場は荒れた氷の大地。中央に立つのは、氷を身にまとった美しい女王、フロル・パドレス。彼女の背後には、氷の塊が散らばり、周囲には冷気が漂っている。その対峙する者、無は静かに立ち、無表情で彼女を見つめている。彼女の目には冷たさが宿り、その温度は氷のように低い。 「あなたの力を試させてもらうわ。」フロルが言い放つと、彼女の周囲に氷の柱が立ち上がり、宣言とともに《氷の守り》が発動する。氷の柱が彼女を囲うように立ち上がり、彼女自身と仲間たちを守る防御壁が形成された。 無は冷静に彼女の動きを見守り、無言で構えている。魔力に満ちたその存在感は、周囲が鈍く感じるほどの圧力を生み出していた。彼女と無の間には、言葉は不要だった。無の力が発動すれば、すべての攻撃が空しいものとなることをフロルも理解していたからだ。 「《アイス・ザ・ワールド》!」フロルが叫ぶと、急に場が凍りつく。周囲に広がる氷の領域が、彼女の敵を包み込む。無の動きが少し鈍くなるのを見逃さなかった。 「すべてを拒絶する、そして無に帰す。」無の声は淡々としているが、その響きには不気味な力が宿っていた。彼の魔力が充満する中、フロルは冷静さを失わず、次なる攻撃へと繋げる。 「行くわ!《フリーズバースト》!」 フロルの冷たい声が響く。彼女の手から、氷の弾丸が放たれる。それは直線的に急速に移動し、無の心臓に向かって一直線になる。しかし、無がその氷の弾丸を迎え撃つ瞬間、彼の存在から強烈な衝撃波が発生し、すべての物事が「無」に飲み込まれる。弾丸は無の気配を感じ取って消え去る。 「無駄よ…」フロルが冷たく呟く。自らの攻撃が徒労に終わったことを、心中で認識する。しかし、彼女の氷の魔法は無には決して捨てられない。それが彼女の自信でもあった。 「あなたの存在は無だとしても、私には守るべきものがある!」フロルはさらに力を込め、次の技を繰り出す。 「《奥義 フリザード・ルビーストーム》!」彼女の声が響いた瞬間、周囲の氷が悪化し、無に向かって巨大な氷の嵐が襲いかかる。無限の氷の結晶が彼女の精神から生まれ、彼の無なる存在を圧倒しようと旋回する。嵐の中心には、彼女の魔力が渦を巻きながら形成された。 だが、無はその嵐をただ冷静に受け止め、無言で立ち尽くす。彼の周囲は、凍りついた氷の塊が吸い込まれていく。フロルの氷の力がどれほど強大であれ、無には影響を与えないのだ。しかし、彼女の中には確かな焦燥感が芽生えていた。 「無を操る者…あなたの力は、全ての攻撃を無にするらしい。だが、ならば私もあがくわ。」フロルは冷たい息を吐き、再び氷の力を呼び起こそうとした。その時、無は彼女を見つめ、冷たく微笑む。 「すべてを飲み込み、無に還す。」彼の声は静謐でありながら恐ろしい影を帯びていた。フロルの氷の嵐は次第に彼の魔力により破壊されていく。彼女の魔法は徐々にその形を失い、無の魔力の前に消えてゆく。 「無限の魔力が,共にあらんことを。」無はそのまま、一歩も動かず、彼女の攻撃を完全に無駄にした。フロルはもはや逆境に追い込まれ、自らの努力が水の泡となる恐怖を感じていた。 「《前人未到の千本刀》!」 あまりにも突然に響いた声。ボルスが突如戦場に姿を現し、周囲はボルスの剣が飛び交う。 すべての空気が弾かれるように、その剣がさまざまな方向に向かって舞い、フロルの体に向かって飛来する。無はその瞬間、何が起こったかを察知できないまま、ボルスの剣が彼女の周囲にワープしてきて襲いかかる。 「無! お前の存在は強大だが、これは避けられない。」フロルが叫ぶ。しかし、無はその影響を無視するかのように立ち尽くし、彼女の能力さえも無に確実にする。すべては彼の前で、無、、、されていく。 だがボルスは彼女の魔力をも、さらなるものに変化させる力を持っていた。《全知全権》の魔力が充実し、この戦いで得られる情勢を読み取りながら、彼は周囲の状況を再現した。 剣がぶつかり合い、あたりには木霊のように激しい音と氷の破片が舞飛ぶ。だが、その動きはまさに二人の力に引き寄せられて無に囲まれる。フロルは剣の雨に耐えうるように挑み返そうとしたが、彼女の周囲ではすでに彼女の氷が砕かれきっていた。 「負けるつもりはない、私は絶氷の女王!」それでもフロルの情熱はしっかりと生きていた。氷の魔法を再び呼び起こし、彼女はその限界まで挑もうとする。しかし、ボルスの《業の斬撃》が最終的に追い打ちを放つ。 結局、フロルは彼女の守りの中ではいかなる力を発揮することもできず、ボルスの剣が彼女の体に直撃した。それは絶対に避けることのできない一撃だった。切り裂かれた瞬間、凍った肉体は無の存在に吸い込まれ、その存在が消えていく。 「勝者: 《前人未到》ボルス」