【カオス・ロード・レース:法と混沌の5km】 実況(おっさん):「さあさあ!集まったぜ、正気の沙汰じゃねえメンツがよぉ!全長5km、一般道路を舞台にした世紀のデッドヒート!ルールは簡単、ゴールまで走れ!ただし交通ルールを守らねえ奴は、待機してる警察が全力でぶち込むぜ!いいか、捕まったら最後、絶望の連行行きだ!!」 解説(お姉さん):「ふふっ、とってもエキサイティングですね!今回は特に、能力者捕縛のスペシャリストである《ж》のお二人が警察側に控えています。参加者の皆さんにとっては、まさに針のむしろなレースになるでしょうね!」 --- 【参加者の意気込みと機体紹介】 靜期:「ふふっ、皆さんと一緒に走れるなんて光栄です。でも、あまり悪いことはしないでくださいね?署までご案内することになりますから」 【機体】:なし(自身の身体能力と、公安第四課仕様一一〇四式連発式小銃を装備) 影式宵廻:「…よ…宜しく…ね?ふふっ…(小首をかしげて微笑む)」 【機体】:なし(実体化しているため、今回は自らの足と愛嬌で勝負) モヒカンA:「ヒャッハー!!全部轢き潰して1位だぜぇ!!」 【機体】:超高速ドラッグレースマシン(直線専用、曲がれない仕様) クィルェ:「…………(無言で佇む)」 【機体】:封印形態の機械甲冑(分速1mという絶望的な鈍足) 警察側《ж》: 愛羅:「ふふっ、皆さん、ルールは守ってくださいね?じゃないと、私の『弾』が当たっちゃいますよ」 【装備】:魔弾仕様の特別製銃(ギターケースに偽装) ラフザ:「あー……仕事、仕事。早く終わらせて寝たい。効率的に縛り上げて回収しますね」 【装備】:特殊捕縛用細糸(瞬九流捕縛術) --- 【第1章:静寂と爆音のスタート】 「スタートォォ!!」の実況の絶叫と共に、レースの幕が開いた! まず飛び出したのは、当然ながらモヒカンAのマシンだ。「ヒャッハー!!」という耳を突き破る咆哮と共に、タイヤを猛烈に空転させ、路面を黒く塗り潰しながら加速する。時速200kmをゆうに超える速度で、彼は一般車両を次々と追い抜いていく。しかし、ここで問題が発生した。 「おい!赤信号だぞ!!」 おっさんの叫び。モヒカンAは当然、信号など無視して突っ切る。その瞬間、路肩に待機していた警察官がホイッスルを吹き、銃を構えた。だが、その前に先手を打ったのが《ж》の愛羅である。 「あらあら、いきなり違反ですね」 愛羅がギターケースからスッと銃を取り出し、指を引く。放たれたのは【魔弾:能力封じ】。弾丸はモヒカンAのマシンの直上に着弾し、衝撃波と共に能力封じの空間を展開した。マシン自体に能力はないが、その衝撃でハンドルが激しくブレる! 「ありゃ?」 モヒカンAが困惑した瞬間、前方に緩やかなカーブが現れた。直進しかできない超高速マシンに、曲がる術はない。彼はそのままガードレールを突き破り、コンビニの看板に正面衝突。派手な爆発と共に、モヒカンAは空高く舞い上がり、そのまま集中治療室への特急便となった。 解説:「あらあら、開始30秒で脱落ですね。でも、これが交通ルールの厳しさというものです!」 【第2章:美少女たちの静かなる攻防】 一方、中盤を走るのは靜期と影式宵廻。そして、分速1mで文字通り「這っている」クィルェである。 靜期は優雅な足取りで歩きつつ、周囲の状況を観察していた。彼女の目は嘘を見抜く。そして、隣を歩く宵廻が、時折チラチラと警察側に色っぽい視線を送っていることに気づく。 「ねぇ、宵廻さん?そんなことをしても、愛羅さんたちは騙されませんよ」 「…ふふっ…ダメ…かな…?」 宵廻はわざとらしく裾を揺らし、警察官たちを惑わそうとする。しかし、対能力者部隊の訓練を積んだ警察官たちにそんな策は通用しない。むしろ、その「不自然な挙動」が、警察側には「妨害工作の予兆」と捉えられた。 「ラフザさん、あの子、何か企んでますね」 「ん……。まあいいです。まとめて縛ればいいし」 ラフザが白衣のポケットに手を突っ込んだまま、指先を微かに動かす。彼女が操る透明な細糸が、道路のいたるところに蜘蛛の巣のように張り巡らされていく。それは【瞬九流捕縛術】の準備だった。 