【混沌の市街地5km:地獄のデッドヒート・レース】 プロローグ:開幕の喧騒 陽光が降り注ぐ一般道路。そこには場違いなほど豪華な特設実況席が設置されていた。周囲には一般車が走り、歩行者が不思議そうにこちらを見ている。そんな平和な光景を切り裂くように、拡声器から野太い怒鳴り声が響き渡った。 「ガハハハ!待たせたな野郎ども!ルールは単純だ!5キロ先のゴールまで、手段と方法を選ばず突っ走れ!信号?歩行者?そんなもんは飾りだ!だがな、やりすぎて警察に目をつけられたら、地獄の果てまで追われると思え!いいか、死ぬ気で走れ!!」 実況を担当する「荒々しいおっさん」が、机をバンバンと叩いて咆哮する。隣では、パステルカラーのスーツに身を包んだお姉さんが、ニコニコしながらメモ帳を広げていた。 「はいっ!解説のミカです!今回のレースの見どころは、なんといっても『参加者の多様性』ですね!戦車を呼ぶ学生さんから、宇宙から来た機械、法律を操るエリート、そして空飛ぶお嬢さんまで!あ、ちなみに信号無視の罰金は各自で負担してくださいね!うふふっ☆」 【参加者の意気込み】 棗イロハ:「……はぁ。なんで私がこんな面倒なことに。適当に流して、早くお昼寝に戻りたいですね……(本をページを捲りながら)」 プリズラク宇宙船:「コノ……ザザッ……界ノ……全……ザザザッ……ゴーーーール……浄化……」 改 帳:「ふふ。礼節を欠いた走りというものは美しくありませんね。ですが、勝利という『結果』こそが最大の証明。適切に処理させていただきます」 一式戦闘機 隼:「よっしゃーー!格闘戦なら任せて!空からぶち抜いて1等賞獲っちゃうよー!!」 --- 【エントリー機体・移動手段描写】 運営側が用意した機体および各自の手段が披露される。 【棗イロハ】 運営用意機体:『超高級サボり用リムジン(装甲付き)』 最大速度:120km/h(通常時) / 200km/h(ブースト時) 重量:4トン 大きさ:全長6m ※本人はこれを断り、「特務支援重戦車『虎丸』」の召喚および搭乗を選択。 【プリズラク宇宙船】 機体名:プリズラク・クラス(侵蝕機械) 最大速度:マッハ3(大気圏内制限あり) 重量:計測不能 大きさ:全平方20m 【改 帳】 運営用意機体:『法務省公認・超高速執行車』 最大速度:180km/h 重量:1.5トン 大きさ:全長4.5m ※本人はこれをあえて使い、「法的な正当性」を持って走行することを選択。 【一式戦闘機 隼】 機体名:自身の身体(擬人化形態) 最大速度:時速640km 重量:軽量(人間+主翼分) 大きさ:身長150cm程度 ※自力飛行による参加。 --- 第一章:カオスなスタートダッシュ 「レディー……ゴーッ!!!」 おっさんの合図と共に、静寂は消えた。最初の一歩から、このレースは「道路交通法」という概念をゴミ箱に捨てた。 「ふぁ……。虎丸、出番ですよ」 イロハが気だるげに指を鳴らした瞬間、空間が歪み、轟音と共に特務支援重戦車『虎丸』が路上に現れた。アスファルトがみしりと悲鳴を上げ、凄まじい排気音が街に響く。イロハは車長席にどっしりと腰掛け、文庫本を読みながら砲撃指示を出した。 「あははは!遅いよー!」 上空からは隼が急降下し、12.7ミリ機関砲を地面に向けて乱射。跳弾した弾丸が、運営が用意したバリケードを次々と粉砕していく。彼女の機動力は圧倒的で、一瞬にして先頭に躍り出た。 「おっと、危ないですね」 改 帳は、執行車の中で姿勢を正し、淡々とハンドルを握っている。彼の周囲には不可視の『証書』が舞っていた。隼が乱射した弾丸が彼に向かった瞬間、帳が呟く。 「【証書】――弾道軌道の不承認」 ガキン!という音と共に、物理法則が書き換えられた。弾丸は帳に触れる直前で「そこに存在してはいけないもの」として弾き飛ばされ、後方の一般車に命中。