深夜の静寂に包まれた、古色蒼然たる巨大な屋敷。そこは迷宮のように入り組んでおり、空気には埃と、正体不明の死の香りが混じり合っていた。 集まったのは、凸凹すぎる四人の男女。介護職員でありながら得体の知れない力を秘めたトウカ、迷彩服に身を包んだ黒狼の特殊工作員オククル、そして軍事学園シュラハトからやってきた風紀委員長のリーキュと、その問題児である副委員長のティシー。彼らの目的はただ一つ。屋敷に眠るお宝を最低15,000ゴールド分集め、生きて脱出することだ。 「……静かですね。ですが、この静寂は不自然です。皆さん、警戒を」 リーキュが超重量級狙撃銃『VALHIS-4』を構え、冷徹な瞳で廊下を見渡す。 「だーいじょうぶだよー! ボクがサクッと宝を回収して、美味しいケーキでも食べに行こうよ〜」 ティシーが短機関銃『HIMS-3』を肩に担ぎ、けだるげに欠伸をした。 「いいから黙ってついてこい。気配を消して進むぞ」 オククルが四足歩行に切り替え、低く鋭い声で指示を出す。彼はすでに光学迷彩を展開し、背景に溶け込んでいた。 「ふふっ、いいですねぇ。お宝集めなんて、まるでレクリエーションみたいでワクワクします」 トウカがにこやかに微笑む。しかし、その手にある幾何学模様のバットは、不気味に赤く脈動していた。 第一章:見えない罠と潜伏する影 一行は慎重に一階の回廊を進んだ。壁には金縁の額縁に入った絵画が並び、時折、価値の低そうな銀の食器などが転がっている。彼らは小まめにそれらを回収し、合計で約3,000ゴールド分を確保した。 「あ、あそこに何か光るものが!」 ティシーが好奇心に任せて前方に走った。その瞬間、オククルが鋭く叫ぶ。 「待て! 止まれ!!」 だが遅かった。ティシーが踏み出したのは、床ではなく、床に擬態していた怪物――『セヴ』であった。 「え……?」 ガチッ、という不快な音が響いた瞬間、ティシーの足元の床が巨大な口のように開き、彼女を飲み込んだ。悲鳴を上げる間もなかった。ティシーはそのまま深い闇へと落とされ、意識を失って気絶した。 「ティシー!!」 リーキュが銃を構えるが、セヴはすでに元のただの床に戻っていた。攻撃する対象すら存在しない。 「チッ……不覚だ。一人脱落か。だが、止まってはいられない。この屋敷の『ルール』が分かった。物理的な攻撃が効かない罠がある。慎重に行くぞ」 オククルの表情が険しくなる。 第二章:執拗なる追跡者 二階へ上がった一行は、豪華な装飾が施された書斎に辿り着いた。そこで彼らは、テーブルの上に鎮座する眩いばかりの黄金のナッツを発見する。 「あれです! 『金のナッツ』! これさえあれば一気に目標額に届きますね」 トウカが目を輝かせ、ナッツを回収した。価値は12,000ゴールド。これで合計15,000ゴールドに到達し、脱出条件を満たしたことになる。 しかし、歓喜の声が上がった直後、背後の廊下から「カチ、カチ」と、小さく硬い音が聞こえてきた。 「……誰か来ます。小さい足音です」 リーキュが銃口を向ける。そこに見えたのは、白いワンピースを着た、継ぎ接ぎだらけの人形少女『ルナ』だった。彼女は無表情に、しかし獲物を定めるようにナイフを握りしめていた。 「うわ、 creepy(気味悪い)! 追い払っていいよね?」 トウカがバットを振り下ろす。しかし、ルナは人間離れした速度でそれを回避し、鋭いナイフでトウカの頬をかすめた。 「っ! 速い……!?」 ルナの瞳が、不気味に赤く光った。彼女はターゲットを定めた。その視線は、真っ直ぐにトウカに向けられている。ルナは喋らない。ただ、低く唸るような呼吸音を上げながら、猛烈な勢いでトウカに襲いかかった。 「逃げて! トウカさん!」 リーキュがVALHIS-4を斉射する。轟音が屋敷に響き渡り、壁が粉砕される。しかし、ルナは瓦礫を跳ね除け、弾丸を紙一重で避けながら突き進んでくる。攻撃は当たっても無効化されるか、あるいは回避されるだけだ。 第三章:絶望の連鎖 「ひゃああああ! なんで私だけ追いかけてくるのよこの人形!!」 トウカは丁寧な口調をかなぐり捨て、全力で廊下を駆け抜けた。背後からはルナが、機械的な正確さで距離を詰めてくる。 さらに追い打ちをかけるように、曲がり角から巨大な鎌を持った死神『サジー』が姿を現した。 「げぇっ! また敵だ!」 オククルが光学迷彩を解き、レシーライフルをぶっ放すが、弾丸はサジーの体を透過し、背後の壁にめり込むだけだった。 「足は遅い! トウカさん、そのまま突き抜けろ!」 オククルの指示通り、トウカは死神の脇を全力で駆け抜けた。しかし、運命は残酷だった。 廊下の突き当たり、脱出へと続く階段の前に、水晶を掲げた不気味な男『ペルト』が立っていた。 「あーもう! どいてくださいよ!!」 トウカが激昂し、バットをフルスイングしてペルトに叩きつけようとした。だが、ペルトは静かに水晶を掲げた。 キィィィィン!! 耳をつんざく高周波と共に、紫色の鎖のような呪縛がトウカの体を拘束した。身動きひとつできない。そして、その呪いは連鎖するように、サポートに回っていたオククルとリーキュの足元にも広がった。 「拘束……!? 身体が、動か……」 リーキュの言葉が途切れる。ペルトの呪いは絶対的だった。 そして、逃げ場を失った彼らの背後から、執念深く追い続けてきたルナが、ゆっくりとナイフを振り上げた。 「あ……」 トウカが絶望に目を見開いた瞬間、ルナのナイフが鋭く閃いた。同時に、拘束されていた三人の意識は、呪いのショックとルナの一撃によって、同時に深い闇へと突き落とされた。 エピローグ:静寂への回帰 屋敷に再び、静寂が訪れた。 床には気絶した四人の男女が転がっている。彼らが必死に集めたお宝――金色のナッツを含む財宝たちは、主を失い、冷たい床の上に散らばっていた。 ルナは満足そうにナイフをしまい、サジーはゆっくりと闇へと消えていく。ペルトは水晶を静かに下ろし、再び屋敷の番人へと戻った。 脱出成功者は、一人もいなかった。 後日、彼らは屋敷の外部から救出されたが、集めたはずの財宝はすべて屋敷に没収されていたという。トウカは目覚めた後、「あんな人形、今度こそ革命の光で消し飛ばしてやる」と激怒していたが、隣でリーキュに「校則違反です」と静かに諭されていた。 * 【ゲーム結果】 ■脱出成功者:なし ■脱出失敗者:トウカ、オククル、リーキュ、ティシー ■集めたお宝総額:15,000ゴールド(回収したが脱出できずため、全喪失)