町の広場は熱気に包まれていた。広場の中央には神野露伴が待ち構えており、その姿はまるで創作の世界から飛び出してきたような華やかさだった。彼は魔術師兼小説家として知られ、独自の描写によって具現化される技は恐るべきものであった。 その傍らには、双剣使いのメイド少女、宮森愛香が佇んでいた。桃色の髪を揺らし、黒いメイド服が彼女の地雷系の雰囲気を一層引き立てる。彼女の目は冷静さと狂気の狭間を漂い、愛する妹、花音への想いがその背後で燃え盛っているのだ。 「花音の為に、私は絶対に帰らないと……」愛香は小さく呟き、双剣『紅恋想蕾』を握りしめる。その双剣には妹から託された恋炎が宿っており、彼女の戦意を象徴していた。 対して神野露伴は、ペンを取り出し、空中に何かを書き始める。彼の持つ魔法は、まるで実体のない物語が現実となるかのように、リアルなバリアや武士団を次々に描き出すのだった。 「ふむ、良い絵が描けそうだ。君たちの戦い、面白くなりそうだね。」彼は微笑み、絵筆のようにペンを揮う。その瞬間、愛香は神経を集中させ、自身も動き始めた。 「行くわよ、盛炎!」 愛香は宣言し、双剣に宿る恋炎を確認する。赤く燃えるような炎が彼女の周囲を取り巻くと、愛香は一気に神野に向かって駆け出す。「冥土恋華!」 双剣を一閃させると、紅く輝く斬撃が神野に向かって飛んでいった。しかし、神野は冷静にペンを動かし、空にできた防壁が愛香の斬撃を物ともせずに弾き返す。 「片翼の英雄、見事だ!だが、私の絵は簡単には破れないよ!」神野露伴はその力強い声とともに、一枚の絵を完成させた。その防壁は、鋼鉄のように固く、愛香の攻撃を軽々と受け流してしまう。 愛香は少し後退し、次の手を考える。彼女の心には妹の存在があった。「私はあきらめない……花音の為に、何があろうとも!」愛香は再び攻撃の体勢に入った。 彼女は、今度は遠距離からの攻撃を仕掛ける。「お手を触れないで下さい。」と冷静に言い放ち、少し後方に跳躍すると、双剣を振り上げ、自分の周囲に炎の斬撃を飛ばす。その斬撃は多方向に散らばり、神野を包囲しようとした。 神野は楽しそうに笑った。「面白い!その攻撃も防ぎきる!」ペンは再び動き、彼は自分の周囲にバリアを展開させ、斬撃を防いだ。「だが、これでは足りないよ!」 彼は次の技を発動した。「姫と騎士長!」 無数の騎士が愛香に向かって突進してくる。彼女は驚きもせず、用意していた技で反撃する。「燃え燃え!」瞬時に神速で騎士たちの前に移動し、回転しながら恋炎の斬撃を浴びせる。炎は騎士を切り裂き、燃やし尽くす。 神野露伴はその光景をじっと見つめていたが、その目は冷静で熱が引き締まっていた。「面白い、面白い!」彼の声が再び響く。「けれども、君の力はまだ足りないよ!」 その言葉とともに、神野は次の技を繰り出した。「1%の奇跡!」すると、無数の槍が彼の描いた絵から発生し、愛香を取り囲むように飛翔した。彼女はその光景に戦慄するが、たじろがない。「負けない!」愛香は双剣をその槍へ向けて振る。その斬撃が槍を切り落とし、隙間を見つけて逃げる。 銃撃のような音が響く中、神野は不敵に笑う。「さあ次は、英雄流の添削を見せてあげよう。」その言葉と共に機械槍が彼の手元に現れ、変形して激しいレーザーが発射される。 愛香はその攻撃を素早く見抜き、全力で身をかわす。「お還り下さい、ご主人様。」彼女は急激に移動し、恋炎の斬撃を周囲に飛ばした。しかし、神野露伴の攻撃はかわされ、彼は冷静にペンを戻して絵の具を混ぜ合わせていく。彼の表情には、一切の無情も恐れもなかった。 戦況はどんどん厳しくなり、愛香の動きは徐々に追いつかなくなった。それでも彼女は足を踏み出した。「妹の為なら、私は消えない!」愛香は妹への愛情が燃え上がり、その想いを炎に変える。最後の力を込めて、双剣は大空へ掲げられた。 「君の人生になりたい!」彼女の心の叫びが現実を切り裂き、万年筆に姿を変えた双剣は、光の物語を紡いだ。周囲は明るい光で包まれ、神野の攻撃も消え失せる。その希望に満ちた物語が、彼女に無限の力を与えた。 しかし、神野もまた黙っていなかった。「素晴らしい!だが、私の力を侮ってはいけない!」彼もまた最後の力を使って立ち向かう。あらゆる物を具現化し続け、その力を解放していく。 二人の技が木霊する中、戦場はまさに神と悪魔の舞台と化した。愛香は妹の為、神野は創作の為に。燃え上がる意志は、互いに向かい合いながら織り成されていく。 長時間の戦闘が続き、ついに日が落ちてきた。二人とも疲弊し、その意志が一番強く交錯する瞬間が訪れた。神野のペンが描き出した最後の一筆と、愛香の尽きかけた炎の一閃がぶつかり合った。 そこに透き通るような光が生まれ、二人の力がぶつかり合うと、激情の光が広場を覆った。やがてその光は静まり、静けさが訪れる。 広場の中心には、喘ぎながら神野と愛香が倒れた。二人の表情は無垢で、美しかったが、その上には深い疲れの影が広がっていた。 神野露伴は微笑みながら、愛香に向かって言った。「素晴らしい戦いだったよ。だが、私の勝ちだ。」その言葉と共に、愛香は倒れたまま動かなくなった。彼女の心の奥底にあった強い意志は、敗北に終わってしまったのか。 神野露伴は手を振り、周囲に絵を描き始める。「これが私の物語だ。」 勝者は神野露伴であった。