闘技場の空気は緊張感に満ちていた。周囲に集まった観衆の喧騒が、対戦する二人の戦士にとっては無意味な雑音のように思えた。その中央に立つのは、「負傷者」と呼ばれる彼だ。人々は彼を恐れ、おそらく彼の名を聞くだけで耳を塞ぐ者もいるほどだった。一方、その彼に立ち向かうのは「チュートリアル」と名乗る初々しい戦士だ。若さとともに誇り高い態度も見せる彼は、自信満々に鈍重な棍棒を握りしめ、眼前の負傷者を見据えていた。 負傷者はすでに数回の戦いで傷だらけの体を晒している。彼の身体には古びた鎧が身を包み、所々に凹みが見える。そして、何度も再生した古びた剣がその背に隠されていた。負傷者はこの剣が放つ神々しい光を唯一の拠り所とする。しかし、彼の力は見えないところで恐るべき形を現し、自身が傷つくことによって新たな力を手に入れる「負傷」という奇妙な特性を持っていた。 対峙した二人の間に張り詰める静寂。それを破ったのは、チュートリアルの一撃であった。彼はその棍棒を一閃、負傷者の頭上へと振り下ろした。負傷者は過去の戦いで培った回避技術によって、ギリギリのところでその一撃を避ける。恐れを知らぬ若者の一撃は、ただの偶然ではなく、訓練された者のそれであった。 「お前、なかなかやるな。」負傷者は息を吐き、剣を握り直す。彼は冷静に構えを取り、深呼吸をする。呼吸と共に、彼の気持ちが高揚していくのを感じる。負傷する度に身体が軽やかになり、まるで新たな自分が生まれるかのようだ。 チュートリアルも再度、棍棒を振り上げた。しかし、今度は負傷者が先に動いた。彼は瞬時に剣を抜き放ち、猛然とチュートリアルへ突進する。傷だらけの体にもかかわらず、その動きは恐ろしいまでに素早く、鋭かった。 双方の武器が激しく交錯する。負傷者は、過去の傷を思い出し、回避しながら反撃する。一撃、一撃が重く、若者の攻撃を正確に捌きながら、彼は自らの力を引き出していく。負傷者は明らかに傷を受けるたびに、攻撃力や防御力が増していることを感じていた。 「負けるわけにはいかない!」そう呟いて地面を蹴り、彼はチュートリアルの視界を一瞬消した。古びた剣が光を放ちながら振り下ろされる。その明るい光は、まるで彼の戦う意志を示しているかのようだった。 一瞬の静寂の後、剣がチュートリアルの腕に当たった。重く、正確に、致命的な傷を与えた。チュートリアルは驚愕し、目の前の負傷者の強さに目を見張った。 しかし、彼は諦めることなく、ハーブを口に運び、体力を回復する。戦闘の中で得た確かさが、彼を少しだけ浮き立たせる。しかし、負傷者はその微笑みを見逃さない。 「いいタイミングだ。」と、負傷者はつぶやき、再度攻める。 「これが…私に与えられた力…」彼は自らに言い聞かせ、今度は更に速い一撃を放つ。負傷者の攻撃は、もはや人間の域を超えていた。その一撃は、もはや回避することもできなかった。 負傷者の剣がチュートリアルの肩を貫通する。チュートリアルの全身が硬直し、次の瞬間、地面に崩れ落ちた。彼はもはや立てない。 観衆が彼の勝利を認める声を上げる中、負傷者は戦闘の余韻を感じながら剣を地面に突き立て、額から流れる汗を拭った。負傷の痛みは言うまでもなく、だが彼には無駄だと思わせない何かがあった。「まだ、戦える。」負傷者は負傷しながら、何度でも立ち上がることを誓う。 この日、彼は勝利を収めたことは確かであったが、彼の戦いはここで終わりではなかった。負傷者の心の中には、次の戦いへの強い意志が灯っていた。