ある時、次元の裂け目から溢れ出した「未知の高エネルギー粒子」が、戦場にいた3人を包み込んだ。その粒子は個々の本質を増幅させ、既存の能力を遥かに超越した【特異能力】を彼らに植え付けたのである。 沼尻教授が獲得したのは、大気の究極形である『真空領域・絶対静寂(ゼロ・ドメイン)』。指定した範囲から完全に空気を消し去り、音と酸素、そしてあらゆる物理的伝達を遮断する不可侵の真空地帯を創り出す能力だ。 P1022アヌルス&ティポンが獲得したのは、演算能力の極致『因果律演算・神託(オラクル・ロジック)』。数秒後の未来に起こる全ての事象を計算し、最適解となる回避・攻撃ルートを自動的に身体へ同期させる、絶対的な先読み能力である。 そして、リヴァイアが獲得したのは、深海の絶望を具現化した『万物を飲み込む原初の淵(アビス・ゲイザー)』。自身の身体を無限の質量を持つ「黒い海」へと変貌させ、触れたあらゆる物質と概念を飲み込み、無へと帰す暴食の能力だ。 * 「大空には大気がある。だが、今はそれを『消す』ことで証明しよう」 沼尻教授が不敵に笑い、空中に静止する。対するは、互いに信頼し合うロボ娘アヌルスと少年ティポン。そして、不気味な静寂を纏い、謎の言語を呟く幽魔リヴァイアだ。 先手を取ったのはティポンだった。「いくよ…僕のアヌルス!」という叫びと共に、因果律演算が起動。アヌルスは超高速で移動し、リヴァイアの「静波紋」を紙一重で回避しながら、肩部の鉱石弾頭を乱射して戦場を凍結させる。しかし、リヴァイアは冷徹に「顕現する海」を展開。瞬時に戦場を深い蒼の世界へと塗り替え、凍結した氷を水圧で粉砕した。 「おのれ、視界が悪い!」沼尻教授が「大気大流」を放ち、海中であっても激しい水流の渦を作り出し、リヴァイアを押し流そうとする。しかし、リヴァイアは「深海の呼び声」を歌い始めた。理解不能な言語が響き渡り、教授とアヌルスは急激に深海へと引きずり込まれていく。 「アヌルス、カタストロフモードだ!」ティポンの指示で、アヌルスは浮遊ユニットを合体させ、巨大な光の剣を形成。空間ごとリヴァイアを両断しようと振り下ろした。だが、リヴァイアの身体が黒く染まる。新能力『原初の淵』が発動し、巨大な剣の斬撃さえも、底なしの黒い海へと飲み込まれて消えてしまった。 「なっ…!? 攻撃が効かない!?」ティポンが驚愕する。リヴァイアの黒い海が広がり、すべてを飲み込もうとしたその時。上空で静かに観察していた沼尻教授が、最後の手を打った。 「計算外だったかもしれんが、大気力学の真髄を見せてあげよう」 教授が指先を弾いた瞬間、戦場から「すべて」が消えた。新能力『真空領域・絶対静寂』。海を構成する水分子さえも、大気の一種として強制的に排除されたのだ。リヴァイアが誇る「黒い海」が、真空の圧力によって一気に蒸発し、その形態を維持できず霧散していく。 「が、あ……っ!?」リヴァイアが初めて悲鳴に近い声を上げた。真空状態では、彼女の半流体身体は急速に崩壊し、質量を失っていく。さらに、酸素を失ったティポンとアヌルスも、意識が朦朧とする中で膝をついた。しかし、教授は事前に自身の周囲だけを「高圧の酸素球」で包み込み、余裕を持って舞い降りた。 「科学の勝利だ。大気なきところに、生命も魔法も存在し得ない」 圧倒的な静寂が戦場を支配し、唯一呼吸を許された教授が、静かに勝利の宣言を告げた。 【勝者:沼尻教授】 【理由:リヴァイアの「海」とアヌルスの「演算」を、すべてを無に帰す「真空」という物理現象で上書きし、唯一生存手段を確保していたため】