古民家と闇の侵入者 第一章：静寂の守護者 古びた日本家屋の奥深く、埃っぽい空気が漂う中、階段は静かに佇んでいた。何年もの間、侵入者を迎え撃ち、家を守り抜いてきた無言の守護者。急勾配の段差は、手すりすらなく、薄暗い照明が足元を曖昧にぼかす。階段自身に想いはあるのか？ ただの木と石の集合体に、誇りなどあるのだろうか？ それでも、それは不動の意志のように、そこに在り続けた。 （この家は、私のすべて。動かぬ体で、守り抜く。それが私の定めだ……） 階段は会話ができない。ただ、秘めた想いを胸に、訪れる者を待ち受ける。寝起きのぼんやりした者、スマホに気を取られた者、そんな隙だらけの侵入者が最も危うい。躓けば頭部を打ち、滑れば腰を砕き、大腿骨を折るほどの罠が、そこに仕掛けられている。 第二章：闇の到来 突然、家の外から不気味な気配が迫った。宙に浮かぶ9メートルの巨体、ダーク・レジオン。背中に紫色のシンボルが輝き、鋭い巨大な手が空気を切り裂く。かつて6つのマザーシップを乗っ取り、地球を荒廃させた張本人。人語は話せず、ただ「ハハハハハハ！！」と濁った笑い声のような咆哮を上げる。 巨体が古民家の玄関を突き破り、内部に侵入した。威圧的な存在感が空気を重くし、周囲にプレッシャーを放つ。ダーク・レジオンは家の中を見渡し、奥の階段に視線を固定した。破壊の衝動が体を駆り立てる。 （ハハハ！ この家など、粉々に砕いてやる。私の力の前では、すべて無意味だ！） 巨体がゆっくりと進み始めた。床が軋み、壁に亀裂が走る。階段は動かず、ただその到来を待つ。薄暗い廊下に、紫の輝きが不気味に映える。 第三章：威圧の罠 ダーク・レジオンが階段の下に到達した瞬間、神たる気質が発動した。威圧とプレッシャーが家屋全体を包み込み、普通の侵入者なら発狂するほどの重圧だ。しかし、階段は物。感情を持たぬ不動の存在。プレッシャーはただの風のように、段差を撫でるだけだった。 （この圧力……感じるが、動じない。私はここに根を張っている。家を守る壁そのものだ） 巨体が一歩踏み出す。急勾配の階段に足をかけた瞬間、薄暗さが巨体の視界を惑わせた。巨大な足が段差を捉え損ね、わずかに滑る。ダーク・レジオンは咆哮を上げ、体勢を立て直した。「ハハハハハハ！！」 （くそっ、この暗さか！ だが、私の巨体を止めるものなどない！） 階段は無言で応じる。最初の試練は、巨体の重さを活かした滑り。だが、レジオンは素早さを発揮し、壁に手をついてバランスを取った。一進一退の幕開けだ。 第四章：モヤの襲来 怒りに燃えたダーク・レジオンがモヤモヤを放った。体の周囲に球体状の黒いモヤが無数に発生し、階段に向かって渦巻く。モヤは階段の段差に絡みつき、木目を侵食するように広がる。暗闇をさらに濃くし、足元を完全に隠した。 階段の想いが揺らぐ。（この黒い霧……私の視界を奪うのか？ いや、私は見えなくてもここにいる。侵入者を落とす罠は、変わらない） モヤが階段を覆う中、レジオンは狙い打ちを発動。巨大な体を高速で突進させ、階段の中段を狙う。巨体が段差を踏み越え、木が軋む音が響く。だが、急勾配が巨体の勢いを殺し、足が滑った。膝が段に打ちつけられ、巨体が一瞬よろめく。 「ハハハハハハ！！」咆哮が痛みを隠す。レジオンは自問する。（この階段、ただの物ではないな。まるで意志を持っているかのように、私を拒む……） 階段は応じず、ただ次の罠を仕掛ける。