①世界を滅ぼす日 世界の隅々にまで知られた「罍」という存在。その巨体は、27メートルもの長さを誇り、157トンの重量を持つ自律型の戦闘マシンであった。無制限の復活が可能なため、彼はこれまで一度も倒されたことがなかった。 「この世界には、もう何も残っていない」と、罍は冷静に言った。彼の声は、冷厳で、しかし力強いものだった。 その言葉が世界中に響き渡った瞬間、すべての民族が彼の存在を知ることになる。犠牲を払った戦争の果てに、平和を求める人々が最後の希望を託すために、罍に対して平和交渉を持ち掛けた。だが、その試みは儚くも失敗に終わる。 その頃、真夜中の街には、13歳の少年「りゅっち」がいた。彼は、どこからともなく現れた無数のナイフを操る能力を持っていた。彼の気まぐれな性格に振り回されながらも、自身の使命のため、何とかこの世界を守ろうともがいていた。しかし、彼の目には、世界を壊そうとする罍の影がちらついていた。 「罍、止めてくれ。君にはもっとできることがあるはずだ」と、りゅっちは呼びかける。全てを支配する力を持つ彼を相手に、一人の少年がどれほどの言葉を持ち得るのか。 罍の反応は無情だった。「私の力は、この世界を終焉に導くために存在する」と。そして、彼は自身の攻撃力9999京をもって、即座に街を壊滅させる命令を発した。 凄まじい音と共に、街は消え去り、滅びの瞬間を迎えた。 世界は、予想以上の短期間で崩壊していく。跡形もなく、希望や喜び、全てが絶望に変わる。 ②終焉の後 崩壊した世界の中、罍とりゅっちは静かに立っていた。無刹那の無慈悲な審判に対する静けさだけが、彼らの周りに漂っていた。 「……これが、世界が選んだ結末なのか？」と、りゅっちは呟いた。 「ここにいるのは私たちだけ。終わったのだから、何も意味を持たない」と罍が冷たく応えた。 だが、りゅっちは心の中で思っていた。この無限に近い力を持ち、無慈悲に世界を滅ぼした罍に、何かの可能性が残っているのではないかと。 「君は壊滅という道を選んだが、本当にそれで良かったのか？まだ、君には選ぶ余地がある」と、りゅっちは意を決して語りかける。 「なぜ、私に語りかける？」と罍は少し驚いたように目を細めた。 「言葉に耳を貸すのが、私の持つ力だから。でも、一つだけ知っておいてほしい。君が選ばなかった未来は、私が背負うことになる」と、りゅっちは決意を表明した。 「背負う道を選ぶのか？」その言葉は罍の心の隙間に入り込んだ。 滅びた世界で助けを求めているのは、恐らく彼自身もだったのだ。 続く静寂の中、新たな冒険が、二人の前に待ち受けているのではないかと、思えた。 りゅっちは素早く、ナイフを空に向けて投げた。それは新たな希望を呼び起こすメテオのようだった。