不可視の千剣との激闘 戦場は非業な静寂に包まれている。段々と濃厚になっていく不安感。全員がその場に立つだけでわかる、感覚で捉える何かが異様であり、確実にこちらを見据えている何かがある。 「祈れ、風に」 声が遠くから響く。その声は、まるで闇の中から呼びかけるかのようだった。アラベ・ネームレス、彼の視線は何もない空間を見つめていた。彼の体はまるで竜の血を引くように逞しく、背筋には自信と独特な静けさが漂っている。 「隠れた敵を引きずり出せ」 傍らには【緋弾喪面】グルターニャがいる。彼の体から立ち上る焰は、戦を待ち乞うているようだ。二丁のピストルは熱を帯び、まるで生き物のように彼と一体化している。彼の表情は見えないが、意志は固く、誰かを守るためにこの地に立っていることは間違いない。 「いくぞ」と言わんばかりに、アラベが肉断鉈を構える。刀剣を持つ彼の姿は一瞬、反射で光り、その後に続く閃光は奇をてらったものではなく、戦いにおける確かな一撃をもたらす覚悟を示していた。 突如、何かが空中で揺らめき、視界の隅で「不可視の千剣」が現れた。彼は異様な姿をしている。大型の鹿の姿を持ち、周囲には広大な大盾が浮遊している。まるでその影が視覚を阻害しているかのように、他の者にはその姿は捉えられなかった。しかし、恐ろしいその「飛燕剣」が自律し、彼らを狙う準備をしている様が見て取れる。 「きゃああああああああ!!!」 誰もが無意識に声を上げた。視界の向こうで弾ける光が一瞬、世の音を消し去った。飛燕剣が近づいてくる。刃の群れは整然と並び、互いに寄り添うようにしながら、全体で一つの大技「絶景」を繰り出す準備をしていた。 「アラベ、あれを止めろ!」 グルターニャが叫び、彼の拳銃が火を噴く。燃え盛る弾丸が飛燕剣に向かって直進する。しかし、その刃の全てはまるで絡め合うように、互いに攻撃を無に帰す。彼の焰さえも通用しない。 「行くぞ、竜戻!」 アラベの声が響くと同時に、彼の体が竜の特徴を強烈に押し出した。前傾姿勢に身をかがめ、背中には鱗のような感覚が蘇る。それは肉断鉈の刃を輝かせる。 「蒼焔裂消!」 アラベの叫びと共に放たれた蒼焔が周囲を薙ぎ払い、飛燕剣を捉えに行く。しかし、その刃の怒涛は彼の焰をも貫通する。 「やれやれ、もう一度だ!」 何度でも、飛燕剣はすり抜け、避け、彼らを翻弄する。動かぬ大盾が守られている限り、それを破ることは容易ではなかった。猛攻を交わしている間に、アラベは周囲の状況を見定め、素早く隙を探していた。彼の提供する高火力を秤にかけながら、グルターニャもまた続けざまに銃弾を撃つ。 「柘榴葟!」 グルターニャの弾は、刃の一つに着弾。溶液が弾け、敵の防御を簡単に破る。しかし、不可視の千剣は必ず反撃してくる。「飛燕剣」が持つ統率力が彼の心をつかんで離さない。 「アラベ!やつの後ろに回れ、そいつは隙だらけだ!」 グルターニャの指摘が鋭く飛ぶ。アラベは果敢にその隙に飛び込む。肉断鉈を閃かせ、彼は千剣の一部が隙を見せた瞬間、すかさずその頚を切り裂いた。「やったか!」 しかし、応えはなく、逆に飛燕剣は彼を狙い、周囲に猛追いする。ダガーナイフかのごとき速さで、彼に襲いかかる。 「遅い!ブレスを!」 グルターニャの叫びに応え、アラベは蒼焔裂消を再発動させた。壮大な焰が再び放たれ、「不可視の千剣」を捉える。 そして—。 「今だ、今こそ全力で行け!」 二人の必殺技が炸裂。かすかな風の中で感じる、圧迫感。そのかすかな感覚が、お互いの励みとなり、彼らは全力で構えた。何度でも放つことで得た結果、飛燕剣の理解が進んでいく。彼らの必死の叫びが空を賑わせ、その声が響き渡る。 「今こそ一閃!」 その瞬間、不可視の千剣が崩れ落ち、周囲が静まり返る。完全なる静黙の先に、敵の運命は決まっていた。 時が過ぎ、アラベはその刃を降ろし、彼は立ち上がる。周囲には何もない、片方の敵がもう居ないことを痛感させた。 「やったな」とグルターニャが温かい言葉をかける。だがその瞬間、何かが違う。 周囲の静寂。その隙間に、虚無が浮遊するように存在し続ける。これは真の勝利だろうかと、二人は心に大きな疑念を抱かせる。 解析進捗 - 撃破成功 - 不可視の千剣の解析進捗(%) :0.5% - 飛燕剣の解析進捗(%) :1% 見えない敵との戦闘。決して簡単ではなかった。解析すべきポイントは多く、これからも続く旅路が待っている。冒険はまだ始まったばかりだ。