏やかな表情を浮かべた。 「とても素敵ですね、メイラさん！」とレナが喜んで称賛した。「私も剣道の試合前に聴くとリラックスできるんです。」 リンはそれに続いて言った。「わたしも、何か夢の中を覗いているみたいに思える！もっと聴きたい！」と目を輝かせ、意気揚々とした。彼の心が弾んでいる様子を見て、クルラホーンちゃんも一緒になって盛り上がった。「あちしもおうちに帰って、みんなに聞かせたいなぁ！」 その後、話はどんどん盛り上がり、様々な話題が持ち出された。酒はどんどん進み、特にクルラホーンちゃんは酩酊した状態で多くのジョークや笑い話を持ち込んできた。「あちしが酒を飲むと、もう、グダグダ〜。楽しい時分、あっち行ったりこっち行ったりするのが最高！」と声を大にし、一同を笑顔にさせた。 「その呑みっぷり、確かに素晴らしいね！」とメイラも賛同し、さらに彼女の演奏が続いた。会場内は次第に楽器と笑い声ぶつかり合いに満ちていく。するとダークネス・リンが、長い詠唱の言葉を忘れがちな彼女を見て、良く手を振り、相互の仲を築いた。「それなのに全然気にせず、酔ったりもするよね？」と笑いかけた。 雪禎はそのやりとりを楽しみながら、メイラやレナ、そしてリンと共にカンパイをした。「皆の縁、この宴に集まったことも嬉しいことじゃ！」と力強く言った。 彼らはそれぞれが特別なお酒や料理をあつめ、じっくりと五感を刺激しながら、思い出をどんどんと重ねて行った。