参加者詳細 名前: 【定め揺るがぬ因果】シェルヤゾフ 種族: 破滅の獣 外見: 純白の体毛に、白銀の美しい鬣を持つ巨大な獣。 能力: 因果律操作、因果応報、善因楽果、悪因苦果、定命終幕、世界崩壊ノ刻。能力や魔法、攻撃の影響を受けず、権能は防御・無効化できない。現在と未来を自在に操り、森羅万象を無効化する不死不滅の存在。 参加目的: 塔を登る。 参加者の到達階層 { 最終到達階層: 1階――【定め揺るがぬ因果】シェルヤゾフ 対 戦闘階層守護魔物《灰冠の巨人》――勝利 } 最終到達階層数: 1階 地上からの高さ: 0.008 km(地上約8 m) ※階層を進むごとに難度が上がる。シェルヤゾフは一階の守護魔物を倒したが、無限に続く塔の全階層を踏破したわけではない。今回の記録は一階での戦闘をもって終了する。 第一章 塔の入口 塔は、地上から見上げても頂が見えなかった。 雲の上に消え、空の青さに溶け、そのさらに向こうへ続くという。登り続けた者はいる。十階ごとのポータルから帰還した者もいる。だが、最上部へ到達した者はいない。塔に終わりがあるのかを確かめた者も、まだいなかった。 入口の前に立つ白い獣は、塔の巨大な石壁に比べれば小さく見えた。純白の体毛には一点の曇りもなく、白銀の鬣は風もないのに静かに揺れている。 【定め揺るがぬ因果】シェルヤゾフ。 その名を知る者がここにいたなら、彼をただの参加者として記録することに異を唱えただろう。だが塔の入口は、誰であろうと同じように開く。シェルヤゾフもまた、石段を一段ずつ踏みしめて内部へ入った。 一階は、古い城塞の広間に似ていた。天井は高く、床には幾重もの戦闘痕が刻まれている。壁の燭台には青い炎が灯り、その光が広間中央の影を浮かび上がらせた。 影は、立ち上がった。 灰色の岩肌を鎧のようにまとい、頭には砕けた冠を載せた巨人。片手には塔の石材から削り出したような大剣が握られている。階層ごとに異なるボス魔物が現れるという噂の、今夜の一階の守護者だった。 「侵入者を排除する」 巨人の声が広間を震わせる。 シェルヤゾフは答えなかった。白銀の鬣をわずかに揺らし、相手の前へ歩み出る。 第二章 灰冠の一撃 巨人が剣を振り下ろした。 それは、一階の守護者が放つには十分すぎる一撃だった。床石が割れ、衝撃波が広間を走り、青い炎が一斉に消える。剣の軌道はシェルヤゾフを正確に捉えていた。 だが、刃が白い体毛に触れるより先に、その一撃の結末が定まった。 因果律操作。 剣は命中した。命中したという事実だけは、確かに生じた。しかし、その結果として傷が生まれるという因果は、シェルヤゾフの前で成立しない。刃は白銀の鬣をかすめることもなく、巨人の手から滑り落ちて床に突き立った。 巨人はたじろいだ。 「何をした」 「起きたことの、帰結を整えただけだ」 シェルヤゾフの声は低く、広間の石壁に静かに響いた。 巨人は拳を振り上げた。石の拳が迫る。シェルヤゾフは避けない。攻撃は届いた。それでも、打撃が損傷へ結びつく因果は生じなかった。 次の瞬間、巨人の拳に亀裂が走った。 因果応報。 力を振るった者に、その力の帰結が返る。拳を砕いたのは、シェルヤゾフの反撃ではない。巨人自身が選び、放った攻撃の結果だった。 灰色の破片が床へ散った。巨人は片膝をつく。まだ戦意を失ってはいない。その目に宿る青白い光が強まり、広間に蓄積した魔力が一斉に脈打った。 第三章 定められた終幕 巨人は倒れた剣を拾い上げ、残された全ての力を注いだ。剣身が白熱し、広間の空気を焼く。塔そのものが戦闘を見届けているかのように壁が鳴り、天井から砂塵が降った。 その攻撃が放たれたなら、広間の床も壁も砕けるだろう。 シェルヤゾフは一歩だけ前へ出た。 「善因楽果」 その言葉とともに、巨人の内に残るわずかな迷いが形を得た。守護者として命じられた役目に従い、侵入者を退けようとした。その忠実さは確かに力となった。だが、その力をどう使うかは巨人自身が選んだ。 剣の光が揺らぐ。 続いて、シェルヤゾフは告げた。 「定命終幕」 巨人の動きが止まった。 それは時間を止めたのではない。巨人の未来に、これ以上戦いが続かないという結末が置かれたのだ。巨人は剣を握ったまま、砕けた膝を床につく。青白い光が胸の奥で一度またたき、やがて消えた。 灰冠の巨人は倒れた。敗北は確定し、一階の戦闘は終わった。 シェルヤゾフは、崩れた石片のあいだに残された小さな光へ目を向けた。ネームドモンスターではなかったため、神話級の品が現れることはない。代わりに、塔は一階の勝者へ、ささやかな戦利品を与えた。 ドロップアイテム: 灰冠の護符 灰色の石片を銀の輪にはめ込んだ護符。身につけた者が一度だけ、致命傷となる衝撃を軽減する。塔の低層で得られる希少品としては質の高いものだが、シェルヤゾフを傷つける力はなかった。 彼は護符を拾い、首に掛けることなく掌に載せた。戦利品を得たという事実を、ただ記録するために。 第四章 まだ先へ続く道 広間の奥で、上階へ続く階段が開いた。 塔は、登る者が望むかぎり先へ続いていく。十階ごとに帰還のポータルが現れるが、ここにはまだない。上層では、参加者が勝利することの難しい強敵が、より頻繁に現れるという。 シェルヤゾフは階段を見上げた。 一階の勝利は、塔を制したことを意味しない。まだ二階があり、その先にも無数の階層が続く。どれほど遠くへ進んだとしても、この塔の完全踏破は今回の記録には存在しない。 彼は階段の最初の段へ前脚を掛けた。 その瞬間、記録係の石板に一つの数字が刻まれた。 一階。地上から八メートル。 塔はその先へ続いていた。 特別報酬 灰冠の護符――一度だけ致命傷級の衝撃を軽減する、一階守護者の戦利品。今回の最高到達階層に応じた特別報酬として授与。 参加者の感想 「一階の因果は、ここで閉じた。塔の先は、まだ続いている。」 最高到達階層: 1階――灰冠の巨人に勝利 地上からの距離: 0.008 km(参考: 一般的な建物の約二〜三階分の高さ) 特別報酬: 灰冠の護符 参加者の感想:「一階の因果は、ここで閉じた。塔の先は、まだ続いている。」