宇宙の深淵、虚無の空間に浮かぶ巨大な岩盤の上。そこには、銀河の運命を左右する三つの絶大な力が集結していた。 「ふふふ、お久しぶりですね。悟空さん、ベジータさん。そして……野生児のブロリーさん。わざわざ私のために集まってくださるとは、光栄の至りです」 黄金のオーラを纏い、不敵な笑みを浮かべるのは、かつての帝王フリーザ。彼は10年という歳月を、ただひたすらに「強くなること」だけに捧げた。その眼光は冷徹でありながら、底知れない自信に満ち溢れている。 「待たせたなフリーザ! おめぇがまた強くなったって聞いて、ワクワクして止まらなかったぞ!」 悟空が快活に笑い、拳を合わせる。その隣では、腕を組み、不機嫌そうに鼻を鳴らすベジータがいた。 「ふん、カカロット。貴様の能天気な面を見ているだけで反吐が出る。おい、フリーザ! 貴様のその余裕、いつまで持つか試してやろう。私の誇りは、貴様のような底辺の宇宙人に屈することなど断じて許さない!」 そして、少し離れた場所に立つ巨躯の男、ブロリー。彼は困惑したように周囲を見回していた。戦いという暴力的な衝動に身を任せつつも、その心には穏やかな静寂が宿っている。 「……俺は、争いたくはない。だが……体が、熱い。戦わなければならないと感じている……」 静寂が破られた。先制したのはフリーザだった。指先から放たれた不可視の衝撃波が、音速を超えて悟空へと突き刺さる。 「おっと!」 悟空は間一髪で回避するが、その背後の岩盤は一瞬で消滅した。激しい気功波が飛び交い、宇宙の空間そのものがひび割れるほどの衝撃が走る。悟空とベジータはスーパーサイヤ人から始まり、ブルーへと形態を上げ、激しく交錯した。 「ハハハ! いいですね、この感覚! ですが、今のあなたたちでは私の足元にも及びませんよ!」 フリーザが空中で回転し、トリッキーな動きでベジータの攻撃をかわすと、至近距離から強烈な蹴りを叩き込む。ベジータはそれを腕で受け止めるが、その衝撃に大地が陥没した。 「なっ……! このパワー、以前のゴールデンとは次元が違うぞ!」 「お気づきですか。私は『ブラック』という到達点に辿り着いたのです」 フリーザの身体が漆黒に染まる。ブラックフリーザの降臨。その圧力だけで、周囲の重力が数万倍に跳ね上がった。悟空も、ベジータも、そしてブロリーも、同時に戦慄した。圧倒的な絶望感。だが、それはサイヤ人にとって最高のスパイスであった。 「くっ……! まだだ! まだ終わらんぞ!」 ベジータが叫ぶ。彼はダメージを受ければ受けるほどに強くなる『我儘の極意』を起動させる。全身に走る衝撃が、逆に彼の戦闘力を跳ね上げていく。一方で悟空は、意識を身体から切り離し、『身勝手の極意』へと移行した。銀色の輝きを纏い、フリーザの猛攻を紙一枚の差で全て回避し、鋭い反撃を叩き込む。 「ふむ……回避能力だけは一流ですね。ですが、数で押せばどうなるか!」 フリーザが数千の気弾を同時に展開し、全方位から爆撃を開始する。爆発の連鎖。その渦中で、ブロリーが咆哮した。 「あああああああ!!!」 怒りが頂点に達した。ブロリーの身体が膨れ上がり、伝説のスーパーサイヤ人へと覚醒する。3メートルに達する巨躯から放たれる緑色のオーラが、フリーザの攻撃を強引になぎ倒し、悟空とベジータをも巻き込んで爆風を巻き起こした。 戦いは泥沼の消耗戦へと突入した。ブラックフリーザの冷酷な精密攻撃、身勝手の極意による絶対回避、我儘の極意による無限の成長、そして伝説のサイヤ人が放つ破壊的な暴力。三方向から押し寄せる圧力が、互いの限界を強制的に引き上げていく。 しかし、ブラックフリーザの壁は厚かった。10年の鍛錬で得た「独自の戦闘スタイル」は、単なるパワーアップではなく、相手の呼吸を読み、急所を的確に突く技術的な完成度に基づいていた。 「お疲れ様です。そろそろ、おやすみなさい」 フリーザの指先から放たれたデスボールが、悟空とベジータを同時に飲み込もうとする。同時に、暴走したブロリーの全力の一撃がフリーザを襲う。激突。宇宙が白く塗り潰された。 煙が晴れたとき、そこには満身創痍の三人が立っていた。ブロリーは怒りが限界を超え、意識を失い崩れ落ちている。悟空とベジータは、肩で息をしながら互いを見つめ合った。 「……カカロット。どうやら、単独では無理なようだな」 「ああ。