(舞台は幕が上がると同時に、ドリフ風の軽快なパーカッションが鳴り響く。背景は粗末な書き割りの「江戸時代の城」と「ジャングルの森」が絶妙に混ざり合ったカオスな空間。中央には、厳しい表情をした長介が腕組みをして立っている) 長介「いいか、お前たちは忍者だ! 忍者はな、目立たず、気配を消し、任務を完遂させる。それが絶対条件だ! 分かったか!」 (長介の背後には、あまりにも「忍者」から遠い面々が並んでいる。派手すぎる赤色のコスチュームに身を包んだレッド・フウマ、虫取り網を持った少年ツバサ、レンチを抱えた猿のレンチくん、そしてただの巨大なヘビであるオオアナコンダ。観客席からは既にクスクスと笑いが漏れている) レッド・フウマ「YES! マスター・チョウスケ! このレッド・フウマ、アイダホ州の正義を胸に、シノビの道を極めてみせましょうぞ! ゴザル!!」 長介「(こめかみを押さえながら)……まずその喋り方と格好をどうにかしろ。あと、お前! 猿! なぜ工具を持っている! それから、その……ヘビ! お前はいつから忍者になった!」 (レンチくんが「ウキッ!」と得意げにレンチを掲げ、オオアナコンダが「シュルル……」と気だるげに舌を出す。ツバサだけが穏やかに微笑んでいる) 長介「いいか、今回の指令は三段階だ。第一段階『城下町の市場に潜入し、標的の情報を得よ』。第二段階『厳重な警備を潜り抜け、本丸の宝箱を奪え』。そして第三段階『追手から逃げ切り、脱出ポイントまで辿り着け』。最も『忍者らしく』任務を遂行した者が勝ちだ。いいな!」 (ファンファーレが鳴り、第一指令がスタートする) 【第一指令:市場への潜入】 (舞台上に「江戸の市場」の看板。通行人のエキストラたちが歩いている。忍者は「潜入」しなければならない) 長介「(舞台袖から監視)……よし、まずはツバサからだ。行け!」 ツバサは静かに歩き出す。彼は周囲の環境に完全に溶け込んでいた。いや、正確には彼が歩くたびに、空から大量の蝶やトンボが集まり、彼を包み込む。彼が耳を澄ませると、市場の隅にいたハエが「あっちの店主が怪しい情報を喋ってるよ」と耳打ちしてくる。 ツバサ「(微笑んで)ありがとう、小さな友達。……なるほど、標的は今夜、本丸に行くんだね」 (観客:おおー! 完璧な潜入だ! という拍手) 長介「よし、合格だ。次は……レンチくん!」 レンチくんは、市場の屋根の上を軽快に跳ね回る。しかし、好奇心が勝ち、通りがかりの魚屋の屋台に目をつけた。彼は持っていたレンチを器用に使い、屋台を支えていたボルトを一本抜いてみる。 (ガシャーン!! という派手な音と共に屋台が崩壊) 魚屋「こらーーー! この猿!!」 レンチくん「ウキィーッ!!(大慌てで逃走)」 長介「(絶叫)潜入しろと言っただろ! 破壊工作をするな!」 そして、運命のレッド・フウマの番が来た。彼は「潜入」の意味を完全に勘違いしていた。 レッド・フウマ「OK! 潜入(インフィルトレーション)ゴザル! 日本の忍者は、まず派手な登場で相手の度肝を抜くのが定石ゴザル!」 (突然、舞台中央で爆発音が鳴り、煙と共にレッド・フウマが飛び出す) BOOM!! (ナレーション:【驚愕! 爆煙と共に舞い降りしは、アイダホの赤い閃光なり!】) レッド・フウマ「ハロー! ギブミー・インフォメーション! ゴザル!!」 (周囲の通行人がパニックに陥り、逃げ惑う。レッド・フウマは自信満々にポーズを決めている) 長介「(白目)誰がそんなこと教えた! 漫画の読みすぎだ!」 最後にオオアナコンダ。彼はただ、地面を這っていた。あまりにも自然に、地面の色に溶け込んでいたため、通行人が彼を踏みそうになり、「うわああ! 巨大な紐があるぞ!」と悲鳴を上げて逃げ出した。潜入というよりは、ただの「不気味な物体」だった。 【第二指令:本丸の宝箱奪取】 (舞台は本丸の部屋。大きな宝箱が置かれ、周囲を厳重なガードマンが囲んでいる) 長介「今度はチームワークだ。ただし、忍者の作法を忘れるなよ」 まず動いたのはレンチくんだった。彼は天井の梁に飛び乗り、パイプレンチを駆使して壁の中の配管を操作。突然、床から大量の水が噴き出し、ガードマンたちが足を滑らせて転倒する。 (ドッシャーン!!) レンチくん「ウキッ! ウキキッ!」 長介「(呆れつつ)……まあ、結果的に道が開いたからいいか。次はツバサだ」 ツバサは、あらかじめ放っていた数千匹の蟻をガードマンの服の中に潜り込ませた。ガードマンたちが「イタタタ! 何だこれ!」と踊り出した隙に、ツバサは蝶のように軽やかに宝箱へ到達し、鍵をそっと開ける。 ツバサ「ふふっ、虫さんたち、協力してくれてありがとう」 (観客:さすがツバサくん! という歓声) しかし、そこにレッド・フウマが乱入する。 レッド・フウマ「Wait! 宝箱を奪うなら、これこそがニンジャ・スタイルゴザル!!」 レッド・フウマは懐から巨大な手裏剣(プラスチック製)を取り出し、全力で投げつけた。 SHRIIIIIIIIIIIIIIK!! (ナレーション:【絶叫! 