派手な爆発が起きる。 「ギャーッ!車が爆発したぞ!!」 「解説のミカです!今、改さんが『法的に弾丸の進入を禁止』しましたね!なんて効率的な防御法なんでしょう!あ、警察が来ましたよ!」 サイレンが鳴り響き、パトカーが5台、猛烈な勢いで追いかけてくる。しかし、そこに現れたのはプリズラク宇宙船だった。 「ザザッ……浄化……」 蒼い光の軌跡を引くサフィロエンジンが点火し、宇宙船が超加速。そのままパトカーを「物理的に」押し潰しながら、音速の壁を突破して突き進む。背後には蒼い磁場障壁(アズールシールド)が展開され、あらゆる追撃を弾き返していた。 --- 第二章:妨害と混迷の直線コース レースは2km地点。道路はもはや戦場だった。 「あー、面倒くさい。あそこで邪魔してる宇宙船、どいてください」 イロハがため息をつき、ノーマルスキルを発動。空中に座標を指定すると、どこからともなく自走式榴弾砲による砲撃支援が降り注いだ。ドガガガガッ!!と猛烈な爆風がプリズラク宇宙船の直撃を浴びる。 「グ……ガ……ザザッ!」 宇宙船が大きく揺れるが、ナノマテリアルに近い自己修復機能とシールドで耐える。しかし、その衝撃で宇宙船の一部が剥がれ落ち、道路に「プリズニウム」の破片が散らばった。 「おっ!あそこに落ちてるのはレア素材!拾いたいけどスピードが優先だー!」 隼が急旋回し、低空飛行で地上をかすめる。その際、彼女は250kg爆弾を一つ、わざと後方の執行車に向けて投下した。 「あはは!これでも喰らえー!」 巨大な爆弾が帳の車に向かって落下する。だが、帳は表情一つ変えず、書類にペンを走らせた。 「【証書】――所有権の移転。この爆弾は今この瞬間より、後方のパトカーの所有物とする」 シュルッ!と爆弾が空間を跳躍し、追いかけてきていた警察車両のルーフの上にピタリと着地した。直後、大爆発。パトカーは空高く舞い上がり、火だるまとなって回転しながら飛んでいく。 「ガハハハ!最高だ!法的に爆弾を押し付けやがった!あいつは悪魔か!!」 「ミカです!今の技は『法的な所有権移転』による攻撃転嫁ですね!素晴らしい!警察の方々、お疲れ様です!」 混沌を極める中、イロハは虎丸の装甲で周囲の攻撃を全て「燃料」に変換し、さらに加速。跳弾する強力な砲弾を左右に放ち、進路上の一般車や街灯を次々となぎ倒しながら、悠々と前進していた。 --- 第三章:最終局面、デッドヒートの500メートル 残り500メートル。ゴール地点が見えてきた。 現在、先頭を争っているのは、空を切り裂く隼、超加速するプリズラク宇宙船、法的な完璧さを維持する改 帳、そして全てを破壊しながら進む虎丸(イロハ)の4者だ。 「ここからが本番だよー!!」 隼が最大加速に入り、背中の主翼から火花を散らす。彼女は敢えて高度を下げ、地上を走る3者に激しい機銃掃射を浴びせた。マ弾と焼夷炸裂弾がアスファルトを炎の海に変える。 「……いい加減に、終わらせましょう」 イロハが本を閉じ、虎丸の全出力を解放した。歪曲空間防壁が最大展開され、隼の銃撃を全て吸収。同時に、虎丸の主砲が最大出力で斉射された。広範囲に跳ね返る砲弾が、まるでピンボールのように街中のビルを破壊し、プリズラク宇宙船のシールドを激しく叩く! 「ザザザッ!!!!!(怒)」 プリズラク宇宙船が臨界点に達した。蒼い機眼が赤く染まり、プリズムライフルを全方向に展開。数千発の蒼い光線が、雨のように降り注ぐ。街は一瞬にして蒼い光の網に覆われた。 「ふむ。この程度の光量では、私の『証明』は破れません」 改 帳が執行車の窓から身を乗り出し、一枚の巨大な証書を空に掲げた。 「【証書】――全参加者の『速度制限』を時速10kmに指定し、承認する」 瞬間、世界がスローモーションになった。物理的な速度ではなく、「法的な速度」が固定されたのだ。