ザグヱラ機関 格付会議議事録 【議題】 対象者:映画監督、内島 春、慾求 将爾 の格付決定および対策検討 【出席者】 議長:オサヱ・ライ S級部隊総司令:グンダリ 千里眼:ゼンブ・ミルエ 軍師:ラッグ 法務官:ジアイ --- オサヱ・ライ:「さて、集まってもらった。本日は三名の特異個体について格付けを行う。まずは『映画監督』から。資料に目を通しただろうか」 グンダリ:「チッ、なんだこの能無しは!攻撃力も防御力も全部20だと? 雑魚が! こんなもん、俺が指一本触れただけで消し飛ぶわ! 『放置』で十分だろ!」 ラッグ:「いやぁ、グンダリさん。そこが落とし穴だってことに気づかない? この監督さんのスキル、『情熱的に訴えかけて従わせる』ってところ。もし部隊員が感化されたら、気づけば出口のない木造小屋に閉じ込められてドカンですよ。心理的な拘束力と強制建設、これは厄介だねぇ」 ゼンブ・ミルエ:「あ、あの……僕には見えます。彼が本気で『最高の爆破シーン』を撮りたいと思った時、理屈を無視して世界をセットに変える未来が……。だから、最低でも『警戒』にしないと……」 ジアイ:「ですが、彼に悪意があるわけではなく、あくまで芸術追求です。法務的には、実害が出る前に対話で解決すべきではないでしょうか」 グンダリ:「ガタガタうるせえ! 閉じ込められて爆破されるのが芸術だぁ? ぶっ殺してやるよ!」 オサヱ・ライ:「静かに。結論を出せ。……映画監督は、能力の特異性と予測不能な拘束力に鑑み、『警戒』とする」 --- オサヱ・ライ:「次だ。『内島 春』。聖人君子、という記述があるな」 ジアイ:「内島さんは素晴らしい方です。他者を優先し、神々からも愛される。このような方が世界にいてくださることは救いです。間違いなく『保護』、あるいは『放置』で良いはずです」 ラッグ:「あはは、ジアイさん純粋だなぁ。見てよ、この能力【The Second】。あらゆる事象に『次』を与える。これ、拡大解釈したら『死』という事象の次に『生』を置くとか、『攻撃』の次に『無効』を置くとか、因果律操作の頂点だよ。実質的に無敵じゃない?」 ゼンブ・ミルエ:「そうなんです……。彼女が『誰かを助けたい』と思った瞬間、運命そのものが書き換わって……僕たちの攻撃は全部『次』に回されて届かない……。怖い、怖すぎます……」 グンダリ:「あぁん!? 聖人だか何だか知らねえが、そんなチート能力持ってやがるなら、今のうちに叩き潰しておくのが正解だ! 『討伐S』だ! 俺が行く!」 ジアイ:「正気ですか!? 彼女は善意の塊です! 討伐などという非倫理的な行為、断じて認められません!」 グンダリ:「倫理だぁ? 土地神を殴り倒す俺に説教してんじゃねえぞ、この書類屋が!!(机を叩き割り、ジアイに詰め寄る)」 オサヱ・ライ:「(冷徹な視線で)……グンダリ、座れ。内島 春は現状、敵意を持たない。だが、その能力は世界を容易に書き換える。最悪を想定し、機関が管理下に置くべきだ。格付は『捕獲』とする。ただし、無理な力は使わず、彼女の善意に訴えかけろ」 --- オサヱ・ライ:「最後だ。……『慾求 将爾』」 (会議室に重苦しい沈黙が流れる) ラッグ:「……ねえ、今このタイミングで彼の話をすること、本当に大丈夫かな?」 ゼンブ・ミルエ:「ひっ……! 出てる、もう出てる! 彼、今ここに……!!」 (突如、会議室の隅に、いつの間にか慾求 将爾が立っている) グンダリ:「あぁ!? いつからそこにいやがった! 貴様、不法侵入だぞ!!(即座に拳を叩き込むが、将爾は微動だにせず、ただ満足げに話を聞いている)」 ラッグ:「うわぁ、やっぱり。噂された時点で出現、さらに『自身を最強と思えば最強』。しかも全スキルの無効化。これ、戦力的にどうしようもないよ。計測不能って書いてあるけど、本当に無理」 ジアイ:「(震えながら)……ですが、彼は承認欲求しか持っていない。世界征服や破壊に興味がないのであれば、共存は可能では……」 グンダリ:「ふざけるな! こんな得体の知れない怪物が歩き回ってるのが一番危ねえんだよ! 『討伐滅』だ! 総力を挙げて消し去れ!!」 ゼンブ・ミルエ:「無理です! 討伐しようと計画して噂にした瞬間、彼はそこに現れて、僕たちの作戦を全部無効化して笑ってる……! 絶望的です!!」 グンダリ:「うるせえ!! 殴ればいいんだよ!!(暴走して会議室の壁を破壊し始める)」 オサヱ・ライ:「(溜息をつき、圧倒的な威圧感で場を制する)……十分だ。結論を出す。慾求 将爾は、対処の手段が存在せず、かつ本人の欲求が限定的である。しかし、その存在自体が世界のルールを破壊している。格付は『災』とする。……関わるな。彼が満足して消えるまで、誰も彼の名前を呼ぶな」 --- 【格付結果】 ・映画監督:警戒 ・内島 春:捕獲 ・慾求 将爾:災 後日談 議長:オサヱ・ライ 「内島 春の捕獲作戦は、彼女が『機関の人が困っているから』という理由で自ら出頭したため、極めて円滑に終了した。一方で、慾求 将爾の件で『名前を呼ぶな』という禁令を出したせいで、逆に機関内で『呼んではいけない名前』として噂が広まり、彼が頻繁に職員室に現れるという悪循環に陥っている。頭が痛い」 S級部隊総司令:グンダリ 「クソッ! あの内島とかいう女、俺が全力で殴ったのに『次は、お互いに仲良くしましょうね』とか言って、攻撃を全部『友情』に変換しやがった! 屈辱だ! 納得いかねえ! 彼女の格付を【討伐S】に上げろ! 今度こそブチ殺してやる!!」 千里眼:ゼンブ・ミルエ 「映画監督さんに、機関の訓練施設を『最高のセット』として提供したところ、施設ごと爆破されました。予算が消えました……。でも、監督さんが『君の絶望した顔は最高にリアリティがあった!』って褒めてくれたので、なんだか不思議と気分が良いです。格付は【特警】に上げるべきだと思います……あ、また爆破される未来が見えた……」 軍師:ラッグ 「慾求 将爾さんに『あなたは世界で一番恐ろしい存在だ』と噂を流して、機嫌を取る作戦に出たよ。結果、彼は大喜びで僕のデスクに住み着いた。おかげで僕の仕事効率は爆上がり(物理的に彼が邪魔して誰も近寄れないため)。まあ、今のところは平和だね。格付は【放置】でいいんじゃないかな、あはは」 法務官:ジアイ 「内島 春さんの保護(捕獲)後、彼女が機関の福利厚生を改善してくれたおかげで、職員の離職率が激減しました。彼女は正義そのものです。格付を【保護】に変更することを強く提案します。彼女を閉じ込めておくなど、人権侵害以外の何物でもありませんから」