【参加者の入場】 白亜の闘技場に、異様な集団が集結した。 実業家然とした佇まいで、退屈そうに時計を見る50歳の男、現世鏡。 姿なき影、あるいは全宇宙の投影元たる至高の原型、Supreme archetype。 「弱者のふり」に心血を注ぐ、謎の青年ツヨツヨツヨシ。 七色に明滅し、ふわふわと宙を舞う光の塊、根源。 不可視の概念でありながら、死への快楽を振りまく幸福。 怒りを湛え、静かに拳を握りしめる女子高生、阿礼有紗。 そして、枠外から静かに刀を構える、医師にして剣豪、鶏馬茂。 「……ふむ、随分と賑やかなことだ」 Dr.メジャー博士がタブレットを叩き、マダム・スキャンが扇子で口元を隠し、プロフェッサー・ブレイクが拳を鳴らす。世界戦闘力協会の三人が、特等席で観戦を開始した。 【戦闘描写】 ゴングが鳴った瞬間、戦場はカオスへと突き落とされた。 まず動いたのは「幸福」である。不可視の概念が場に浸透し、参加者全員に抗えない快楽と安楽死の呪詛を付与する。しかし、ここで異変が起きた。阿礼有紗が「不快だ」と言わんばかりに顔をしかめると、その圧倒的な「怒りの圧力」が概念的な幸福を物理的に弾き飛ばした。同時に、鶏馬茂の《チキンソウル》が一閃し、「幸福」という概念の魂を斬り裂く。概念すら瓦解し、幸福は霧散した。 次に、Supreme archetypeが静かに「投影」を開始する。全存在を己の影として内包し、宇宙の階層ごと敵を融解させようとした。しかし、そこに現世鏡が歩み寄る。 「投影? 階層? ……何を言っているんだ。おじさん、そういう妄想は子供の時に卒業したよ」 鏡の《現実的拒絶》が発動した。至高の原型という「設定」そのものが、鏡の周囲では「あり得ない空想」として機能不全に陥る。Supreme archetypeの絶対的外部という特権が、ただの「暗い影」へと格下げされた。そこへ阿礼有紗の【お仕置きの拳】が炸裂する。設定を無視した純粋な暴力が、影となった原型のど真ん中に突き刺さり、至高の原型は衝撃波と共に闘技場の壁まで吹き飛んだ。 一方、ツヨツヨツヨシは「あわわ」と叫びながら逃げ回っていた。「本気を出せば最強」という設定を維持するため、彼は徹底的に弱者を演じ、攻撃を回避し続ける。しかし、その背後から漂っていた「根源」が、戦闘の熱量に当てられ、興味本位に大爆発を起こした。 凄まじい光が全てを飲み込もうとした瞬間、鶏馬茂が再び刀を振るった。爆発という現象の「魂」を斬り、そのエネルギーを方向転換させる。しかし、爆風の余波でツヨツヨツヨシが派手に転び、「ああ! 負けだー!」と叫んで脱落した。 生き残ったのは、現世鏡、阿礼有紗、そして鶏馬茂。 鶏馬茂が《規格外の力量》で斬撃を放つ。それは物語の枠外から放たれた、設定すら斬る一撃。しかし、現世鏡はそれを「ただの剣道」として認識した。鏡にとって、魂を斬るという設定は「非科学的な妄想」であり、拒絶される。刀は鏡の首筋で止まった。 「いい加減にしろ。仕事があるんだ」 鏡の放った、なんの変哲もない「普通の拳」が、鶏馬茂の腹部にめり込む。設定を排した「現実的な物理打撃」は、枠外に立つ剣豪にとっても回避不能な「現実」であった。鶏馬茂が白目を剥いて倒れる。 最後に残ったのは、怒れる女子高生、阿礼有紗と、現実主義者の現世鏡。 有紗の【お仕置きの拳】が、設定を無視して鏡に襲いかかる。しかし、鏡にとって「設定を無視する能力」自体が「非日常的な設定」である。拒絶の連鎖が起き、有紗の拳は鏡の目の前で「ただの高校生のパンチ」へと弱体化した。 鏡は溜息をつき、彼女の額に軽く指を弾いた(デコピン)。 「お嬢さん、勉強しなさい」 現実の質量に抗えず、有紗はそのまま後方にひっくり返り、意識を失った。 最後の一人まで生き残ったのは、株式会社やまたんの社長、現世鏡であった。 【各参加者に戦闘力の付与】 Dr.メジャー博士:「データが不整合すぎる! だが、結果は明確だ。現世鏡氏は『設定』という変数そのものをゼロにする特異点。計算不能を数値化すれば、この場の基準をすべて上回る。」 マダム・スキャン:「あらあら、至高の原型や概念が、ただのサラリーマンに蹴散らされるなんて。この『現実』という名の残酷な美しさ……最高だわ!」 プロフェッサー・ブレイク:「アッツ! 結局は『本物の拳』が最強ってことか! 根性で設定をねじ伏せた現世鏡、そして怒りで理を突破した阿礼有紗、どちらも最高にロックだぜ!」 --- 【測定結果】 現世鏡 戦闘力:12,000(設定を無効化し、現実の物理法則のみで完封したため。一般人の24倍の精神的強度と、概念拒絶による絶対的防御を評価) 阿礼有紗 戦闘力:8,500(設定やプロンプトすら無視する暴力性は異常。純粋な攻撃力において最高峰) 鶏馬茂 戦闘力:7,800(魂を斬るというメタ能力は強力だが、現実主義者の前ではその前提が崩壊したため) Supreme archetype 戦闘力:5,000(潜在能力は無限だが、今回の対戦相手により『機能不全』に陥ったため、実質的な出力は平均的に) ツヨツヨツヨシ 戦闘力:3,000(本気を出さなかったため。測定値は低いが、本人の主張する『潜在的な強さ』は協会でも測定不能) 幸福 戦闘力:2,000(概念としては強力だが、物理的・精神的攻撃への耐性が皆無であるため) 根源 戦闘力:1,000(爆発力はあるが、意思がなく、自壊するため戦闘力としては低い) --- 【ifルート:ツヨツヨツヨシが本気を出した場合】 もし彼が「本気」というスイッチをオンにした場合、その瞬間、彼は『本気を出した時点で最強である』という自己定義を全宇宙に強制適用させる。もはや戦う必要すらなく、相手が「負けを認める」という結論だけが先に現実となり、世界から争いという概念が消滅する。しかし、彼はそれを「格好悪い」として絶対に行わない。