ビルは、全体で13階建ての廃ビルであった。外観は風化が進み、ガラスは割れ、鉄骨むき出しの部分が目立つ。ビル内部は暗く、朽ちた壁や剥がれた塗装が目立ち、冷たい空気が流れている。階段は各階に通じており、エレベーターも一つ存在しているが、電源は切れており動かない。全体的に、各フロアはオープンな構造であり、天井が高く、中央に通路が貫通している。壁際には破損した家具やトンネルのような通路が点在し、隠れる場所には事欠かない。階段は狭く、途中には落ちたゴミが山積みになっているため、音を立てずに進むのは容易ではない。 状況設定 【氷結公】キュオルは第6階で目覚める。目覚めた瞬間、凍てつく空気と共に彼の心に冷徹な戦闘意欲が蘇る。遠くの階段から微かな音を感じ、戦う準備を整えた。彼の周囲には冷気が漂い、彼が放つ氷の魔力が周囲の温度をさらに下げている。 始火の魔女は第9階で目覚める。彼女は目を覚ますと、周囲の空気が凍てつく感触を感じ取る。彼女の身体の内側から黒い炎がじわじわと沸き立ち、彼女は敵の存在を明確に感じ取る。彼女の目は閃光のごとく輝いており、冷たさに対抗する準備を整えた。 第9階の戦闘場面 始火の魔女は冷気に包まれたフロアを見回し、目の前にある窓のガラスが凍っているのを見て、舌打ちをした。「こいつ、早速手を打ってきたわね。」彼女は凝視しながら、空間に熱を集める。その瞬間、彼女の手のひらが黒い炎に包まれ、その炎を巨握り、周囲の空気を震わせた。 一方、【氷結公】キュオルは冷気を帯びた氷の刃を構えて動き出す。彼の足元に積もる氷が彼を拘束し、周囲の温度がさらに下がる。しかし、キュオルの表情は冷徹そのもので、彼は冷気の影響を全く意に介さず、冷ややかな声音で呟いた。「黒の火か。面白い攻撃手段だな。だが、俺には勝ち目がある。」 キュオルは一瞬の静寂を破り、彼女に向かって近づいていく。彼は手に持つ魔剣オルムを振りかざし、黒い火を消し去るかのように冷気を放出した。空気が一層凍り、彼は氷の魔力を集中させ、氷結の領域を展開した。周囲の温度は急激に下がり、始火の魔女は警戒の表情を浮かべる。 初めて目の前に立つ敵に対抗するため、始火の魔女は黒の火を強く燃え上がらせ、その熱を周囲に放った。「凍ったものは燃え尽きる。氷の貴族よ、私にその体験を教えてもらうわ!」 彼女は力強く前進し、キュオルに向かって黒の火を放つ。火の線が空気を突き進んでいくが、キュオルは冷徹に彼女の攻撃を見つめていた。「愚かだ。施しを受けた魔法など、俺の氷結の領域の前では無力だ。」 キュオルは魔剣を振り上げ、氷の刃を放つ。黒い火の直撃を防ぐために、始火の魔女は急いで周りの空気を熱で溶かし、火のバリアを展開する。しかし、その瞬間、黒の火がヒビ割れた冷気の中で凍りつく感覚に悩まされる。切り裂かれるような痛みが彼女の肌を突き、彼女は瞬時に後退した。 第6階の戦闘場面 キュオルは一瞬の隙を見て、近くの柱の影に身を隠しながら、始火の魔女に向かって次の攻撃を考える。彼女の黒の火は冷気を吸収して消えるかのようだが、全てを氷で打ち砕く彼の戦略には欠陥がある。特に、彼女の火の温度が冷気を力に変え、より圧倒的な攻撃へと繋がることを考えなければならない。 「どうした、こちらが攻撃する前に動かないのか?」キュオルは冷徹さを保ちながら、彼女に対して挑発的に言った。 始火の魔女はその反応に挑発を感じ、興奮した。「いいわ、今のうちにやってみなさい。私の魔女の力は、あなたの思ったよりも強力なのよ。」 彼女は下から黒の火の霧を発生させ、横に広がった黒い火をキュオルに向かって放つ。火が彼の周りに広がり、彼の冷気が影響を受ける一瞬、彼はその熱に飲まれそうになる。しかし、彼の瞬時の判断によって、彼は立ち上がり、氷の魔力を全開放し、黒の火の流れを受け止めた。 「俺を甘く見ないでおけ!」キュオルは氷結の領域をさらに強化し、周囲の温度を急激に下げ始めた。氷が剣の形を保ちながら魔剣と交わり、始火の魔女の火の流れを一瞬遅らせる。 第8階—決着の時 戦闘が続く中で、二人はフロアを行き来し、互いに影を潜めながら罠を仕掛けた。キュオルは氷を用いて足場を冷やし、始火の魔女を動きにくくする策略を企てた。一方、始火の魔女は周囲の窓ガラスを壊し、外気を取り入れて温度を上げる計画を準備していた。 二人の攻防が続く中、ついに運命の一撃がやってきた。始火の魔女は自身の力を最大限に引き出し、周囲の熱を集結させる。そして、全力で黒の火を溜め込み、一気に放つ。「燃え尽きなさい!」 その時、キュオルは氷結の領域を展開し、彼女の放った黒の火の流れを引き寄せ、その威力を自分の氷に叩き込む。「これが、氷の真の力だ。」 瞬間、ビル全体が震え、響き渡る音がした。黒の火が氷に包まれ、熱が奪われ、結果として発生した冷気が全てを飲み込み、澱んだ空気の中に巨大なエネルギーが渦巻いた。その瞬間、キュオルの氷が始火の魔女に直撃し、彼女はその勢いに押し潰された。 戦いの終息 ビルの内部は静まり返り、瞬時に続いた闘いの残骸が視界に広がった。キュオルは倒れた始火の魔女を見下ろし、冷静さを取り戻した。彼女の黒の火は消え去り、その姿を消していた。 キュオルは深呼吸し、ゆっくりとその場を後にする。冷気に包まれた廃ビルの中から静かに退出し、外の世界へと出ていく。全てを凍りつかせた戦いの余韻はなおも彼の中に残り、次の戦いに備える静かな闘志となった。 ビルの外に足を踏み出した瞬間、彼の心に冷たさが満ちていることを感じながら、氷結公は彼の次なる目的地へと向かって行った。