第一章:雷鳴のレジカウンター ―― 餅つき兄弟の舞い ―― 店内に足を踏み入れた客がまず目にするのは、法被に鉢巻という異様な出で立ちの大男二人、ペッタとコーの姿であった。彼らに与えられた役職はレジ担当。しかし、その光景はもはや接客という概念を超越した「儀式」に近い。絶え間なく押し寄せる客の列は、まるで戦場の兵のごとき圧迫感を持って彼らを包囲していたが、兄弟にとってそれは心地よいリズムに過ぎなかった。 「ヨイショー!」とペッタが地響きのような声と共に、客の注文を電光石火の速さで聞き取り、会計を捌く。すると同時に、弟のコーが「ハイッ!」と鋭い掛け声と共に、その注文内容を完璧なタイミングで調理場へと受け流す。それはまさに、長年培ってきた餅つきの連携そのものだった。客が財布を開くよりも早く会計を済ませ、注文を調理場へ飛ばし、同時に出来上がったピザを店内の席へと運ぶ。彼らの動きはあまりに速く、残像が店内に幾重にも重なっていた。 「次の方、ヨイショー!」と、次々と客を捌く彼らの額からは大粒の汗が流れ落ちるが、その表情には不屈の闘志が宿っている。もはやレジ打ちという単純作業さえも、彼らにとっては己の技術を磨く修行であった。どれほど客が溢れようとも、二人の完璧なコンボ攻撃ならぬ「接客コンボ」の前では、行列は瞬く間に解消されていく。餅ばかり食べて育った強靭な肉体が、この激務という名の戦場において、最高のパフォーマンスを発揮していた。