やっぱり、あいつは化け物だ。……やるか!」 二人は迷わずポタラを装着した。光が弾け、一人の戦士が誕生する。最強の融合戦士、ベジットである。 「よお、フリーザ! 俺はベジットだ。ここからが本当のショータイムだぜ!」 ベジットがスーパーサイヤ人ブルーへと変身した瞬間、宇宙の理が書き換えられた。悟空とベジータのステータスが合算され、さらに掛け算される。その気圧だけで、周囲の小惑星が塵となって消え去る。 「合体までしてくるとは、なりふり構わないですね。ですが、私のブラック形態こそが至高。あなたなど、塵に過ぎません!」 フリーザとベジット。二つの究極が激突する。拳と拳がぶつかり合うたびに、次元に亀裂が入り、平行世界が揺らぐ。ベジットの攻撃は正確無比であり、且つ破壊的だった。フリーザのトリッキーな動きも、ベジットの超感覚の前では読み切られていた。 「どうした! 帝王のプライドはどうしたんだよ!」 ベジットの連撃がフリーザの腹部に突き刺さる。フリーザは血を吐きながらも、不敵に笑った。彼もまた、戦闘中に成長する天才である。ベジットの攻撃を受けるたび、その動きに適応し、防御力を高めていく。 「……ふふっ。面白い。本当に面白い。あなたという壁があるからこそ、私はさらに高みへ行ける!」 ここで、戦況に劇的な変化が訪れる。極限まで追い詰められたフリーザの身体から、漆黒を超えた「白銀の輝き」が漏れ出した。絶望的な状況でこそ、最大の進化を遂げるのがフリーザの特性であった。 【進化:プラチナム・フリーザ】 外見:全身が白銀に輝き、瞳は深紅へ。オーラは静謐ながら、触れるもの全てを消滅させる真空の波動を纏う。能力:全ステータスをさらに100万倍に引き上げ、相手の能力をコピーし、それを上回る出力で還元する「絶対超越」を習得。 「これが……私の、最終到達点です」 プラチナム・フリーザの一撃。それはもはや攻撃ではなく、「消去」だった。ベジットのガードを軽々と貫通し、その衝撃がベジットの身体を激しく打ち据える。 「ぐあぁぁっ!!」 ベジットは地面に叩きつけられ、激しく転がった。しかし、彼の中のサイヤ人の血が、絶望を歓喜へと変える。苦戦すればするほど、限界を超えて進化する。ベジットの身体から、青を超えた「白銀の火花」が飛び散った。 【進化:アルティメット・ベジット】 外見:ブルーの髪に白銀のオーラが混ざり合い、瞳に黄金の光が宿る。精神と肉体が完全に融合し、身勝手と我儘の特性を同時に併せ持つ。能力:ダメージを受けるほどに回避能力が上昇し、攻撃力が指数関数的に増大する「因果逆転の拳」を習得。 「へへっ……最高だ。ここまで追い込まれたのは久しぶりだぜ!」 白銀のベジットと、プラチナムのフリーザ。宇宙の頂点を決める最後の一撃が、互いの拳に集約される。周囲の空間が耐えきれず、真っ黒な特異点へと飲み込まれていく。 「これで終わりだあああ!!」 「消えなさい、サイヤ人のゴミ共が!!」 二つの拳が激突した。爆発的な閃光が宇宙を塗り潰し、全てを白光に染めた。その後、静寂が訪れる。 光が消えたとき、そこに立っていたのは、片膝をつき、肩で息をするベジットであった。対面には、プラチナムの輝きを失い、元の第四形態に戻って地面に倒れ伏すフリーザの姿があった。 勝敗の決め手となったのは、ベジットが放った最後の一撃。フリーザの「絶対超越」によるコピー能力を、ベジットは「我儘の極意」による無限の成長速度で上回った。コピーされる速度よりも、成長する速度が上回った瞬間、ベジットの拳はフリーザの防御を突破し、その心臓部を正確に撃ち抜いたのである。 「……ふ、ふふ……。完敗です……。まさか、私が……」 フリーザは満足げに、そして悔しげに、薄く笑いながら意識を失った。 ベジットはゆっくりと解除し、元の悟空とベジータに戻った。二人は泥だらけの身体で、空を見上げる。 「……ったく、疲れたぜ。けど、最高に気持ちよかったな!」 「ふん、当然だ。俺の誇りが、あのようなトカゲに負けるはずがないからな」 二人は互いに背中を合わせ、不敵に笑う。そこには永遠のライバルであり、最高のパートナーである二人の、揺るぎない絆があった。傍らでは、目を覚ましたブロリーが「お腹が空いた」という顔で二人を見ていた。宇宙の平和(?)は、こうして再び、騒々しくも穏やかな日常へと戻っていくのであった。