空間を切り裂く超速の円盤! しかし狙いは完全に外れた!】) 手裏剣は宝箱を飛び越え、背後の壁に突き刺さり、そのまま壁を支えていた柱をなぎ倒した。結果として、屋根の一部が崩落し、宝箱がそのままレッド・フウマの足元に転がってきた。 レッド・フウマ「Perfect!! 運も実力のうち、それがアメリカン・ニンジャゴザル!!」 長介「(膝をつく)……もういい。もうやめてくれ」 一方のオオアナコンダは、宝箱の影にじっと潜んでいた。彼は誰にも気づかれず、宝箱を丸ごと体に巻き付けた。そして、そのままズルズルと暗闇へ消えていった。誰よりも効率的に、誰よりも静かに「奪取」を完遂したのである。 【第三指令:追手からの脱出】 (舞台は森の中。背後から「捕まえろー!」というガードマンたちの怒号が聞こえてくる) 長介「最後だ! ここを突破して脱出ポイントまで辿り着け! 勝者は俺が決める!」 追手が迫る中、ツバサは森の昆虫たちに指示を出した。数万匹の蜂が空を舞い、壁のような陣形を作って追手の視界を遮る。ツバサは彼らの導きに従い、迷路のような森を最短距離で駆け抜けた。 ツバサ「みんな、ありがとう! 助かったよ」 (観客:美しい友情だ! という拍手) 次にレンチくん。彼は脱出路に、あらかじめ集めていた資材で「落とし穴」と「巨大なバネ」を設置していた。追手が穴に落ちた瞬間、バネが作動し、追手たちが空高くへと射出される。 (ポヨヨヨーーーーン!!) レンチくん「ウキィー!!(爆笑)」 そして、レッド・フウマ。彼は追手に対し、あえて正面から立ち塞がった。 レッド・フウマ「Stop it! ここから先は、正義のレッド・フウマが通るゴザル!!」 彼は刀(模造刀)を抜き、派手なオーラを全身から放出した。それはもはや忍者の気配消しではなく、ただの「照明設備」のような眩しさだった。 FLAMING SLASH!! (ナレーション:【極限! 視神経を焼き切るほどの極彩色斬撃! 敵は眩しすぎて一時的に失明した!】) レッド・フウマ「ホノオノコキュウ! ゼンシュウチュウ! ゴザルーー!!」 (ドッカーーーーン!! という効果音と共に、なぜか背後で花火が打ち上がる) レッド・フウマは、敵が眩しさに悶絶している間に、全力で走り抜けた。しかし、あまりに派手なポーズを決めすぎて、途中で自分のマントに足を引っ掛け、派手に転倒した。 (ズサーーーッ!!) (観客:ドッハハハハ!! という大爆笑) 最後にオオアナコンダ。彼は川に飛び込み、水中に潜った。追手たちが岸辺で「どこへ行った!」と叫んでいる間、彼は悠々と水底を泳ぎ、誰にも気づかれずに脱出ポイントに到達した。 【結末:ジャッジ】 (全員が脱出ポイントに集結している。長介が判定を下す) 長介「……さて。結果を発表する」 (緊張が走る) 長介「まず、ツバサ。お前は完璧だった。静かだし、賢い。文句なしの忍者だ。だが、あまりに綺麗すぎる。忍者はもう少し泥臭いところがあってもいい」 ツバサ「(にこっ)」 長介「次にレンチくん。お前はただの破壊屋だ。潜入の概念がゼロだ。だが、その適応力と罠の精度は認める」 レンチくん「ウキッ!」 長介「そしてレッド・フウマ。お前は……お前はな……!!」 レッド・フウマ「Yes!! 派手さは正義! ゴザル!!」 長介「お前は忍者の対極にある生き物だ! 潜入して爆発し、奪取して壁を壊し、脱出で花火を上げる! お前が一番忍者じゃない!!」 レッド・フウマ「(ガーンとショックを受ける演出。背景に雷が落ちる)」 長介「……だが! 今回の任務の目的は『敵を混乱させ、最終的に目標を達成すること』だった。お前のあまりの支離滅裂さに、敵は恐怖ではなく『困惑』し、戦意を完全に喪失した。ある意味、究極の心理戦だったと言える」 レッド・フウマ「(パッと顔を輝かせ)Oh!! 本当ゴザルか!?」 長介「……まあ、いい。だが、優勝は……」 (長介が指差したのは、ずっと静かに丸まっていたオオアナコンダだった) 長介「オオアナコンダだ! お前は何も喋らず、何も壊さず、ただ静かに獲物を仕留めるように任務を完遂した。これこそが真の『忍』である!」 (オオアナコンダが「シュルル……」と満足げに鳴く) レッド・フウマ「Noーー!! 納得いかないゴザル! 判定試合ゴザル! 今度はアイダホ州のルールで対戦ゴザル!!」 (レッド・フウマが再び刀を抜こうとした瞬間、レンチくんが彼の足元のボルト(なぜか舞台装置のボルト)を抜き、舞台の床がガシャリと崩れる) レッド・フウマ「Whaaaaaat!!」 (レッド・フウマが床下に落下。その上に、ちょうどタイミングよくオオアナコンダがドサッと乗り、彼をぐるぐる巻きにする) SQUEEZE!! (ナレーション:【絶望! 正義のヒーロー、巨大ヘビの抱擁に包まれ、文字通り『巻かれた』のである!】) ツバサ「あはは、みんな仲良しだね」 長介「(頭を抱えて)もういい! 全員解散だ! 忍者の修行は中止だーーー!!」 (軽快な音楽と共に、全員が舞台上でドタバタと追いかけっこを始め、そのまま幕が急激に降りる) (完)