モヤが濃くなる中、巨体の足元が再び不安定に。滑落の危機が迫るが、レジオンは巨大な手で壁を掴み、這うように上る。互いの抵抗が、家の軋みを増幅させた。 第五章：紫の激突 中段で体勢を整えたダーク・レジオンが、紫の柱を放った。輝く槍が階段の上部を貫き、直撃した瞬間、数百の破片に分散して爆発。木片が飛び散り、段差が一部崩れる。階段の構造が揺らぎ、埃が舞い上がった。 （この一撃……私の体に傷を負わせた。だが、崩れても私は立つ。家は私とともに不動だ） 爆発の衝撃でレジオン自身も弾き飛ばされ、階段の下に転がる。体が白く変化し始め、ダメージの証が現れる。「ハハハハハハ！！」痛みを笑い声で覆うが、心の声は動揺を隠せない。（この階段、破壊しにくい……まるで生きているように、衝撃を吸収しているのか？） 階段は崩れた部分を、残った段差で補う。薄暗い中、巨体が再び上り始めた。今度は慎重に、段を一つ一つ確かめながら。モヤがまだ残る中、階段の急勾配が巨体の重心を崩し、腰部に打撲を与える。レジオンは咆哮しつつ、工夫を凝らす。モヤを盾にし、紫の破片を小出しに使って段を破壊しながら進む。 第六章：新星の降臨 上段に近づいたダーク・レジオンが、新星衝突を繰り出した。モヤを数百個、隕石のように階段に降り注ぐ。黒い球体が段差を叩き、木が砕け、煙が上がる。階段の半分が破壊され、崩落の危機に陥った。家屋全体が震え、壁に亀裂が広がる。 （この攻撃……私の限界を試すのか？ だが、私は折れない。侵入者を上まで通さぬ。それが私の誇りだ） 隕石のようなモヤが階段を蹂躙する中、レジオンは突進を加える。だが、破壊された段差が逆に罠となり、巨体の足が空を切った。滑落し、残った急勾配に体を打ちつける。頭部が段に当たり、巨体が一瞬硬直。白い変化がさらに進む。 「ハハハハハハ！！」レジオンは自問自答する。（なぜだ、この階段は壊れても形を変えて私を拒む。私の力でさえ、完全には勝てないのか……？） 階段は応じず、崩れた部分から新たな危険を生む。滑りやすい破片が散乱し、巨体の動きを封じる。レジオンは巨大な手で段を掴み、這い上がる。互いの攻防が続き、一進一退の戦いは頂上へと続く。 第七章：不動の決着 ついに頂上に辿り着いたダーク・レジオン。体は白く変色し、傷だらけ。階段も半壊し、段差が乱れている。巨体が最後の突進を試みるが、残った急勾配が最大の罠を発動。薄暗い中、モヤの残骸が足を滑らせ、巨体が転倒。腰と頭を打ち、動きが止まる。 （これで……守り抜いた。家はまだ、立っている） レジオンは立ち上がろうとするが、力尽きる。「ハハハ……ハハ……」笑い声が弱まる。（この階段……ただの物ではない。私の破壊を凌駕する意志か。負けた、か……） 戦いは階段の勝利に終わった。ダーク・レジオンは巨体を宙に浮かせ、ゆっくりと家を出て行く。 目撃者の感想 古民家の近くに住む老夫婦が、窓から一部始終を目撃した。「あの巨体が階段に挑むなんて、まるで映画のようだったよ。階段が勝つなんて信じられないけど、家が守られてよかった。まるで古い家屋の魂が戦ったみたいだね」と夫が呟き、妻が頷く。「不思議な戦いだったわ。誰も死ななくて、ほっとしたけど、あの笑い声は忘れられない」 戦いの後、階段とダーク・レジオンは互いに敬意を表し、巨体が階段の残骸に軽く触れるような握手で別れた。