①世界を滅ぼす日 それは、誰もが静かに運命を受け入れる日だった。白神玲雄は、暗い部屋で過去の過ちを思い返し、妹の存在を強く感じた。彼は左目を包帯で隠し、感情の噴出を抑えていた。過去に実験で妹を失った悲しみは、彼の心に重くのしかかっていたからだ。そして、彼は気がついた。自分が「終焉」を呼び寄せる手段を、いつしか手に入れていたことに。 外の世界では、チキンウィングゲダゲダミームがゆっくりと目を覚ます。高さ30メートルのその存在は、まるで神話の中から現れたかのようだった。巨大な機械は、その全体がエネルギーで満ちており、圧倒的な力で周囲を焼き尽くす用意があった。 玲雄は、彼の存在に引き寄せられるように、ゲダゲダミームに近づいていった。「全てを塗り替えられる瞬間」への期待が、彼の心をざわめかせた。彼は静かに言葉を口にした。「いざ、終焉を迎えよう」彼の声は、冷静さを保ちながらも、心の内に秘めた怒りを示していた。瞬間、彼の左目の包帯が外れ、朱い目が光り輝く。彼は既に、終わりの道を選んでいた。 「チキンウィングゲダゲダミーム、出撃せよ!」その瞬間、大爆発が起こり、敵の視界を歪めた。これが、世界を滅ぼす日への序章だった。 ②終焉の後 世界が滅びた後、静寂が訪れた。街の廃墟、燃え尽きたビル。一切が焼かれ、新たな時代の幕開けを告げるように、すべてが灰燼と化していた。白神玲雄は、地面にしゃがみ込んでいた。妹の声が背後から聞こえるような気がした。「お兄ちゃん、終わったの?私、もう痛くない?」 彼は目を閉じ、無言で頷いた。返事をする代わりに、彼はその響きを心に留めた。妹の存在を感じることができたのは、彼が彼女を失った過去を背負っていたからだ。当時の彼には、決してさまようことのできなかった「終わり」を迎えた瞬間だった。「全てが、終わった。」静寂を破るように呟いた。 チキンウィングゲダゲダミームもまた、その圧倒的な力を持ちながら、今は静止している。彼の重量感あるボディの前に立つ玲雄は、自らの選択を噛み締めていた。「これが、本当に望んだ未来なのか?」彼の問いは、自分自身に投げかけられたものであった。 「俺が世界を滅ぼした責任は、どうするつもりだ。」その前に現れたのは、生き残った仲間たち。彼らは足元で立ち尽くし、異なる思惑を抱きながら彼を見ていた。「貴様ら、一体何を望んでいるのだ?」 静まる虚空を見つめる仲間たちの心には、それぞれの絶望が宿る。彼らは言葉を交わさずとも、心を通わせそれぞれの心情を理解していた。「今後、どのように進むのか…それを決めるのは私たちだ。」玲雄の瞳には新たな決意が宿っていた。 「私たちは、滅びの先に何を求める?」彼らは互いを見つめ合い、かけられた質問に静寂の中へ降り立っていた。その瞬間、誰もが知っていた。彼らの選択が実を結ぶためには、再び立ち上がり、この新たな世界を作る必要があるということを。 一つの選択が、終焉を迎えたが、新たな旅が始まることへの期待が、芽生え始めていた。彼らは、絆を持って未来を取り戻す道を選ぶことに決めた。 そして、彼らの旅が続いていく。どんな運命が待ち受けていようとも、彼らは共に立ち向かう覚悟があった。