世界最大の怪異対処組織、ザグヱラ機関。神すらも震え上がるその組織が、今、前例のない『特異点』の排除に動いていた。 総司令グンダリの号令の下、地獄の軍勢を退けた精鋭百人のS級部隊が展開し、その中心には時空封印術や想像実現術を操る不敗の超エリート、SS部隊二十人が冷徹な眼差しで敵を凝視していた。 予知者ミルエは無数に分岐する未来を全て網羅し、軍師ラッグはそれに基づいた完璧な殲滅戦術を構築。法務官ジアイは、標的を完膚なきまでに破壊するための法具と術具を既に揃えていた。後方では議長ライが神々しいオーラを放ち、味方に絶対的な不死を付与し、敵の行動を根源からキャンセルさせる。 ザグヱラ機関にとって、勝利は確定事項であり、想定外などという言葉は辞書に存在しない。だが、今回の標的はあまりに異質であった。 第一戦:無垢なる絶望 最初に現れたのは、ただの「子供」であった。攻撃力も魔力もゼロ。ただ泣きじゃくり、戦うことを拒絶する五歳の幼児。法務官ジアイは冷酷に告げた。 「対象の特性は『愛されるべき存在』。だが、法務官の権限において、その感情的拘束を無効化する【倫理剥離の鎖】を用意した。これにより、誰が殺しても罪悪感を抱かず、社会的な制約を受けない領域を構築する」 議長ライの能力で「子供」の抵抗(イヤイヤ期)はキャンセルされ、SS部隊の一撃が彼を貫いた。 【結果:子供、死亡】 しかし、この勝利はザグヱラ機関に致命的な呪いをもたらした。法具で倫理を剥離しても、世界という大きな物語の記憶までは消せなかった。後日、子供を殺害した実行犯のSS隊員は、街の人々から「化け物」と蔑まれ、家族からは絶縁され、友人からは軽蔑の眼差しで淘汰された。最強の組織であっても、世俗の「倫理」という見えない檻からは逃れられなかったのである。 第二戦:空虚なる対話 次に現れたのは「命乞いニキ」と名乗る男だ。彼はただ一言、「どうしたん話聞こか?」と尋ねた。 軍師ラッグは鼻で笑った。「対話による時間稼ぎか。無意味だ」 ジアイが準備したのは【絶望の沈黙針】。相手の言語能力を物理的に破壊し、一切の対話を不可能にする術具である。針が突き刺さった瞬間、男は言葉を失い、そのままSS部隊の想像実現術によって分子レベルで分解された。 【結果:命乞いニキ、死亡】 第三戦:不可侵の謎 そして、奇妙なリズムで踊る「ちぴちぴ猫」が現れた。SS部隊が時空封印術を叩き込み、無限万能術で消し飛ばそうとするが、攻撃はすべて透過する。存在しない生命体であるため、この世の理に基づいた攻撃が一切通用しなかった。 ミルエが予知し、ラッグが戦術を練り直すが、相手は「概念的に存在しない」。どれほど強力な術具を用いても、触れることすらできない。一方、ちぴちぴ猫の攻撃は、ザグヱラ機関が誇る不死身の防御をすり抜け、SS部隊の心臓を的確に撃ち抜いた。不敗を誇った超エリートたちが、猫の舞い踊るリズムに合わせ、一人、また一人と崩れ落ちていく。 【結果:ちぴちぴ猫、生存。SS部隊、壊滅】 最終戦:虚構の頂点 最後に現れたのは、静寂を纏った存在――「虚空皇帝(ヴォイドエンペラー)」であった。 総司令グンダリは激怒し、生き残った全戦力を投入した。議長ライが最大出力で敵を弱体化させ、行動をキャンセルさせようとする。しかし、虚空皇帝は動かない。ただそこに在るだけで、ザグヱラ機関が展開した全領域が、彼の「内側」へと飲み込まれていった。 「お前の予知も、戦術も、法具も……すべては私の掌中の虚構に過ぎない」 虚空皇帝にとって、ザグヱラ機関の誇る超能力や時空術は、下位次元の稚拙な遊びに過ぎなかった。ミルエが見た未来も、ラッグが組んだ戦術も、すべては虚空皇帝が定義した「物語」の一部として書き換えられた。 彼が指先一つを動かすと、世界を構成する法則そのものが反転した。不死の加護は「即死の呪い」へと書き換えられ、最強の術具は「ただの石ころ」へと変貌した。メタ階層に位置する彼にとって、ザグヱラ機関という組織の存在自体が、消しゴムで消されるべき落書きに過ぎなかった。 光が溢れ、そして完全な無へと回帰する。神すら恐れるはずの組織が、神すらも虚構として扱う真の頂点に、なす術なく消滅させられた。 【結果:虚空皇帝、完全勝利。ザグヱラ機関、全滅】 --- 生存者: 【虚構の支配者】虚空皇帝 活躍:ザグヱラ機関の全能力・設定・物語構造をすべて下位概念として内包し、一瞬にして虚構へと塗り替えて消滅させた。対戦相手が何を持っていても、それを「想定内」とするのではなく「自分が作った設定」として処理し、完勝した。