隼の翼が、プリズラクのエンジンが、虎丸のキャタピラが、ガクンと速度を落とす。 「……っ!こういうところが、本当に面倒くさいんだから!」 イロハがパッシブスキルを発動。部隊全体の支援能力を向上させ、自身の「概念的な突破力」を底上げする。法的な制限を、純粋な「戦術的暴力」で塗り替えて突き進む! 「あーーっ!ずるい!私も加速するー!!」 隼がなりふり構わず250kg爆弾を自身の真後ろで爆発させ、その反動でロケットのように前方へ弾き飛ばされた。爆風で背後の街並みが完全に消滅するが、彼女は気にしない。 「ザザ……浄化……加速……!!」 プリズラク宇宙船もサフィロエンジンをオーバーロードさせ、機体が崩壊し始めるほどの速度で突撃。蒼い光の塊となってゴールへ向かう。 「おっと……想定外の出力ですね。ならば、これも『承認』しましょう」 改 帳もまた、自らの執行車のエンジンに【証書】を書き込み、限界突破させた。白銀の光を纏った車体が、弾丸となって加速する。 ゴールまで残り100メートル。 右からは、炎を纏い爆風で飛ぶ隼! 左からは、機体を崩壊させながら突っ込むプリズラク宇宙船! 中央からは、法と理を突き抜けて走る改 帳! そして後方から、全てを粉砕し、跳弾する砲弾の嵐と共に突っ込んでくる重戦車・虎丸! 「ガハハハ!混戦だ!めちゃくちゃだ!誰が勝つか分からねえ!!」 「ミカです!見てください、あのアスファルトの溶け方を!もう道路になってません!ただの溶岩の川です!最高にエキサイティングですね!!」 残り10メートル!! 隼が最後の一蹴りで急降下! プリズラクが蒼い閃光となって突入! 改 帳が完璧な角度で車体を滑り込ませる! そしてイロハが、虎丸の主砲を前方に向け、「これで終わりです!」と叫んでゼロ距離射撃を敢行!! ドーーーーン!!!!! 凄まじい爆発と共に、ゴールラインが文字通り「消滅」した。煙と炎が舞い上がり、視界が完全に遮られる。 静寂が訪れ、煙が晴れたとき、そこには…… ゴールラインがあったはずの「穴」の中に、4者がほぼ同時に突っ込んで積み重なっていた。 --- エピローグ:結果発表 「……あー、疲れた。もう寝ていいですか」 瓦礫の下で、虎丸のハッチから顔を出したイロハが、再び文庫本を開いた。 「うぅ……爆弾の反動、出しすぎたかも……」 主翼をへし折った隼が、地面に大の字になっている。 「ザザ……ゴ……ール……達成……(機能停止)」 プリズラク宇宙船は、大半が崩壊し、ただの鉄屑となって静かに点滅していた。 「ふふ。結果的に、全員が同時に到達したということで、共同責任……いえ、共同勝利ということでよろしいですね」 改 帳だけは、服に付いた埃を払い、完璧な微笑みを浮かべていた。 そこへ、地獄の果てまで追いかけてくると誓った警察部隊が、戦車10台とヘリコプター20機を伴って到着した。 「貴様らああああ!!!公務執行妨害に、道路破壊、不法走行、大量虐殺(物)!全員逮捕だ!!!」 「……あー、やっぱり面倒くさい」 イロハが小さく呟き、虎丸の砲口をパトカーに向けたところで、物語は幕を閉じた。 【最終順位】 1位(同率):棗イロハ(破壊力により強行突破) 1位(同率):プリズラク宇宙船(物理的速度で到達) 1位(同率):改 帳(法的な速度操作で調整) 1位(同率):一式戦闘機 隼(自爆反動で到達) 【参加者の感想】 棗イロハ:「二度とやりたくないですね。でも、虎丸の燃費が良くなったので、そこだけは満足です」 プリズラク宇宙船:「コノ……セカイ……騒がし……スギ……(強制シャットダウン)」 改 帳:「非常に有意義な時間でした。さて、この破壊工作の請求書を誰に送ればいいのでしょうね」 一式戦闘機 隼:「あはは!めっちゃ楽しかった!次はもっと大きい爆弾持ってくるねー!」