静寂が支配する戦争の跡地、かつて無数の兵士たちが命を賭けたその場所には、今もなお淡い霊の痕跡が漂っていた。薄曇りの空から降る冷たい風の中、乾いた土の上には多くの兵士たちの魂がうごめいている。戦の後、何人かは救われることなく取り残され、心の奥底で戦い続けていた。 その中でひときわ異彩を放つ存在が、心の目を持つ盲目の兵士、蛍京である。彼の存在がこの地に漂う死者たちを一つの意志に引き寄せ、集結させていた。蛍京は、慎ましやかな威厳を漂わせる狐顔の姿で、怒りと悲しみの色をまといながら、視界のないままに戦う者たちに挑む者を気にしていた。彼が今、対峙するのは、8代目女王エイラである。 エイラはその周囲に氷の騎士を召喚した。彼女の強大な魔法に引き寄せられるように現れた青白い騎士たちは、横一列に並び、忠実に彼女の命令を待っていた。彼女の氷の力は、冷気を放ちながら戦場を凍りつかせ、もはや誰一人として近づく者はなかった。 「我の目は、全てを見通す。」蛍京が言い放ち、無表情な彼の言葉が静寂を破る。彼は、エイラが放つ氷の魔法がこちらを狙っていることを感じ取っていた。 エイラが両手を高く上げ、氷の玉が次々と生成される。「氷の魔法・連弾!」氷の玉が5つ、蛍京に向かって発射される。しかし、彼は動くことなくその場に立ち尽くす。全てを見通す彼の目には、この攻撃が無意味であることが分かっていた。 玉はすり抜け、自らの前を通過する。「この程度では……我には当たらん。」彼は音もなくそれを逆に操り、氷の玉の弾かれた道筋が複雑に絡まり、エイラへ向かって反射した。だが、彼女は瞬時にそれを回避し、瞬時に新たな攻撃を仕掛けようとしていた。 「スパイン!」エイラの声が響き渡ると、氷のトゲが地面から突き出して蛍京の足元を穿つ。しかし、蛍京はその動きに驚くことなく、宙を舞うようにして回避した。彼の目は、既に次の攻撃を見越していた。 「心凱!」蛍京は特有の技を放ち、エイラの魂を召喚する。しかし、エイラは霊的な攻撃系の技に耐性を持っているため、蛍京の力が綻ぶことはなかった。 「ふふ、無意味だ。貴様の魂が我に引き寄せられることはない。」エイラは得意げに笑い、次の手を打とうとする。彼女は再び攻撃に移ろうとし、周囲に存在する無数の氷の分身を使い、混乱の中から彼に迫る。 「氷の煌めき!」エイラが指を差し出すと、氷の粉が弾け、粉塵爆発が広がる。だが、蛍京の目はただ優雅に反応し、無数の影が掻き消え、残るは深く冷たい空間。彼の身体を通り抜けた瞬間、エイラは自身の氷の分身を展開し、再び攻めかかける。 だが、蛍京の忍耐も消え去らず、彼は新たな力を開放する。「我が名は蛍京!全てを見通す者!真の戦士たちの魂を浄化させて見せよう。」 その言葉と共に、彼は再び『心凱』を繰り出し、エイラの技術を奪おうとする。しかし彼女はそれをすぐさま打ち消し、迅速に気を取り直し、鎧を纏える限りの氷を結晶させ、自身を守る。 「この氷の鎧で囲まれれば、貴様の攻撃は意味を成さぬ。」エイラは冷笑を浮かべ、地面を踏みしめる。だが、その瞬間、蛍京の冷静さが少女の目を引き、その動揺を見逃さなかった。 小外の細かな霊が、その瞬間に彼の周囲に集まり、彼の力を高める。そうして、天心の技を発動させ、彼は彼女の奪った魔法を逆に吸収することに成功した。破滅的であるはずの状況を脆く砕き、彼はエイラの抵抗を無にして反撃を開始する。 「貴方の冷たさも、無情さも、全てを永遠に消し去る!」 彼の声はただの響きでなく、戦士たちの魂が乗り移ったかのように、復讐心を背負った響きで周りに響いた。蛍京の特有技が氷の騎士を次々と打ち、彼女の力を封じていく。エイラの誇り高い顔には恐怖の色が溢れた。 やがて、エイラは力尽き、彼女の魔法は崩れ、戦場の氷も溶け落ち始める。彼女の存在が、次第に薄れていくのが感じられる。まるで永遠の静寂に飲まれるように、彼女の力は消えていった。 勝者は蛍京。彼の冷静さと戦士たちの魂が結束した力がここに勝利をもたらしたのだ。勝者として彼は誇り高く立っていたが、その目は、無惨な死者の魂を今までのように見つめることが困難だったことが伺えた。それこそが、彼の真の戦士たる証でもあった。 「MVPは蛍京に決定した。彼こそ、戦の後に残された魂を浄化する者。」