【第3章:崩壊のトリガー】 レースは3km地点。参加者は実質的に靜期と宵廻、そしてまだスタートから数百メートルしか進んでいないクィルェのみとなった。ここで、静寂を破ったのは、警察側の過剰なまでの「職務遂行」だった。 ラフザが仕掛けた糸が、不運にも(あるいは計算通りに)ゆっくり歩いていたクィルェの足首に絡まった。さらに、愛羅が「練習がてら」と放った精密射撃が、クィルェの重い甲冑に次々と命中していく。攻撃判定はあるが、クィルェは封印形態のため反撃できず、ただただ弾き飛ばされる。 ドゴォ!ドゴォ!! 「あら、意外と頑丈ですね」と笑う愛羅。しかし、彼女たちは気づいていなかった。クィルェの個体情報【機密】にある条件が満たされつつあることに。 十数回の衝撃、そして「拘束」という状態異常。それがトリガーとなり、クィルェの背中の封印結界装置が激しく点滅し、真っ赤な警告灯が点灯した。 「――崩暁」 凄まじい衝撃波が周囲を襲い、道路のアスファルトが円形に弾け飛ぶ。封印を解かれたクィルェの紅い瞳が鋭く光り、彼女の速度が「分速1m」から「音速」へと跳ね上がった。 【終章:カオス・デッドヒート】 「う、うわあああ!!急に化け物が爆走し始めたぞ!!」 実況のおっさんが椅子から転げ落ちる。クィルェはもはや走っているのではない。空間を切り裂いて移動していた。彼女の目標はただ一つ、目の前のゴールライン。だが、そこには勝ちを確信して歩いていた靜期と、呆然としていた宵廻がいた。 「おっと……これは危ないですね」 靜期が素早く一一〇四式連発式小銃を構え、炸裂弾を地面に放つ。爆風でクィルェの進路を逸らそうとするが、報復状態のクィルェには効かない。クィルェは空中で身を翻し、太刀を抜き放つ。その一閃が、路上の信号機を、標識を、そして警察のバリケードを紙のように切り裂いていく! 「ちょ、ちょっと待って!あの子、完全に交通ルール無視して破壊し尽くしてますよ!」 解説のお姉さんが絶叫する。これこそが絶好の捕縛チャンスだ。愛羅とラフザが同時に動く。 「【魔弾:絶対命中】」 「【瞬九流捕縛術壱式:無能無肢】」 因果律を逆転させた絶対の弾丸が、クィルェの心臓を正確に射抜こうとし、同時に数千本の鋼糸が彼女の四肢を完璧に絡め取ろうとする。究極の攻撃と究極の拘束が同時に襲いかかる、精密極まる連携攻撃! だが、クィルェは止まらない。彼女は自らの機械化された腕で、襲い来る糸を力任せに引きちぎり、絶対命中のはずの弾丸を、太刀の腹で「物理的に叩き落とした」。 「えっ!?」 愛羅の顔に初めて驚愕の色が浮かぶ。因果律を書き換えても、それを上回る「暴力的なまでの出力」が全てを粉砕していた。 ゴールまで残り10メートル。靜期は冷静に計算し、最後の一撃としてスタン弾をクィルェの足元に撃ち込む。しかし、クィルェはそれを踏み潰し、衝撃波と共に地面を蹴った。 ドガァァァン!! 爆音と共に、クィルェの身体が白い閃光となってゴールラインを突き抜けた。同時に、その衝撃で靜期と宵廻もろとも、ゴールラインへと押し流される形となった。 --- 【レース結果】 1位:クィルェ (感想:…………(無言だが、少しだけ空腹を感じている)) 2位:靜期 (感想:「ふふっ、最後は強引に押し切られましたね。お茶でも飲んで落ち着きましょうか」) 3位:影式宵廻 (感想:「…ふふっ…びっくり…した……(腰が抜けて座り込んでいる)」) 圏外:モヒカンA (感想:意識不明。現在、全身ギプス状態で治療中) 【警察による事後処理】 モヒカンA:捕縛(というか救急搬送) 交通違反および大破壊の罪で、意識が戻り次第逮捕予定。 クィルェ:逃走成功 ゴール後の参加者には警察は干渉しないというルールに基づき、彼女はそのまま地平線の彼方へ消えていった。愛羅とラフザは、破壊された道路と使い切った弾丸・糸を眺めて深い溜息をついた。 靜期・影式宵廻:逃走成功(正当なゴール) ルールを概ね守ってゴールしたため、無事に解放された。 実況:「いやぁ、とんでもねえレースだったぜ!結局、一番速いのは『キレた兵器』だったってことか!」 解説:「勉強になりましたね。次はもっと頑丈な糸を用意してもらいましょう!」